【三麻】オナテン考察の補足
前回記事の補足になります。
流局率の扱い
まずオナテンの場合は決着が付く確率が低くなるため、流局率は非オナテンの場合より有意に高くなると考えられる。前回は非オナテンと同様の10%として計算を行ったが、今回は10~40%を5%刻みで計算し変化を観察する。
流局率を変動させる際は、流局率を5%上げる毎に和了率と被ツモ率を2.5%ずつ削るものとする。なお、オナテン時の流局率は変動させるが、非オナテン時の流局率には影響しない為、非オナテン時における和了率等については常にデータ本11巡目両面追いかけリーチのデータを使う。
横移動率の扱い
前回は横移動の計算を省略した。非オナテン時には1.9%の横移動率が存在したが、オナテン時の横移動はオナテンの相手が脇に放銃するパターンしか存在しない。脇からの放銃であればダブロンになるからだ。
今回は横移動率を1%とし、自家の和了率に1%のロン率を追加して計算を行う。例えば、流局率が10%であれば、和了45-被ツモ44-横移動1-流局10といった具合で確率を設定する。
その他の条件は、前回と同様に扱う。
流局率別
流局率10%
オナテン時
和了45.0%, 放銃0.0%, 被ツモ44.0%, 横移動1.0%, 流局10.0%
非オナテン時
和了48.7%, 放銃16.6%, 被ツモ22.7%, 横移動1.9%, 流局10.1%
子vs子:f(x) = 0.6867x + 7.0953
子vs親:f(x) = 0.8150x + 8.4211
自家親:f(x) = 1.3013x + 13.4454
x = 自家ロン打点
f(x) < (相手のロン打点) の場合オナテン有利
f(x) > (相手のロン打点) の場合非オナテン有利
流局率15%
オナテン時
和了42.5%, 放銃0.0%, 被ツモ41.5%, 横移動1.0%, 流局15.0%
子vs子:f(x) = 0.8082x - 329.4118
子vs親:f(x) = 0.9308x - 379.3548
自家親:f(x) = 1.3358x - 544.4444
流局率20%
オナテン時
和了40.0%, 放銃0.0%, 被ツモ39.0%, 横移動1.0%, 流局20.0%
子vs子:f(x) = 0.9176x - 632.3353
子vs親:f(x) = 1.0292x - 709.2537
自家親:f(x) = 1.3601x - 937.2781
流局率25%
オナテン時
和了37.5%, 放銃0.0%, 被ツモ36.5%, 横移動1.0%, 流局25.0%
子vs子:f(x) = 1.0166x - 906.4639
子vs親:f(x) = 1.1140x - 993.3333
自家親:f(x) = 1.3781x - 1228.8660
流局率30%
オナテン時
和了35.0%, 放銃0.0%, 被ツモ34.0%, 横移動1.0%, 流局30.0%
子vs子:f(x) = 1.1066x - 1155.7169
子vs親:f(x) = 1.1878x - 1240.5195
自家親:f(x) = 1.3920x - 1453.8813
流局率35%
オナテン時
和了32.5%, 放銃0.0%, 被ツモ31.5%, 横移動1.0%, 流局35.0%
子vs子:f(x) = 1.1887x - 1383.3333
子vs親:f(x) = 1.2525x - 1457.5610
自家親:f(x) = 1.4031x - 1632.7869
流局率40%
オナテン時
和了30.0%, 放銃0.0%, 被ツモ29.0%, 横移動1.0%, 流局40.0%
子vs子:f(x) = 1.2641x - 1592.0133
子vs親:f(x) = 1.3099x - 1649.6552
自家親:f(x) = 1.4121x - 1778.4387
状況別
子vs子
10%:f(x) = 0.6867x + 7.0953
15%:f(x) = 0.8082x - 329.4118
20%:f(x) = 0.9176x - 632.3353
25%:f(x) = 1.0166x - 906.4639
30%:f(x) = 1.1066x - 1155.7169
35%:f(x) = 1.1887x - 1383.3333
40%:f(x) = 1.2641x - 1592.0133
// 10.1%:f(x) = 0.6893x
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収束点:2769.71
子vs親
10%:f(x) = 0.8150x + 8.4211
15%:f(x) = 0.9308x - 379.3548
20%:f(x) = 1.0292x - 709.2537
25%:f(x) = 1.1140x - 993.3333
30%:f(x) = 1.1878x - 1240.5195
35%:f(x) = 1.2525x - 1457.5610
40%:f(x) = 1.3099x - 1649.6552
// 10.1%:f(x) = 0.8176x
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自家親
10%:f(x) = 1.3013x + 13.4454
15%:f(x) = 1.3358x - 544.4444
20%:f(x) = 1.3601x - 937.2781
25%:f(x) = 1.3781x - 1228.8660
30%:f(x) = 1.3920x - 1453.8813
35%:f(x) = 1.4031x - 1632.7869
40%:f(x) = 1.4121x - 1778.4387
// 10.1%:f(x) = 1.3022x
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考察
流局率を非オナテンと同じ10.1%に設定した場合のみ正比例し、そこから離れるほど正比例関数では誤差が生じるようになった。定数項を追加することで綺麗な一次関数になったため、少し複雑にはなるが今回の形をとった。
この3つのグラフでは収束点という概念を追加しているが、これはすべての直線が一点で交わるためそのときの自家打点を求めたものである。これ以上であれば流局率が高いほど非オナテンが有利になる。
自家が親の場合には収束点が高く、基本的に流局率を高く設定するほどオナテンが有利になるという結果になった。収束点が高くなった原因にはグラフの傾きがかなり近い値になったことが影響しているが、傾きが近くなった原因には被ツモ時の失点割合の高さが影響していると思われる。とはいえ、ここまで急激に高くなる原因には他にも様々な要素がありそうでよく分からなかった。
ところで比較対象となる非オナテンのデータは11巡目のものを利用した。ここではこれを残り6巡18枚、残りの牌山は王牌込でドラ表示を除外し31枚であるものとして扱う。
1軒がベタオリしており絶対に放銃しないと仮定した場合、流局する確率は19Ck/31Ck(kは山に残る双方の待ち枚数の合計)で求まる。データ本の11巡目良型追いかけリーチ流局率10.1%という数値からこのときの残り枚数を逆算すると4枚と5枚の間であることが分かり、仮に4枚時と5枚時の流局率を直線で結んだ場合、流局率が10.1%になるような山枚数は4.41枚という結果が得られる。
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オナテンの場合に枚数がこれより少なくなるのはおそらく間違いないが、どのくらい減るのかについては検討の余地がある。例えば一般的な両面聴牌について、手牌を考慮しなければ山にいる枚数は 8*31/108=2.30 と求まる。自家が1枚も使っていないと仮定するなら 8/31*95=2.61 になる。
これはオナテンの相手が何枚使っているかを考慮していない。両面であることが多いとは思われるが、ノベタンやシャボなども存在し、それらを推定する方法が思い当たらなかったため一旦この枚数のまま計算を進める。
先述の式から流局率を計算した結果、2.30枚の場合32.27%、2.61枚の場合27.48%と求まり、このあたりに実際の流局率が存在すると思われる。
この2つの流局率についてオナテン・非オナテンの分岐点を求め直すと以下の通りとなった。
流局率32.27%
オナテン時
和了33.9%, 放銃0.0%, 被ツモ32.9%, 横移動1.0%, 流局32.3%
子vs子:f(x) = 1.1447x - 1261.3566
子vs親:f(x) = 1.2181x - 1342.2527
自家親:f(x) = 1.3974x - 1539.7546
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流局率27.48%
オナテン時
和了36.3%, 放銃0.0%, 被ツモ35.3%, 横移動1.0%, 流局27.5%
子vs子:f(x) = 1.0623x - 1033.1796
子vs親:f(x) = 1.1519x - 1120.2772
自家親:f(x) = 1.3855x - 1347.4605
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子では概ね自分の打点と同じくらいの相手までは非オナテンが有利になり、相手の方が高ければオナテンが有利になる。実戦上意識にはこれで十分だと思われる。
親番の場合は基本的には非オナテン有利で、相手が北をたくさん持っていたり自分が安い場合にオナテンを選ぶという形になると思われるが、親番には連荘期待値が存在し流局時の期待値が若干高くなる為、これより若干オナテン寄りにしてもよいかもしれない。
ただし、相手の待ちが一点で読める状況なんてまず滅多にないし、読めたところでその待ちに出来る可能性まで考えるとまずそんな状況は出現しないので、実戦上はオナテンの可能性の濃淡から期待値にほんのり影響することが全く無いというわけではないけど……という程度のものである。
今回の記事の執筆にあたり、3人打ち22代目天鳳位 †水銀燈†氏には流局率の推定など多岐にわたり相談に乗っていただきました。ここに改めて御礼申し上げます。