見出し画像

スロウ・ダメージ クリア感想

お疲れ様です。
仕事中ですが各所から返信が来ないのでnoteの更新です。

タイトルにあります。スロウ・ダメージ、この度クリアいたしましたのでこの長い感想を吐き出したいと思いました。
クリア感想なのでネタバレでしかないです。

私が今回プレイしたのは普及版(2023年4月28日発売)ですが、無印は2021年2月25日と発売から数年の時が経っています。なぜ今この作品に出会ったかというと、つい最近、原画展開催のお知らせがXで流れてきたことで思い出しました。Xのおすすめ欄も侮れない。
実は当初、ティザーPVは見ていたのですがまだ先だな~なんて楽観していたら流行り病で私生活もいろいろあって忘却しておりました。スロウ・ダメージの制作もこの余波を受け、ライナーノーツを拝読したところかなり難航したようでした。マジで発売してくれてありがとう。

追記:原画展当たってました!18禁の展示を見るときどういう心持で行けばいいの?にこにこしてていいのかな

そんなわけでいざスロダメを実際にプレイ。

めちゃくちゃ面白かった。
形式としてはノベルゲームで、主人公トワのちょっとした特技というか、対話を試みることで相手の欲望を暴き出すというものがあります。
(営業職の用語でもありますよね、『潜在ニーズ』を引き出してあげる的な。)
言葉(キーワード)を舞台となる新神海の探索パートでゲットして特技(euphoria)パートの際に相手に投げかけていき、相手の感情ゲージを狂気、幸福のどちらにもっていくかを決めていきます。

実は私、BLゲームは初めてでした。
それっぽい作品はありますがあくまでもぽいだけで。
元々PCゲーは好きだったのですが、社会人になってからは家でのPCの起動は腰が重たいと言いますか。昔から風潮はありましたが、PCゲームもある程度のヒットになると移殖版が出るのであえてそれを待つこともしばしばありました。
学生時代はグリザイアシリーズや車輪など男性向けの作品を好んでいました。ストーリー重視、かつ重たい題材が絡むと尚良しみたいな。久々にPCゲームならではの良さや(R-18って最高!)、あの頃の画面にかじりついてテキストを読んだわくわくを思い出しました。
ぶっちゃけスロダメに関しては、すごくよく作られた良い作品に出会えたのがうれしいです。


以下は各キャラクターの感想です。
最初、気になるキャラだけさくっとやろうかなーと思っていたら、
タク、レイ→斑目→藤枝
と解放順があります。藤枝ルートはいわゆる真相ENDとなっています。
ちなみに私がPVを見た時から気になっていたのはトワとタクです。


トワ

ダウナービッチ系でなかなかいないパンチの効いたキャラでした。上下黒の衣装がデフォルトで全体的に色彩がないです。最初に見たときは主人公にしては攻めたデザインだなという印象でした。(オールブラックコーデの主人公ってDARKER THAN BLACKくらいしか思い出せない)
初見のユーザーでは特筆した見た目の特徴をぱっと見つけるのが難しい分、本編を進めていくうちに、差し色があるとか目がきれいだなとか傷がこんなとこにもあるんだとか発見が生まれてきました。あとデフォルト衣装がシンプルで露出がない分、脱ぐと肌の白さと傷と相まって非常に映える。
トワは何もないシーンですら色っぽい表情をするので、男性的な体格(手もちゃんとごついし肩幅もある)と女性的な目線が共存する魅力的があります。

なにより働いているのが偉い。酒で薬を流すような荒んだことしているので最初はマジのひもか?と思ってしまったのを謝りたい。後に分かったことですが、酷い境遇なのに育ちが良いのでテーブルマナーもこなせるし、話し方も決して人を『否定しない』心根がやわらかいキャラです。どことなく上品。

序盤に鷹郷組の構成員の三人と、偶然公園で会った時に『二人とは寝た』とか心の声がでてくるから思わず二度見した。バーで声をかけられて路地でもつれ込んだのはまあ他人だしワンナイトか…と流しましたが身近な人物とも寝てると。この時点で私はおそろしくなって既にタクとレイとも寝てたら攻略どころじゃねえと思いました。そことは寝てなかったか。(なお斑目…)


これは全ルートのトワに言えることですが、自堕落に生きているところに亀裂生まれて問題を乗り越える。最終的に各攻略対象のキャラたちがトワに今後の生きる理由をくれます。
また、真相ENDの後の演出ですが、トワがゲームのメインメニュー(アトリエ)から消えて窓も開いています。元々ここは淀んだ色と極彩色が使われたアンバランスな『トワが見ている景色』でした。euphoriaの活動として絵画制作をしたり過去を忘れて自堕落に生きてきたトワの罪があのアトリエだったのでしょうか。私はどのルートを辿ったトワもここから巣立ったという解釈でいます。
特にレイルートはエンド後に陽の下で笑ってる姿がかわいすぎる。トワ本人も自分がこんなところにいるなんて~って言っていますが、これからはそれが新しい日常になるんだよ。
※euphoriaについては考察したかったのであとで考察を書きます。


トワといえば全身傷だらけです。作中で血もどばどば出るし(生稲のeuphoriaの時点でビビる自分)苦手なプレーヤー向けにオンオフ機能があってもいいかもなとか思っていましたがそれだとこの作品とトワの行為の意味が伝わらないんだなと気づかされました。
特にタクルートで痛みを求めるトワに対してそれは自慰行為だというシーンがありました。『生きてる感覚を実感するためにやる』を原理だと考えると人間だれにでもある刹那的な欲の衝動なのかなって。

話がちょっと逸れますが、ODについて。ちょうど私が事務員をしていた学校で学生がODに走ってにとんでもない事態になりました。
そのため、部署の課題としてレポートを書く機会があり、ドキュメンタリーや講演会に足を運んで勉強しました。ぶっちゃけ勉強するまでは市販薬の過剰摂取をするくらいなら他に手っ取り早く死ぬ手段なんてたくさんあるのにくらいにしか考えられなかったです。
私なりに結論付けたのは生きるための手段。辛い、とかもう生きてけないやるせなさを一時的に失くすためであって死ぬためではないんですね。
希死念慮といったところでしょうか。

これを踏まえて面白いのが、トワはいつ死んでもいい旨を作中で何度か言っています。しかしながら自分で命を絶とうとしたりはしていないので(藤枝ルートを除いたトワの信条的な部分です)自然な流れで死がくるのなら受け入れるスタンスなのかと思いました。実際、生稲、浅倉とのeuphoriaの後に死にかけてタクやレイに電話しているので。

柊三太さん演技がうまい。そりゃそうよってかんじですが。
本気でスロダメも最近アーカイブで追いまして、柊さんへのオファーをしたくだりで演技への信頼が伺えてにっこり。でも本当にトワなんですよ。男性的な低音なのに声をひそめると女性的な色気も見える魔性のボイスでした。

私的にクリニック勤務のトワの制服姿と斑目ルートで見られるスーツのトワが大好きです。なぜあの恰好でエロシーンがなかった。
(でも斑目がコスチュームプレイで興奮する男にも思えないのはわかる)
諦めきれません先生。特にマスクプレイは昨今のBLで人気なはずです。私が描くしかないんでしょうか。それとも当時プレイした先人のネキたちも同じ気持ちでしたでしょうか。

攻略キャラクター

タク

初見の印象はこの見た目で医者!?です。BLにおける医者ってそれこそ浅倉みたいなビジュアルをイメージしてたので。
実際のタクですが優柔不断で臆病、思いつめやすいの三拍子です。
トワからすればじれったく感じる部分はあると思いますがある意味で攻略キャラの中では一番人間らしい葛藤ができる人だと思います。根が良い人なので。それもあってか尻を叩いて判断を迫るとか発破かけられるトワは相性がいいのかも。

幸福ENDの遠野おじさんがトワのことを呼んでるときに盛り上がってはじめるシーン、トワが痛みや暴力ではないやさしさとか愛のあるセックスを体験していて嬉しくなりました。

嘘です。全身幸を感じてトランス入ってるトワ困惑してて激かわい~~~ しか考えていませんでした。ここまでの話が重かった分、処女帰りしててそうだこれBLゲーだったね!ってなりました。

トワの女装もなかなか良い仕上がりで当初は私の中で大盛り上がりだったのですが、後に藤枝ルートをやって母親のことを知るとあの姿でのエロシーンがなくてよかったなと思います。

このルートではトワの過去はしまわれたままです。この先何かの影響でふとフラシュバックがあったとしても死ぬまで隠し通して、悪夢をみたら優しく抱いてやれタク。タクの幸福ENDは『隠し続ける覚悟』が決まった表れなのかなと解釈しました。
トワが実の母親から受けていた傷を小さいころから治療していたわけですからおそらく館で何があってトワが何をされていたかも知っている上で黙っていた可能性があります。自分も鷹郷組というか遠野に恩がある手前で新神海からは逃げられないし。オフィワにあるベッドで寝ている小さいトワの手を握っているタクのイラストで脳が破壊されました。FDが今後あったとしてそのあたりの話が来たら胃が痛すぎる。
そんな過去だと仮定して、自分の手元にトワを置いて開業医をしていたわけなので、今度こそ本当の意味でトワを守って安心させる存在として一番近くで生きていってほしい。

タクについてはドラマCDも視聴済なのでその感想も。
トワのこと嫁にもらっておいて覚悟ができてねーな?!と思ってたけど最終的には腹くくったのでお幸せに。トワが嫉妬したりわがまま言ったり本編で見られない恋人が抱く感情みたいなものを露呈していてかわいかった。


レイ

私は終始レイちゃん呼びしていました。レイちゃん大好き友達にしたいタイプ。ルーストの仲間も明るくていい人ばかり。

おいしそうな飯もたくさんでてくるしなんなら作ってくれる。
余談ですが『食事』のシーンというのは映画でも小説でも『日常』の象徴として使われることが多いです。トワのアトリエで、ファミレスでごはんを囲むシーンなんてまさにそれです。タク、レイルート自体がトワの記憶は戻らないけれども日常→事件(非日常)→日常へ帰るものなっています。特に料理を振舞ってくれるレイちゃんはこの印象が強いです。
(ただレイちゃんルートでの親子丼だけは皮肉すぎるチョイス)
そして序盤からトワもレイちゃんの手料理ならちゃんと食べる、そんなの愛じゃん。

レイちゃんルートをやってて思ったのがトワがよく喋るなと。
レイちゃんが話しかけてくれるシーンが多いからそのようになっているのもあるんですが(冷蔵庫のあれ食べた?とかトワはどう思う?とか)二人は序盤の印象不思議だなって。恋愛になるのかわからんなとも思っていました。
でも、このルートはレイちゃんを描きたいっていうトワの目的も大いにあるかもしれないけれどもすごくレイちゃんの事情に自分から突っ込んでいくんですよね。トワの行動がイケメンな部分が多く見られました
レイちゃんルートだとトワはガチで自分の過去は忘却しますが必ずしも悪いなんてことはない。

当初からそうですがトワはレイちゃんのいうことなら基本聞くし、恋人になったからこそ、身近な存在になったからこそ焼ける世話がどんどん増えていくんだなと思うとめちゃめちゃハッピーかわいいカップルなのでは。

斑目

顔と声が良くなかったら許されないだろ。当初は暴力と水とパンの印象しかなかった。
トワのこと攫っておいてこの仕打ちなので俺らのトワに何?って感じで私はキレそうでした。が、首輪つけておまえを飼う発言だったのでニトキラあるあるそっち系だと察しました。飢餓寸前まで食べ物に手を付けないトワもこれまた強情で好き。

斑目はマジで愛情表現が下手で口にもしないために分からないだけで激重攻略キャラです。しかも余裕がある。攫った後トワを解放はしたけど絶対に俺のところに戻ってくるっていう自信があるからこの攻めは強い。
そして鷹郷組は潰すけど金も権力も興味ない男がトワにだけは執着してるこの贅沢さ。

斑目ルートではタク、レイと過ごした日々に違和感を感じ、二人といた日常とは決別する形となります。この心情もまたいい。攻略ルートの順番が決まっていたことによくできてるゲームだなと。

あと圧倒的感謝。抗争時代の金髪トワのスチル。当初は毛先が金でおしゃれキャラデすぎる~とか思ってたんですけどまさか過去の男の名残だったなんて。 そして幸福ENDでみられる現金髪トワ。また斑目の色に染められちゃったわけです。ここで他の男の名前だすなという感じですがタクルートでは完全に毛先の金がなくなって髪も伸びて黒髪になっているので昔からつるんでいた男2人のルートの対比がどえろすぎる。

ドラマCDも拝聴しましたが、トワを傷つけるのは今後斑目だけの特権になるのだと思うとこの二人のつながりは恋人じゃないし愛じゃないのに暴力による繋がりを感じます。(本編でもドラマCDでも終ぞ『好き』ってお互い言わないので)
元鞘ってやつですがなぜか私はトワが斑目にNTRれた気分でえんえん泣きました。何故なんだろうか。誰も最強の雄の象徴みたいな斑目に勝てねーよ。

藤枝

ダークホース藤枝。いやPV見ただけじゃラスボス攻略キャラだとは気づかんて。まさかの正統派イケメン枠。
今までもちらちら他のルートに登場していましたが印象という印象がなくただの堅物そうな弁護士だなと。まあ新神海にいる弁護士って時点でワケありでしかないんですけどね。

この藤枝ルートですが全ルートを解放後に現れるいわゆる真相ENDになります。急にトップにうさぎのぬいぐるみでてきてそういやこれなんで部屋にあったんだろう?とかeuphoriaのときに揺れてる砂時計赤いけどトワの部屋にあるのは色違いなの?とか。
ありとあらゆる伏線回収がされる回です。

藤枝ルートのトワはとにかく傷つく。特に過去を思い出して自暴自棄に走るくだりが見ていて辛かった。今までは暴力と同等の快楽を得る手段として街をふらついて相手を見つけて行為を繰り返していましたが、今回は明確に自分への『罰』としてレイプされてぼろぼろになります。このシーンはその場限りの人間となんて星の数ほど行為をしてきたトワだけれどもスチルがあるくらいなので制作側も意味を感じてほしい部分なのかなと。

藤枝とトワは複雑なのもありますがルート中に1回も『好き』って言葉は双方から出てきません。オフィワの後日小説でも二人の関係性に名前はないしこれから一緒に人生をやり直していく2人として見守りたい。

ただ個人的には終始藤枝が『人間できすぎてる』と感じたので、これからトワと過ごしていく中で彼の弱さや葛藤が見えていくのかなとこれからが楽しみなキャラでした。

摩耶

人心掌握

なんか特殊能力というか才なのかそういった人心掌握をトワにかけていましたが今となってはそれが幸か不幸かというとどちらともいえない。
これによって救われもしたしトワ自身の記憶を自ら封じることにもなった。
この力を使って上り詰めた摩耶ですが、この館が繁盛して鷹郷組も潤ったのでしょう。しかしながら摩耶はこの力で金儲けをしたかったのか?と言われるとそういった目的でもないように思えます。
やり方はぶっ飛んでいますが日記にもあったように誰かに寄り添える人にはなっていたんでしょうか。彼女の本名が優真なのもこれまた皮肉。

怪物なりに愛があったんじゃないか?

摩耶は最後の日記で自身の怪物性について自覚していました。
(『非情な怪物』)
榊が言うには、摩耶は自分は相手にどう見られているかを完璧に理解した上で、自分の思い通りになるように誘導することができる、神様のような存在ってことでしたよね。摩耶自身もその怪物に飲み込まれていたと考察しました。だからこそトワを愛していると綴っている部分で「そう思っている」とか「わからない」とか乖離的な表現で書いたのかなと。トワを愛する心はあったけど歪だっただけのひとであると言えます。トワは実際は売りものにされて、でっかい傷がついたのは事実ではあるけれど、確かに『母親からの愛』はあったし摩耶なりに葛藤していた。最後にトワがそれを知れたことがほんのちょっとはトワにとって救いになったかもしれない。

あの館

大丈夫というワードが出るたびにバグのような演出がはいります。本気でスロダメでも解説がありましたがEuphoria(館)の大階段が映るのにはでヒヤッとしました。そこで個人的に思ったのですがあの館の象徴部分は制作陣的にもあの大階段だったのかなと。そこで主人の摩耶。
ぴんと来て調べましたが、あの造形はマヤ文明のピラミッドを彷彿とさせるつくりですね。ピラミッドは最大の祭祀建築とされて発見されています。
そもそもピラミッドって何してたの?ってことですが、検索したところ王族の墓、礼拝所、生贄を捧げる場と出てきました。しかしながら定説が多いのでこの辺は曖昧だそうです。個人的には礼拝所に近いのかなと思いました。礼拝についてはキリスト教関連のものを調べました。噛み砕いたことを言うと、『神に従順になってその敬意を表す態度』をもってして礼拝になるそうです。摩耶にすべてを曝け出して、願いを叶えてもらう場所(祈り)という解釈をしました。
人には言えない、世間的に憚られる欲求を満たしにあの館に訪れる客にとって、望みを叶えてくれる摩耶のことは神に見えていたでしょう。榊の崇拝ぶりもだし、Tipsにありました生稲の父の恍惚具合がまさにそんな感じでしたね。

Euphoria(トワの行為について)

結構考えさせられましたがトワって絵描くのが趣味だし芸術肌なんだな、で片づけていましたがこれちょっと歪じゃない?Euphoriaの後は寝食も疎かにしてこの暴いた感覚を新鮮なうちにキャンバスにぶつけて没頭します。そして怖いのが完成した絵には興味がないとう部分。

芸術家って自分の作品を『子供』に例えたりするそうです。
愛情を注いでるし制作工程中はまるで子育てなんていうくらい完成したものにはその時の感情と経験が詰まっています。自殺を謀るシーンでは自分を中心に作品で囲んでいます。芸術家でいう『子供』『遺作』ではなく自分もろとも生み出したそれをなかったことにしようとしています。トワにとってEuphoriaで生み出した作品たちが自身が行ってきた『罪』だと悟ったのかな。

また、暴き出した相手の欲を描きだすことによって『叶えてやる』ことに昇華しているのかなと思いました。
この辺は個人的に理解できてしまう部分があり、自分の中の抽象的なものをすべて文字で書き出してみる行為が近しいのかと思いました。調べてみたところ筆記開示【エクスプレッシブ・ライティング】とかいういらしいです。

トワの場合は暴いた欲を受け止めて、それを絵にする行為で客観視していたのではないでしょうか。
だから完成したものには興味がない。

タクルートではタクを描き続けて待っていたとか、オフィワの小説でも再度筆を持つようになった部描写があったので、絵を描くこと自体は本当に好きなんだと思います。
小さいころに母親と絵を見に行っているくらいなので鑑賞するとか、自分で描くとかの芸術を好む部分はトワ個人の『らしさ』です。

その他登場人物や感想

エイジ

トワが冒頭で会った鷹郷組の構成員、寝たことあるうちの二人ではなく寝たことが無いのがエイジ。エイジルートはないのか~と思いましたが寝てるとこ想像できるか?と言われれば何故か情景が浮かばない。
掴みどころがなく飄々としているけれども、味方にいると頼もしい。と、思っていたけれど敵に回すと驚くほど厄介。
彼なりに新神海が好きであるがゆえに榊の計画に協力していましたが、藤枝ルート以外では特に個人的な協力はしていなかったのではないでしょうか?新神海が『面白くなる』面白くならないなら『無くなっていい』とのことなので他ルートではそれぞれ手引きはするものの自身の目的に沿った動きはしなかったのかと思われます。観測者的なポジション。
真相ENDでやっと正体が分かるのも面白いし、なかなかトリッキーなキャラでした。
三白眼!三白眼!

いろんな親

トワはメイに会うまでは逃げ出そうとか辛いと思っていなかったのではないでしょうか。というか自分が置かれている状況の異常さが分かっていなかったのでは。幼い子供にとって父親が居ないも同然な場合、最も近くにいて頼れるのは母親だけです。トワにとっては摩耶が世界になるわけだし親子にしては歪な関係だったといえます。だからこそメイに出会ってから目が覚めてトワ自身が母親を突き落とした事実は辛いね。

レイの父親もそうですね。最後はデスマッチ中にレイを応援していたし
愛が全くない、と一括りにもできないけどカスといえばカス。
タクの母親は薬に走るし、藤枝に関してはメイちゃん売ってるし擁護ができない毒親。
斑目は全く家族の描写はありませんでしたがカタギにとっての家族って組のことなのかと。

このスロダメ、親に狂わされた子供の視点から成長するにつれての呪縛を描いて親の顔を出すからむしろ親も重要なキーワードなのかなと思います。
親の心子知らず、子の心親知らず。
何か話し合えていたら、きっかけがあったらこんなことにはならなかったのかなとか。でもその時は無理だったんだよね。

作中では夢の描写が『赤』が基調とされていました。
夢占い的な観点でも『不安定』『ストレス』といった意味合いだそうです。
実際進めていくと館の内装が赤いのでトワにとっての不安定でストレスのかかる記憶だったのでしょう。

駄菓子屋にある絵画について。
摩耶はあの絵画を好きではないと言っていますが(Tips幼少の記憶2)トワのために購入していますし最終的には流れ着いて駄菓子屋のおばあさんの元へ行きます。
あの絵画は当時の摩耶にも黒塗りにみえていた、だから好きではなっかた。
または、本来のあの絵画のいかにもな『幸福感』『慈愛』に耐えられなかったか。最後、あの絵画を見たトワが涙を流すのを見て、そういったモチーフを感じ取れる作品なのかもしれないと思いました。
藤枝ルートに入る際のOPでは館の階段に向かって絵を描いているトワのカットが入るのですが、黒塗りだけれどもその絵がこれに似ているのではないかと。あまりにもキーワードだった。

トワの記憶まわり

トワは館で摩耶の日記を読んだ後に風景の色覚が正常になっています。もともとあの絵画が黒塗りに見えていたり、町の風景が淀んで見えたりしましたが色覚異常ではなく(絵画制作はできるし、クリア後のアトリエでも作品に変化がなかったため)自分に不都合なものを思い出さないようにし改編していたのではないかと思います。
トラウマによる記憶の混濁は人間あるものですが、決定打はうさぎのぬいぐるみにある名前の見落としです。あんな目立つところにあるのに見えないというのは明らかにそういった症状だなと。
また最もトワが思い出したくないことは、母親が何をやってたかとか館の存在ではなく母親を自分が突き落としたことにあるのかと思いました。『大丈夫』の演出、オフィワのイメージボード(恐らく今のトワが幼い自分が母親を突き落とすシーンを見ているのかと)、藤枝ルートに入る際のOPに階段から転がり落ちるシーンがあります。結果としてトワが負った一番でかい傷になったのでは。

個人的に好きなEND

印象深いのは真珠楼ENDです。
摩耶になってしまった部分と、抗っているのかところどころ本来のトワの側面が覗いてくる会話の応酬にぞくっとします。あの実直な藤枝が堕ちていく様が見られるのがまた好き。
最後の「助けて」でガツンと心を殴られて、顔の見えないトワから出た笑みの後に流れる真珠楼。タイミング完璧すぎるだろ。こちらの真珠楼に関しては歌詞を見て絶句。藤枝はどんなに暗くてもトワの居る海の底まで迎えに来てくれるんですよ。トワである可能性があるから一緒に沈んでくれる。
頼むからスロダメが映像化したらこのENDをOVAで作ってください。

頭ぬけて面白いなと思ったのは斑目の幸福ENDです。
俺らのトワがNTRれた!とかギャルトワ最高!とか言いましたが、単に本編になかった過去のトワと斑目の距離感が『これ』なんだなって見せつけられた感があって敗北に浸れるからです。あとトワ自身は本編序盤だと無気力な日常を送っていたのもあって、完全に非日常へ連れ出した(戻された?)このENDはプレーヤーとしても新鮮でした。他の攻略キャラの幸福ENDやその後では結ばれたキャラ以外も登場する機会がありますが、斑目ルートに限っては完全に遮断されて2人だけのランデブーなわけです。やってることがスケールでかすぎるし、本当に斑目はトワにだけ執着してる表れにも思えます。
こんな強引なことができるのも斑目だけだし、そんな奔放な斑目に惹かれるのもトワなんだと思います。

前述で少し思ったのが映像化することがあれば真相ENDが丸いのかな、とか。でもよく考えると贔屓目に見ても特にタク、あまりにもトワ中心で生きてきたのもあって隣にいなくなるルートを見ると精神的に大丈夫なのか?という心配があります。斑目ルートに関しては完全にタク、レイの前から失踪しているのでそれもですが、藤枝が真実を追求したのに対して、タクはトワの記憶を封じるというあまりにも真逆のパートになります。でも複雑な気持ちもありつつトワの選択であれば応援してくれそうな気もする。

感想

こんなに感想を吐きだせるくらいには脳を侵食されたし考えさせられるゲームでした。 FD期待させてください!!!
自分の妄想で補うには膨大すぎるので、過去編をください。
やさぐれ医学生のタク、学生時代のストーカーレイちゃん、組にいたころとか傭兵時代の斑目、ホスト時代の藤枝…全部みて~!

あと本気でスロダメのライブドローイングも観させていただきました。山田外朗せんせいのイラストが大好きになってしまいました。
ちょっと…今から展開をどんどこ増やしていただくことは可能でしょうか。とりあえずあの輸血ドえっちフィギュアは予約します。
 
以上


いいなと思ったら応援しよう!