そこは、リスペクトに満ちた、やさしい世界だった
最近、noteに少しハマっている。何か思い付くとメモ代わりにささっと書き留めて、ストックしておくこともある。そんなnoteの主催で、noteを読み合う会というオンラインイベントがあったので、参加してみた。
これまでにnoteに記事投稿したこともある者同士で、お互いのnoteを読み合い、感想や思いをシェアするというイベントである。
新しい企画に参加するときは、誰しも緊張があるだろう。今回の私もそうだった。ZOOM会場に入室すると、想像以上にたくさん人がいて(おそらく70名くらい)、不安も増したのだが、ファシリテーターの方が、場をほぐしてくれ、少し落ち着いた状態で、ブレークルームに分かれて、noteの読み合いをすることになった。
私が、入ったのは、5人のグループ。全員顔出ししているので、どんな人たちなんだろうと観察の意識が生まれる。男性4人、女性1人。年齢は、見るからに私が最年長らしい。どこに住んでいるのか?何をやっている人たちかもわからない。ただnoteを書いたことがあるという1点のみで集まった、匿名性(名前も本名を名乗る必要もない)のグループだ。どんな展開になるのか、まだまだ緊張とそして期待が入り交じる。
最初が全体で、5分間の自己紹介タイム。まず最初の方が、学生さんだとわかった。身なりがや話し方がきっちりしていて年齢以上に落ち着いて見える。次の方は唯一の女性。お仕事はよくわからなかったが、話し方が爽やかで引きこまれる。次に、小説を書いているという方。冒頭、音声トラブルがあったので、少し慌てられている。こちらもちょっと気が急く。本業も作家さんなのだろうか?次が私で、簡単に絵本の活動のことなどを紹介。そして、最後がIT系の講師業をされている方。さすが、プロフィールや考えをテンポよくお話になられる。私の緊張感も少し取れてきた。
そしてメインコンテンツ、読み合いの時間がスタートだ。自分が読んでほしいと思うnoteのURLをチャットに貼り、他の4人が、その場所に飛んで、ぞれぞれ黙読する。これが5分。その後、感想をみんなで述べ合う時間が5分。これで1タームで、5人分繰り返すのだ。
一人目は、YukiAraiさんという学生さん。著作のポイントについて、まず自らコメントするのだが、「愛」とか「恋」とか、そして「本当にわかり合えるのか?」的なワードが彼から飛び出す。落ち着いて上品な語り口調だが、パッションがなかなかにほとばしっていて、若者らしい。よしよしと思う。そして彼のnoteを読み始める。
むむむ、むずかしいそ。この詩人のこと、出てくる書籍のこと知らないし。加えて哲学的なコメントが続く。ちょっと時間内に読み切れないという焦りが自分に起きる。飛ばしながら読む。が、黙読終了の合図。うーん、とても理解したと思えない。最年長なのに…などとついつい思う。どうコメントすればいいのだろうか?戸惑いの気持ちが膨らんでいた。
感想を述べ合う時間。矢継ぎ早に、誰かが「橋の解釈がすごい!自分では思いつかない」的なコメント➩【我が内なる声】なるほどなるほど、それはそうだな~。「外国の詩と百人一首がつながっているという発想がすごい」的なコメント➩たしかに、こういう風に結び付けられる見識と発想力、すごい。「全体から上品さが伝わってくる。もっとゆっくり読みたい」的なコメント➩たしかに彼の品位品格が文章全体に立ち現れている!
自分が、どんなことを言ったのかは、記憶にないのだが、焦っていた気持ちはいつのまにかかき消されて、その場にあたたかーい空気が漂い出していた。何も奇をてらうことはなく、場に身を任せていれば良いんだと思った。
二人目は、soba ringoさん。noteの内容は、ご自身のネーミングについてである。
命名してくれた人との少し切ない経緯と、ご自身の決意について、シンプルに書かれている。話し方が爽やかでと最初に書いたが、いかにもそういうお人柄が感じ取れる小気味の良い文章だと思った。
文章が短めということもあっただろうが、もう黙読時間が「黙読」にはならなかった。「そば」と「りんご」という一度聞いたら忘れられないネーミングについて、それぞれが思いを語り出した。なんだか良いなぁ、この感じ。このnoteを通して、soba ringoさんが大切に感じているいその人へ、みんなも思いを馳せていたのかもしれない。その場が、さらにあたたかくなったと思う。
三人目は、作家の大枝 岳さん。語り口調に、少し陰的なものも感じる一方で、人なつっこさも感じさせる方だ。大枝さんの持ち味なのだと思う。オートレストランをモチーフにした小説だが、まず著述の経緯ついて、ご自身のエピソードを絡めて伝えてくださった。それは、かなりの驚愕エピソードであったとだけ書き留めておこう。
今回の黙読時間は、これまでと一転。誰も一言も発しなかった。全員、その世界に引き込まれていたのだ。昭和の時代の、かなりハチャメチャで、それでいて憎めない人たちの息使いが聞こえるよう短編小説であった。
感想では、目の前で起きているような描写力、展開のおもしろさを口々にいう。みんなこの5分間を堪能したのだと思う。もし、これを映像化するなら、主演は、リリーフランキーであってほしいと私は切に願う。
四人目が、私ドンハマ★のnote。
みんなに読まれている間は、ただ待つだけだ。これは緊張する。落ち着かない。一方、読んでくれている様子をモニター越しに眺めていると、だんだんみんなが愛おしくなる。プロの作家さんが読者に感じる気持ちもこんな感じかもって思う。
感想もありがたかった。「毎日子どもに読んでいるけど、ますます読みたい気持ちが強まった」、「3度目絵本とどんな出会い方をするか楽しみ」、「ドンハマ★さんの絵本愛を感じた」などなど。子どもの頃の絵本エピソードにしみじみもした。
トリは、山口篤志さん。IT系のコンサル関連のnote掲載が多いそうだが、その中から、みんなの身近な話題で、メールの書き方についてのnoteを紹介。
これはもうタイトルを見た瞬間、みんな「これは自分だ!」コール。メールは短い方が良いと分かっていても、なかなかぜい肉をそぎ落とせないことを自省しつつ読む。
このnoteには、読者が最後までストレスなく読めるよう工夫が、そこかしこにされていて、みな大絶賛。訊くと、これらのノウハウは、誰かの教えというよりも山口さん自身が、書くおもしろさに開眼して、試行錯誤から生まれたものだという。
論理的な記事のウラに、そういう人間味あふれるエピソードがあるというのも、山口さんの記事に親しみを感じる要因かもしれないと思った。
まとめとおまけ
いろんなオンライン企画があるが、今回体験した「noteを読み合う会」は、本当にやさしくて癒される世界だった。お互いのベースやバックボーンは違うけれど、noteを創作しているというその1点において、互いをリスペクトする気持ちが底流にあるんだと思う。今回ご一緒できたみなさんに心から感謝。
〔おまけ〕
その後、この「noteを読み合う会」の感想をアップしているメンバーがいるのだけれど、これがまたそれぞれ個性的で面白かった(ありがたかった)ので、こちらにも併載します。