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ぼくのなかに生まれたガンとの対話(前篇)

Da Vinci(ダ・ヴィンチ)の「手」を借りて

2024年10月17日。ぼくは、東大病院泌尿器科に入院する。左腎臓に腫瘍が見つかって、患部の摘出手術を行うのだ。腎臓ガンの場合、7cm以下で他臓器への転移が疑われないものをステージ1と呼んでいるが、ぼくの場合、腫瘍の大きさは、1.5㎝ほどで、さらに初期のものらしい。Da Vinci(ダ・ヴィンチ)と呼ばれる天才科学者の名を冠した手術支援ロボットの「手」を文字通り借りて、左腎臓にできた腫瘍の部分切除手術が行われる。

今回の手術のことを何人かの友人・知人に話したのだが、約半数が「ブラックペアンのやつね!」と即答してきた。「ブラックペアン」を詳しく知らなかかったのだけど、すぐにU-nextで、二宮和也主演のドラマを見たのは言うまでもない。

ドラマでは、「ダーウィン」や「カエサル」という名の手術支援ロボットが度々登場するのだが、さながら名脇役のよう物語の命運を左右する役回りだったりする。時に、一歩間違えば「大医療事故」みたいなシーンもあって、リアルに手術を受ける身からすると気が気でないのだが、ロボット支援手術のイメージは、確かに脳裏に焼き付けられた。本番の手術は、全身麻酔で行われ、ぐっすり眠りについている間に終わってしまうので、ダ・ヴィンチの活躍ぶりは目の当たりにはできないが、イメージトレーニングはしっかりできました、というところだろう。

ダ・ヴィンチからは、アームが4本伸びていて、腹部に開けた5,6個の小さな穴からその「手」を入れて、患部に到達し、部分切除や術後の処置をおこなう。ロボットと言っても、AI搭載のロボットが人間の替わりに手術を行うのでなく、操作ボックス内で、医師が患部の画像を見ながらロボットアームを操作して手術をするというもので、さながらダ・ヴィンチのアームが医師の手の代わりをするということになる。開腹手術と比べると、より細かい操作が可能とされ、また身体へのダメージが小さく、痛みも少なくや回復も早いとされている。術後2日目には自力で歩けたりするらしい。

左右の腎臓のうち、左にそのガンは生まれた

ぼくのなかに生まれたガンだが、ひとつは、左腎臓の外側に「できもの」のようにポッコリと膨らんでいる。それともうひとつ、内部にやはり1cm程度の腫瘍と思わしきものがある。

(左)CT画像:左腎臓にできた2つの腫瘍。下のポコっと飛び出したものが最初に見つかり、
内部のものはのちの検査により見つかったもの (右)医師による診察時の説明メモ

内部にできたものが良性なのか悪性なのかは、のちに行ったMRI検査の画像診断でも判然としなかったようである。おそらく腫瘍は2つとも切除することになるだろうと考えている。手術後の病理検査で、もし結果が良性であったなら「取られ損」ということには、なってはしまうのだが…。

「取られ損」を防ぐために、術前検査として、患部組織の一部を針などで採取し、病理検査する方法もあるようだが、採取時に細胞が飛び散る危険もあるらしく、もしガン化していた場合、ガン細胞が近辺に拡散してしまうこともあり得るらしい。その状況は想像するだけも歓迎できるものではない。この程度の部分切除であれば、肝機能にはほとんど影響がないということらしいので、どうせなら、もうひとつの気持ちに今はなっている。入院時に医療チームがどうのような最終判断を下すかまでは、今はわからないけれど。ちなみに腎臓ガンの術後の病理検査で10%程度は良性だったという報告もネットで見つけた。微妙な数値だなと思う。

偶然ということに一期一会を感じる

腎臓や肝臓は「沈黙の臓器」といわれ、自覚症状が現れたときには、すでにガン末期というケースも少なくないらしい。腎臓ガンの約30%はそういうケースらしい。そんな中、ぼくのガンは、健康診断後の精密検査によって、発見された初期ガンに当たる。最近、腎臓ガンでは、同様のケースが増えているとのことだ。

そもそも「自分の身体は自分が一番良くわかっている」的な妄信がぼくにはあって、基本は、自分の中に相当の違和感が無ければ、医療のお世話になりたくないという人間である。毎年会社で受診する健康診断も、法令義務として受けてはいるが、結果の良し悪しについては、あまり気にしないという考えだ。

コレステロール値がどうだとか、肝脂肪の疑いがあるだとか、血便が陽性だとか、毎年、何かしら『要再検査』のフラグは立っていたのだ。しかし、こういうものは大抵大袈裟な表現をしているはずで、本当に結果がレッドゾーンの場合は、強制的な再受診の勧告が来るはずであって、ボクは「まだそこに達しないイエローゾーン」だと解釈して何年間もスルーし続けていたのだ。

それが、定年を迎え、少し身体の衰えも自覚するようになってきたし、何より生命保険の見直しをしようとしたところ、健康診断の結果が『要再検査』のままでは、やはり新規に加入することはできないということになってしまった。またもし会社を退職するようなことがあれば、自分の性格を考えても健康診断から縁遠くなりそうだし、ここは白黒をはっきりさせるタイミングだと思い再検査に臨んだのだった。

2024年5月に健康診断を受けたクリニックを6月下旬に再受診。健診時の指摘事項は複数あったのだが、そのひとつとして、腹部エコー検査で肝臓に3㎝以上の血管腫の疑いが持たれていた。そのクリニックの医師からは、ここ数年間の健診結果を見る限り、良性の可能性が高いが、大きさも大きさなので、念のため肝臓のCT検査をした方がよいと勧められた。

2024年5月の健診結果。昨年も同様の指摘がある。他の健診クリニックで2020年から受けている   人間ドッグでも同様に腹部エコーで肝腫瘤(血管腫)と脂肪肝(軽度)の指摘があった。

8月上旬に別の検査専門クリニックで造影剤を用いたCT検査をしたのだが、その数日後、検診を受けたクリニックから携帯電話に連絡が入り「次の診察予定日より早く来てほしい」というのである。これはドラマとかでよくあるパターンだなとちょっとブルーな気分になりつつ、予定をやりくりして8月中旬にクリニックを再度訪れた。

CT検査の結果は、肝臓の血管腫は想定していたようなもので、経過観察で問題ないが、たまたま写った腎臓の方にガンらしきものが見つかったという医師からの説明であった。確かにCT画像には、臓器からポコっと丸い突起物が下方向に飛び出しているのがぼくにもはっきり見えた。「大きさとしては、1.5cmほどのまだ初期もので、切除すればほとんど完治が見込めます。東大病院への紹介状を書きますので、受診してください」とその医師は言った。見つかってラッキーでしたねという気持ちを言外に含んでいた。ぼくにもどうせならすっきりしてしまいたいという気持ちもあって、素直にそれに従うことにしたのだった。かくして、東大病院の受診日は、翌週の8/26と決まった。

このように偶然、ガンと出会うことになったのだが、根治のために除去せなばならない「異物」というより、自分の中から何かのメッセージを持って生まれてきた「使者」という感覚であった。「こんにちは。今はどんな気分ですか?君の中にもいろいろな気持ちが混じってるかもしれないけど、今は慌てて大きくならず、そのままのんびり過ごしててね」と【彼】(なぜか男性性のイメージ)に心の中でつぶやいたりした。

東大病院に患者として行く

この急展開に、ぼくはちょっと戸惑っていた。人生で大きな手術や入院をこれまでしたことがなかった。手術となると1週間くらいは入院するだろうし、ちょうど仕事も佳境に入りつつあって、入院の時期によっては、周りに結構な負担を掛けてしまう。会社からは、治療を優先するようにと言ってもらったものの、今後の展開が見えないことだらけで、手術による治療をすると決めたものの不安と戸惑いだらけだった。

東大病院への紹介状

そうして8/26に初めて東大病院に患者として訪れた。10時の診察に合わせて30分以上前に着いたのだが、受付ロビーは、人であふれかえっていて、その混み具合はこれまで経験した他の病院と段違いに多かった。ここにいるほとんど人がいろんな病院から紹介状をもらって東大病院に来た人たちなのだと思うとさらに気が引き締まる思いがした。

初診受付や医療データの引き渡しなどの手続きをそれぞれの窓口で済ませ、ようやく10時過ぎに目指す「泌尿器科」に到着した。そこは診察病棟の最上階である4階にあった。専門科での受付を済ませて、向かった待合スペースは、全体的に埋まってはいたけれど、1階受付の混み具合と比べても落ち着いていて、気持ちのざわめきもかなり収まった。

新しい病院や診療科などに行くと、体調や既往症などをその都度用紙に書かねばならないので、辟易とした気分になった経験をお持ちの方も多いと思う。私も同様の気分になりながら、4階受付でもらった質問用紙を書いていた。やたら枚数が多いと感じてはいたのだが、通常の体調や既往症に加えて、自分の病気とは関連のない「夜の営み」や性欲についての質問にも答えていくような流れになっていった。ほとんど書くような事柄もないのだが、不用意に丸裸にされる気分にちょっとなった。今回、訪れた専門科が正式には「泌尿器科・男性科」となっていて、後から気付いたのだが、ED治療の方もいるということらしい。質問内容からわかったことだが、ED診断法も〇〇式というのがいくつもあるようだった。

東大病院は、医師の分業化が明確になっていて、紹介状を持って訪れる初診時は、初診担当の医師の診断を受けるようになっている。思いの外待たされて、ようやく診察室に入ったのは、もうすぐお昼になる頃だった。中には、いかにも研修を終えてまだ間がないと思しき若い医師が、紹介状の内容を確認し、こちらが持ち込んだCT画像なども見ながら、説明をしてくれる。

内容は、以前、健診を受けたクリニックで聞いた説明と基本的は同じであったが、話のポイントは、東大病院で手術をするには、更に詳しい検査をしなければいけないということだった。つまりはここからが再スタートということであった。想定内の展開ではあったが、「ガンだ!手術だ!」といわれてやってきた病院で「ふりだしにもどる」的な展開は、正直止めてよ~という気持ちにもになったのだが、これは東大病院のシステムのことであって、憤慨しても何も進まないので、もちろん素直に従うことにした。

その日は、午後から東大病院で再度、CT検査や血液検査を受け、また別日に腹部エコーと診察をすることになったのだが、検査や再診の枠が直近は埋まって予約が取れないということで、次回は、約3週間後の9/18となった。ちょっと先だなと思いつつ、手術日は、次回には決まるものなのか、訊いてみたのだけど、それは難しそうだった。東大病院には、手術を希望される患者さんが全国からたくさん来ていて、緊急のものでない限り、3カ月くらいの待ちの状態になったりするとその若い医師は恐縮そうに話をしてくれた。

ぼくのなかに生まれたガンは、そんなに緊急性のものではないんだろうと思いつつも、成長の早いスキルス性の胃ガンというのもあるので、そんなに放っておいても大丈夫なのか、少し不安にもなった。ぼくは再び、【彼】にもうちょっとのんびりしててね、心の中でつぶやいた。

診察予約票:次回は腹部超音波(エコー検査)と再診/術前外来とある

ようやく治療の全体像は見えて来たけれど…

9/18に再び東大病院にやってきた。前回の初診時に1階受付の人の多さに圧倒されてしまったのだけど、再診時は、診察券を受付機にかざすだけで良い。待ち時間もなく受付を済ませて、スムーズに腹部超音波検査に向かった。

ずいぶんと時間を掛けて、入念に検査は行われた。検査技師は「はい息を吸って。はい止めて。楽にして~」を何度も繰り返した。検査後、あまりに時間が掛かったため少し不安を感じて、何かありましたか的な質問をぼくが投げ掛けると、検査技師は、明言まではしなかったけれど、もうひとつありそうという返答をしてくれた。ひとつでなくてふたつなのか?とちょっと滅入った気分になった。滅入る気分を打ち消そうと【彼】は一人じゃ寂しくて、お友だちも連れて来たくなったのかな、などと想像した。

前回の東大病院での初診時にCT検査をしたが、その際にもうひとつのガンと思われる腫瘍が見つかったのではないかと思う。この検査技師は、腹部エコーでもその存在を確認しようと何度も試みていたに違いない。

その後に診察が待っていたが、初回とは別の医師で、2回目以降の外来患者を主に担当している医師であった。その医師によるとすでに医療チームでぼくの症状や今後の治療方針についてカンファランスが済んでいるとのことで、全体を把握してくれている安心感があった。そして今後について以下のような見解を示してくれた。

  • 左腎臓内に腫瘍が2つ確認できている

  • 大きさはともに1~1.5㎝ほどでステージ的には初期段階

  • ロボット支援手術で、2つの腫瘍を切除する方向

  • 手術は全身麻酔で、6~7時間程度掛かる見込み(ロボット支援術は、手術前後にプラス1時間くらい時間が掛かるらしい)

  • 腎臓は細かい血管の集まった臓器で、部分切除により出血が起きるため、切除後は縫合したり、焼いたりして止血する

  • 止血部分は、かさぶた状態になるが、患者が無理な動きをすることで、そのかさぶたが外れ、体内出血する場合がまれにありうる。

  • そのリスクを避けるなどの理由から、身体状態が落ち着くまでの期間として、少し長め(10日~14日)の入院を必要とする

  • 退院後1カ月程度は、日常生活は問題ないが、出張等の遠出などは極力さけるべきである

治療(入院・手術)の全体像は、ようやく見えて来たけれど、肝心の手術日はというと、はっきりすることは叶わなかった。理由は、麻酔科の診察を受けてからでないと、正式に手術のGOが出せないということ、また麻酔科のGOサインが出たとしても、手術予定者として、リストにエントリーされるだけで、正式な日程は東大病院全体の手術予定数や患者の動向に左右されるということであった。ただし、直近まで3カ月待ちが当たり前だった手術の混雑状態は、緩和されつつあるということで、1~2カ月で実施できる可能性もありそうであった。麻酔科での診断を最短である10/1の朝9時に入れ、泌尿器科での再診もその後に予約を入れて、その日の病院は終了となった。

まるで『パズル』の東大病院手術スケジュール

全部で24ある手術室に対応するための東大病院の手術スケジュールは、いつどの患者の手術を行うかを『パズル』ように複雑に組み合わせて決まるらしい。そのために日程調整を専門に行う人材もいるということである。東大病院では、年間約12,000件という膨大な手術が行われていて、単純に日割りすると1日約32件になるから、おそらく24の手術室はフル稼働状態ではないかと推察される。それを予め組み合わせていくというコーディネーターの役割は至難の業に違いない。

ところが、すべての手術が予定通り行われるわけではなく、患者の体調の変化などでも緊急性も変わるわけだし、もしインフルエンザやコロナに罹患した場合は最低でも6~8週間は、手術を延期せざるを得なくなるとのことで、その『パズル』は常に生き物のように複雑に変化し続ているということになる。

果たして、自分の手術日はいつになるのか?10/1の受診日にある程度、見えてくるとうれしいのだがと淡い期待を持ちつつ、また数日を過ごすことになった。

【彼】のことをあれこれ考える

だいたいの治療方針は決まったけれど、手術日が見えてこないとどうも落ち着かない。ガン細胞である【彼】やお友だちにのんびりしててねと言い聞かせても、実際にどのくらい成長をするのかも気になる。腎臓ガンについて、やはりいろいろググってしまうのだけれど、腎臓の場合、ガンの成長速度は、総じてゆっくりで、1年で3~5mm程度という情報を知る。

年5mm成長とすると今約1.5㎝の【彼】がこの世に生まれたのは、3年前。その頃は、コロナの真っ最中であり、仕事では間もなく定年を迎えるのに次の人材へのバトンタッチが全く見えず気持ちがモヤモヤしていたり、我が子たちが学校にほとんど行かなくなって、その結果、家族ぞれぞれがメンタル的にもかなり落ちて込んでいた時期と重なってくる。かなりストレスフルな状態で、【彼】は生まれざるを得なかったのだろうし、【彼】には、生まれ出る正当な理由があったのだ。(納得)

腎臓ガンにおけるステージ1は、4㎝以下のT1aと7㎝以下のT1bの2つに分類され、今のぼくの状態(T1a)の場合、ありがたいことに患部切除によりほぼ完治し、5年生存率は100%とも言われている。

一方、もしも今回も要再検査をスルーして【彼】の存在が知られなければ、そのまま成長し続け、5年後には4cm大に、10年後には7㎝大になっていた可能性がある。成長につれて、リンパや他臓器への転移の可能性も高まるし、何らかの自覚症状(血尿やら、腰や背中の痛み)が出ていたかもしれない。そして大きくなった【彼】がようやく発見されとして、治療を施しても間に合わず、70歳くらいで天寿をまっとうしたいたかもしれない。60歳になったとき、自分の人生はあと10年くらいと感じていたので、【彼】がそのまま成長し続ければ、その通りになっていたかもしれないと思う。今回【彼】が早めに居場所を教えてくれて、ぼくの寿命は少し伸びたとも言えるだろう。

その日は、突然決まった

10/1の麻酔科の診断とその後の泌尿器科の診察を受けて、正式に手術リストにエントリーされることにはなったが、入院日はやはりすぐには決まらなかった。医師の話では、『パズル』全体のスケジュールを鑑みると早ければ10月の最終週(10/28)頃の入院の可能性もあるので、いずれにしてもさまざまな準備はしておいてほしいというものであった。

入院日の決定や連絡は、『パズル』をコーディネートする専門家が、入院候補日が見えた段階で個別に連絡をくれるのだが、現時点ではそれを待つしかなく、その連絡があるのが入院の1~2週間前だという。とすると10月最終週に入院と仮定すると10/14頃に連絡が入るかもしれない。そういうイメージを持ちながら、仕事の引継ぎや入院についての準備も進めなければ行けないということになった。

また治療方針についても再度のカンファランスが行われたようで、後から見つかった2つ目の腫瘍が良性の可能性もあるという見解も出てきたらしく、さらに詳しく診断するために、近々に腹部MRIを追加検したいということになった。しかし東大病院のMRIは3カ月待ちということで、別の専門クリニックの紹介を受けて、次の休日にそちらで検査を受けることになった。いろいろ待つしかない立場で、やれることは限られているのだが、何かと気ぜわしい気分になってきた。

診察の翌日の10/2からは出張であった。行程は、10/4に帰宅するまでの3日間で、自宅(千葉)➩東京➩福岡➩佐賀➩福岡➩東京➩山形➩仙台➩千葉(自宅)を移動するというかなりの強行スケジュールであった。そんな中、10/3の14時頃、新幹線つばさで山形に向かっている最中に、知らない番号から携帯に着信があった。手術の枠が確保できるという『パズル』のコーディネーターからの連絡であった。候補日程は、2週間後の10/17入院で、翌日10/18手術というもの。想定していた日程が一気に早まる驚きのスケジュールであった。手術スケジュールがぽっかり空いたのは、誰かがコロナに感染し、手術をリスケせざるを得なかったのかもしれないと思いつつ、仕事やもろもろの日程調整をして、折り返し回答しますと言って、一旦電話を切った。これをを逃すと次はいつになるかはわかわからない。調整は必要にはなったが、結局その提案通りの日程で、入院、手術をすることに決めたのである。

(いまココ)東大病院への入院を控えて

そして今週木曜日10/17からの入院を控えて、今は自宅で過ごしている。感染症感染を避けるため、外出時にはマスク着用はもちろんのこと、外出そのもの必要最低限の留めて、基本は自宅で過ごしている。休日は遊び予定もすべて止めて、仕事もテレワークで対応している。

そんな中、入院用のグッズなどの準備をし始めた。入院用の靴は、転倒の危険からスリッパやひも靴は厳禁になっていたので、何にしようか悩んでいたのだが、かがまずに立ったままはけるという「スケッチャーズ・スリップインズ」というスニーカーのことを知り買ってみた。確かにかかとに体重を掛けるとスポッと足ごとスニーカーに入ってくれる。よしよし。下着も1週間分新調した。

病室は、個室という選択もあったのだが、想像以上の差額ベット代(25,850円)に少々ビビッてしまい、結局相部屋(4人)を希望した。これにも差額ベット代が5,500円発生する、すこしゆったりしたタイプとそうでないもの(差額ベット代なし)がある。ちなみに差額ベット代が発生するタイプには、レンタルパジャマやタオルもついてくるので、断然そちらの方ががラクだと思い、第1希望としている。どちらのベットになるかは、入院当日までわからないとの連絡が今日病院からあった。仕方ないことだけど、なんだかヤキモキしてしまう。

病室内では、wifiが使えず、PCも持ち込まないので、入院中の過ごし方は、備え付けのテレビを見るか、スマホを見るか、読書をするかくらいしかなさそうだ。

テレビでは、DeNAファンのぼくにとっては幸いなことに、プロ野球のクライマックスシリーズの中継がBS放送で中継されるが、それが院内テレビで受診できるかどうかは定かではないし、中継が見られたとしても消灯時間が21時と早いので、ナイター中継の途中で消さなければならないかもとか…、契約しているスマホのギガは動画を見たら、すぐに消費しちゃうから映画とかもあまり見られないかもとか…、本はとりあえずなかなか読めてない本を1日1冊分くらい持って行こうとか…、治療以外のことをあれこれ悩んだり、考えたりしている。実際に入院すると痛みや治療でそんな余裕はまったくなくなるかもしれないのだけれど、今だから言えるひとときの余裕の言葉なのかもしれない。腎臓にいる【彼】とお友だちは、今、どんなことを考えているのだろうか?

立ったままはけるという「スケッチャーズ・スリップインズ」。還暦過ぎているので目立つレッドにしてみた。本は10冊。積読状態になっているものや、今一度再読したいものを集めてみた。実際にどれだけを読めるかは別にして、持って行くのだけでも心の安定にはなりそうな気がする。

前述した通り、病院にPCは持ち込まないので、Note記事の続き~入院・手術~については、リアルタイムでは投稿はできない。シャバに出たら【彼】との対話も含め、後篇として記したいと考えている。

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