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竹工作 [親子で体験、竹馬つくり:後編 役割分担]

子供が自分で作る

私は竹林整備活動にボランティア参加し、その中で竹の活用を考えています。
竹で作るものといえば、竹馬。ある程度の年代の方なら少なからず思い出があるのではないでしょうか。
自分で乗る竹馬を子供が自分で作る。大人は少しの補助をするだけ。
そんな体験イベントのお手伝いを何度か行ってきています。
ノコギリを使ったことが無くてもOK(幼稚園生くらいから、初心者歓迎)です。

前編では、竹馬の作り方を紹介しました。
後編(この記事)では、子供さんが自分で作る際の、大人(親)と子供の役割分担を紹介します
後書きでは、こうした取り組みの背景、私の体験など紹介します。

作り方

竹馬の作り方は、前編で紹介しました。
構造や、工程はそちらを参照してください。
ここでは親子で、特に子供さんが「自分で作る」とう体験をしてもうための役割分担やポイントを紹介します。

内容は4つ。
1)竹を切る、2)竹を割る、3)竹を縛る そして 4)その他 です。

1)竹を切る

役割分担

切るには2つの要素があります。竹を固定する(押さえる)ことと、ノコギリを動かす(切る)こと。
どちらも同じくらい重要です。しっかり固定するから、うまく切れる。
大人になれば左手で押さえて右手で切ることができます。つまり一人二役。
でも初めての子供が一人で二つを同時にするのは困難。

そこで役割分担します。

大人は竹を固定することに徹します。しっかり押さえてあげてください。
子供は切ることに集中できる。
”切る”ことの主体は子供です。

ノコギリの使い方

では子供のノコギリの使い方です(大人にとっても、基本になります)。

最初に少しだけ竹に切れ目を入れます(これは大人の仕事)。
その切れ目にノコギリをいれ、前後に動かしてもらいます。
切ろうとせず、動かすだけです。
でも多くの場合、ひっかかってうまく動きません。(この体験が重要)

こんどは大人の番。次のように説明してあげます。
ノコギリを2本の指でつまんで、竹の切れ目にいれ、前後に動かします
切れ目に“真っすぐ”なら、簡単に動きます
動きが左右にぶれると引っかかって動かない。斜めに傾いても動かない。
この様子を見せて説明してあげます。
もう一度書きます、「指でつまんで」動くかどうか。
これが重要です。

真っすぐなら、楽に動きます

次は子供の番。
ノコギリを指でつまんで“真っすぐ”に動かすことを覚えてもらう。
ゆっくりで良いです。切ろうとせず、動かすのみ。
これは自分の体、自分の感覚でしかわからない事。
時間がかかる場合もありますが、この試行錯誤の時間、体験が重要です。
(大人は竹をしっかりおさえておいてください。)

ゆっくり、真っすぐ動かす

良い動きを見つけたら、ほめてあげてください。
私は「マッスグ。・・・ マッスグ。・・・ いいね!」と声掛けをしています。

動くようになったら、今度は少し速く動かしてもらいます。
良い動きを見つけたら、私は「マッスグ、マッスグ、マッスグ、マッスグ、 イッチニ、イッチニ」とリズミカルに声掛けしています。
この時も切ろうとせず、速く楽に動かすことのみです。
動きを体で覚えることが重要です。

真っすぐ、リズミカルに動かす

それができたら、いよいよノコギリを握って、少し力を入れてみてください。
但し、引っかかったら初心に戻って、力を抜いて動かすことに集中。
動きが真っすぐなら、どんどん竹が切れていきます。

2)竹を割る

役割分担

竹を割るためには、竹を立ててナタを当て、それをたたく必要があります。これも切るとき同様、一人二役は大人になってから。子供一人ではむつかしい。

そこで役割分担します。

大人は竹を立てナタをしっかり握って竹が半分になる位置にあててください。
子供はそのナタを金槌などでたたくことに集中する。
”割る”ことの主体は子供です。

割るときのコツ

一生懸命たたいても、地面の上だと衝撃が竹に伝わりにくく、なかなか割れません。そこでアスファルト路面や石、大きな木材など硬い物の上で作業すると良いです。

最初の節が割れるまでは少し時間がかかりますが、何度もたたいてもらいます。
大人の視点では“じれったい”と感じることもありますが、ジッと待ちます。
子供にとっては、おもちゃじゃなく、本気で叩ける貴重な時間です。

最初の節が割れ、ナタが竹に入り込んだら、今度は叩く位置を変えます。
多くの子供がそのままナタの中央をたたき続けようとします、要注意です
そうして最後まで割る事ができます。
パッカーンと割れるので、達成感がありますよ。

竹割り

3)竹を縛る

役割分担

特に難しい縛り方をする必要はありません。一般的な方法、”かたむすび”でOKです。初めての子供には結び方を教えてあげてください。

ここでの役割分担は何か?

大人は竹をしっかり持つことと、1回目の結び目が緩まないように押さえてあげる。これだけです。
子供はしばることに集中する。
”縛る”ことの主体は子供です。

縛るときのコツ

子供がやることは、「絶対にほどけない~」って言えるくらいに力いっぱい縛ること。
そのためにはロープをしっかり握れるように長めにしてあげてください。
また、1回目の結び目を大人がおさえ、もう一度結べばOKですが、(硬いロープなので)緩み防止にもう一度結んでください。

縛り方

「自分が乗るんだからね、きっつく結んでね」と声をかけてあげます。
もし竹馬に乗る時点で“ゆるい”と感じたら、その時はやり直せばいいんです。
どうなったからダメで、どうやり直すか。
これもまた貴重な体験になると思います。
だから大人は余計な手出しをせず、子供に結んでもらいましょう。

4)その他

大人の仕事

ステップを縦棒に縛り付ける際に、片方縛った竹(ステップ)を広げて縦棒に挟む必要があります。これは大人の仕事です。ステップがしっかり縛ってあれば、広げるには強い力が必要です。この力を確認し、縛り具合をほめてあげると良いと思います。(ゆるい場合は縛りなおしてください。)

ステップを縛る

乗ってみよう

乗り方を教えるコツ。それはまた何かの機会に書きたいと思います。
いろいろ試行錯誤し、親子で少しづつ上達を楽しんでみてください。
自転車が(あるいは幼稚園によっては一輪車が)乗れるなら、必ず乗れるようになりますよ。

ある時、とあるお母さんに「この竹馬は大人が乗っても大丈夫ですか?」と聞かれたことがあります。
答えはYes。もちろんあまりにも重い方はNoですが、60㎏の私はOKでした。

但し条件があります。
1)縛る
子供が縛ったなら子供が乗れます。
大人が乗るなら大人が縛ってください。

2)縦棒の下端
子供が乗るなら、特に問題ないでしょう。
大人が乗るなら、節の少し下でカットされていることをお勧めします。
(節より離れてカットの場合、割れやすくなります。)

縦棒カット位置

また、使っているうちに、縛りが緩んでくることがあるかもしれません。
それを感知できるって、すごいこと。これも体験。
自分で作った物だから、自分でなおせます。縛りなおしてください。
作り方、構造がわかっているからメンテナンスできます。
また、子供が大きくなったら、新たに高い位置のステップで竹馬を作ってみるのもよいかもしれません。その頃には子供たちだけで作れるよういなっているかもしれませんね(刃物の扱いは要注意ですが)。

最後に

冒頭にも書きました、体験イベントのお手伝いを通して私が学んだ方法を書いてきました。
「大人」と「子供」という書き方をしていますが、それは体験イベントでの「私」と「参加者(お子さん)」という意味です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
多少の失敗もまた貴重な経験。
大きなケガは避けつつ、親子でモノづくりを楽しんでみてください。

後書きでは、こうした取り組みの背景、私の体験など紹介したいと思います。

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