後にも先にも
贈られるもの
贈りもの、お土産、プレゼント…。
私たちは生きていく中で、時に人から何かを贈られることがある。
小さい頃であればクリスマスや誕生日、大人になってからお歳暮やお中元、旅行のお土産…そんなところだろうか。
例えばそれが、公園で小さな子どもが寄ってきて、
「これをあげる」とどんぐりを手の平に乗せてくれることも、贈りものとして受け取りたい。
そんな今までの人生の中で、
後にも先にもあの日、あの時、あの一回こっきりであろう贈り物をもらったことがある。
今回はその話を思い出し、したためると共に、私の友人たちからも同じような"後にも先にも"な贈り物について教えてもらったので、是非一緒に楽しんでいただきたいと思う。
1.手に持って帰るには
まずは私の話を。
あれは大学生の時にコンビニでアルバイトをしていた時にさかのぼる。以前のエッセイにも登場した家族経営のコンビニである。(出会いは突然に、そして時に)
少しだけ説明させてもらうと、そこは2世代の家族経営、オーナーはおじいちゃんで、いつも白い調理服に白いゴム長靴を履いて、バックヤードで魚を捌いていた。
マネージャーである奥様は惣菜を取り分け、刺身や惣菜売り場を設けて陳列していたのである。
雇われてしばらく経った頃、”きっと続けてくれるだろう”と思ってもらえたのだろう。
勤務時間が終わり、帰る準備をしていたところ、オーナーに呼び止められた。
「これ、いるか?」
私は内心舞い上がった。
”余った刺身か、惣菜か…!よっしゃあ!今日の晩御飯は助かった”
「いいんですか!ありがとうございます!」
と元気に返事をした。
ほい、と手渡されたもの。それは
これでもかぐらいデッッッカイ中華包丁。
中国人が木の切り株みたいなまな板で、目に見えぬ速さで野菜を切っている、真四角のアレである。
ほぼ鬼の武器。
当時の私は自炊をあまりしなかったので、満足に役目を果たしてあげられることができないまま、気づけばもう手元には残っていない。
ただ、この贈り物のインパクトといったら、今日まで薄れることはない。
2.みんながもらった"後にも先にも"
ここからは、私の友人たちから教えてもらった贈り物をいくつか紹介したい。
中華包丁の騒ぎではないので、心して読み進めてほしい。
Uちゃん:新宿二丁目で吞んでいた時、角刈りのおじさんがくれた三島由紀夫のヌード写真集。
→やっぱり二丁目とあらば、レジェンドを知りつくして呑めってことか。写真集くれるのも、角刈りもアツイ!調べたら、写真集英語verもあったよ!
S太郎くん:クリスマスイブに枕元に置かれていた月刊ジャンプ。兄貴の枕元には1話も観たことない大河ドラマ「武蔵」の解説本。
→サンタのチョイスセンスが光りすぎている。ほんでよりによって月刊。1年に1度の日にもらう月刊。
武蔵…前編と後編ある…。
兄弟ごと、そっと抱きしめたい。
MZC:ゲイの友達が、彼氏との旅行先で好きそうなの見つけたからあげると言ってくれた、真ん中にプラスチック製のリアルな瞳が埋め込まれたエジプト壁画の目みたいなシルバーペンダント。
使えずに窓辺に置いてたら、目ぇ、真っ黄っ黄になった。
→その土産なんぼしてん!!
ほんで何屋行ったらあんねん!!
でも、旅行先で思い出して買ってきてくれる、ええ友達!!
後日談も2度美味しいお土産!
Pママ:高校生の時ほとんど話したことない男子が急にくれた、Pママを盗撮した写真に油性ペンで「悲しき道化師より」と書いたものを入れてあるねずみ色の手作り写真立て。
→世にも奇妙な物語通り超えてストレートの恐怖。ピエロって書かへんところがまた怖さ倍増。恋…やったんかな。だとしたらすごい角度の愛。
Gさん:ベルリンの壁。
→いや、これ本物って。お土産らしいけど、かち割られたどっかの一部。小指の爪サイズで、ランドセルのチャックの部分に大事に入れてたけど、最終入れたままランドセル捨てちゃったらしい。しばし歴史の一部背負った小学生。
bちゃん:結婚式の時にもらった手作りご祝儀袋。広げてみたらS田S助と男が映っているモノクロ写真。
画像自粛
→億入ってないとおかしい祝儀袋やん。今も広げて部屋に飾ってるらしいけど、どうか部屋に馴染んでいて欲しい。
以上です。
ただ者ではない人たちだと感じていたけれども、そのもらう贈り物のインパクトたるや、流石でした。
思い出を教えてくれたみんな、どうもありがとうございました!
また、なにかあったら教えてください。
感謝。
それでは、また。
---おわり---
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