僕らは未来飛行士
閑話休題。
早いもので、2020年も12月。
あと2週間もしたら2021年。
光陰矢の如し、とはよく言ったもんです。
2020年、今年は未曾有の一年でした。
COVID-19(通称コロナウィルス)感染が世界中に拡大し、
今日の時点で164万人もの人が亡くなっています。
世界規模でこれだけの人が犠牲になる事態というのは、
戦禍に匹敵するような悲劇的な事態であると言わざるを得ないと思います。
亡くなってしまった方たちのご冥福を祈ると共に、
今、まさに最前線で働いている医療関係者、
困難な状況下で社会を支えるエッセンシャルワーカーの皆さんに対する感謝の念と、
心から無事を祈りたいと思います。
いつ、だれが、どこで感染してもおかしくない状況で、
いくら100年前より科学が大きく進歩していたとしても、
日々の暮らしの中、目に見えないウィルスを相手に感染対策をするという事は、
それまでの暮らしを大きく変えうる困難な問題だと言えるでしょう。
得体の知れない感染の恐怖は、
暮らしを蝕み、心をも蝕む。
当たり前だった、人間らしさ、友愛のなせる行為さえも、
意に反して、災禍のきっかけになり得る。
2020年8月15日、終戦記念日。
暑い盛りの大阪服部緑地公園野外音楽堂で行われた、
宮沢和史のコンサート「未来飛行士」に、
ベーシストとして参加しました。
宮沢和史(ミヤさん)は言わずと知れた、
元THE BOOMのボーカリストでソングライター。
(ミヤさんとの出会いの話はまたの機会にゆっくりと.....)
ミヤさんとは沖縄を始め、様々な所で一緒に演奏をさせていただきました。
8月15日に行われたコンサート「未来飛行士」は、
私にとって(もちろん、ミヤさん、音楽業界にとっても)
特別なコンサートになりました。
Covid-19感染第二波と言われる時期に行われた大規模コンサート。
感染拡大を懸念し、
あらゆるコンサート、イベントが軒並み中止になる中、
「宮沢が先陣を切ってやる」と、
考えうる感染対策をこれでもかと盛り込み、
万全の態勢で挑んだ本番当日。
あの日のコンサートは、
ポストコロナのコンサート、イベントの形を占う試金石のような試みだったと思います。
同時に有料のライブ配信も。
暗中模索、ほとんど気概だけで進められた準備。
不安の中迎えた開演当日。
見事に動員もライブ配信も目標観客数を達成。
終演後2週間経ち、観客、メンバー、スタッフと一人の感染者も出さなかったと知らせが届き、あのコンサートの成功が確かなものになりました。
コロナ禍の世界中で、
音楽や演劇など、人と向き合い、人と共有する表現活動の場が止まってしまいました。
音楽家、ベーシストとして生きてきて、
2020年ほど無力感や徒労感に苛まれた時はなかったと思います。
しかし、
2020年が暮れようとしている今、
例え活動の場を絶たれたとしても、
音楽や演劇、人を触媒に共有される表現活動、
エンターテイメントの必要性を改めて確信しています。
「この惑星の引力に逆らいながら
しがみつく過去を振り払いながら
未来へ旅に出よう」
宮沢和史「未来飛行士」より
私もまた未来飛行士。
来たるべき未来のために、出来ること、やるべきことをやるまでです。
「未来飛行士」というコンサートタイトルに込められたミヤさんの想い。
メンバー、スタッフ、そしてお客さんと共に、
しっかりと受け取りました。