自白をもたらす顔つき

「よ！　令和の聞き出し上手さん！」

仲良しの後輩ちゃんにいじられた。
いつもなら「どうも、『半落ち』寺尾聰です」と渋く流すところだけど、つい真面目にテツandトモ口調で返答してしまった。

「な〜んにもしてないのに　相手がゲロっちゃうのなんでだろ〜」

（『半落ち』の内容とは全然違うけど単語が好きでずっと使ってる。あとテツトモのもまだ現役で使ってる）

実際、
職場の先輩と飲んでいたら、急に「もう、わかったってば！　言うよ！　その顔知ってるんでしょ！」と上司との不倫を明かされたり
取引先の人とたまたま食事することになったら、セクシャルな悩みを含む壮絶な過去を打ち明けられたり
重鎮と打ち合わせ中、初出しの病歴を突然明かされて関係者が慌てたり

という事例が続いている。
前述の通り、私はなーーんもしてない。
なのになぜ話し出すのか、原因がわからない。

いつも「おいしいなコレ」とか「次に聞くのなんだっけ」とか、私が考え事をしながら沈黙していると、相手が勝手に自白していく。

まてよ、沈黙してるときの私の顔には不思議な力が宿っているのかもしれない。

そういえば高校時代、授業をサボったのが見つかって、職員室でサボり連中と叱られたことがあるけれど、黙ってお説教を聞いていたら私だけ「お前は反省してるようだから帰ってよし」と帰されたこともあったな。

ということで、改めて自分の顔を客観視してみた。

素朴をベースに、面白・険・間抜け・愛嬌が混在している。日によって全然顔が違う気もする。

似ていると言われた有名人も、原田知世、堀内孝雄、永作博美、稲本潤一、カルロストシキ、吉田栄作、磯村勇斗、YUKI、上戸彩、大久保佳代子、荒川静香、泰葉、ピカチュウ、石田ゆり子、たぬき……と実にバラバラ。

でもいちばん言われたのは、「クラスメイトにそっくり」「親友の友達に似てる」かもしれない。
韓国旅行中に突然「わー友達に似てるんだけど！」と話しかけられたこともあるし、池袋で中国人男性に「妹にそっくりすぎる！　祖先は中国なんだろう？」と肩を揺らされたこともある。

その理論とて…という気もするが、きっとそのドッペルたちがすごくいい人で、だから警戒心を解いて本音を話してくれてるのだ、と思うことにした。ありがとうなドッペル。

ただ昨日、最近話すようになった女性がニコニコしながら近づいてきて、開口一番こう言った。

「美人て好きじゃない奴から口説かれたり同性からやっかみウケたりするから大変だよね。だから私の顔、偏差値ぴったり50で心からよかったと思ってるの。あなたも一緒でぴったり偏差値50じゃん？　よかったよね」

「なんでッ」
ピスタチオの顔で返事した。