見出し画像

竹工作 [竹のボトル・ケース]

究極の逸品を

ボランティアの竹林整備活動で竹をたくさん切りながら、いろいろなことを考えました。竹の中からかぐや姫って昔話はあるけど、「竹の中から…」。なにかおもしろいことはないか?。そこで竹をじっくり眺めていると、持ってきたお茶(ペットボトル)がちょうど入りそうだなぁ。竹は下が太くて、ず~っと上に細くなる。ってことはペットボトルにぴったりの場所が1か所あるはず。いわゆる“シンデレラフィット”したボトルケースを作ったらおもしろいかも。このボトルがピッタリ入るのは竹1本に1か所しかない。ぜいたくな逸品になるはず。

作ったもの

そこで作ったものが竹のボトル・ケースです。次の写真は追加作製したコーラ(300ml)用とリポD用。実用性ありません。保温性が良いわけでもなく、密閉性が高いわけでもない。機能・性能を求めるなら現代の技術で作られた工業製品の方がはるかに優れていると思います。これは、洒落です。「おもしろ~い」と思ってもらえたら、それで十分。

コーラ(300ml)用
コーラ(300ml)、ピッタリ
リポD用
リポD、ピッタリ

洒落で作ったとは言っても、やっぱり「これって、何に使うの?」が頭から離れない方へ。考えてみました。
活用例その1):このボトルに水を入れ、切り花を生けてみてはどうでしょう。
活用例その2):「お父さん、今日もご苦労さま」なんて言いながら、リポDをプレゼント。泣いて笑って喜んでくれるかな?
活用例その3):・・・

これ以降は作った時のエピソードです。

ビギナーズラック

最初に作ったのは2018年。飲み終えたお茶のペットボトルを腰にぶら下げ、整備活動のかたわらでちょうど良い太ささがし。切り倒した竹にボトルをあて「ここじゃ太いなぁ」。もう少し上で切って「まだちょっと太いなぁ」。・・・。こうして、ちょうど良い太さ、ギリギリ入る太さのところを2節分、上と下で切ったものを持ち帰りました。

この頃はまだ竹工作を始めたばかり、思いつくまま工作開始。まずはナタを縦に入れて外皮をそぎ落とし、粗目の棒ヤスリでゴリゴリとある程度削る。次にボトルの肩の高さあたりで竹をカットし、節と節の間を切り詰めました。その後自然乾燥、・・・1か月。
十分乾燥したころに、キャップ部のはめあい用の竹さがし。偶然にもいくつか持ち帰った竹の中にちょうど良い太さがありました。それを取り付け、上下合わせて全体にヤスリがけ。粗いものから最後は細かいサンドペーパーで仕上げ。本体と蓋を紐でつないで完成。

これを持って次の作業に参加。他のボランティアの方々に見せると、意外性・話題性があり「おもしろ~い」と言ってもらえることで、作ったかいがありました。それで十分。話のネタを持ち帰ってもらえたと思います。

(後に、もう一度作ることになるのですがとても苦労しました。初めて作ったこの時に案外簡単にできてしまった。まさにビギナーズラックでした。)

最初に作ったお茶用ケース

「欲しい!」

2021年9月、ある小規模な展示会がありました。環境活動を紹介するもので私がボランティア参加するNPO法人もブースを出すことになり、そのお手伝いを。その際に奥の方に飾っておいたところ、「ぜひ売ってほしい」とう方が現れました。実用性が無いことも分かってもらった上で、それでも欲しいと言われたことはとてもうれしい体験でした。手作り品、工芸品に興味のある方でした。「ピッタリ」の面白さにも共感してもらえました。でも値段がつけられず手元からなくなることが惜しくて、手放すことはできませんでした。結局その日は3名も「欲しい」といっていただける方に出会うことができました。

追加で作ろう

手間暇がすごくかかるので売り物になるとは考えていませんが、欲しいと言われたことに気をよくして追加で作る事にしました。最初に作ったお茶のペットボトル用、これと同じじゃ面白くない。小さい方がかわいいのではと考え、小さめのコーラ(300ml)のボトル。もっと小さいものとしてリポD用にしよう。前回同様、ボトルをもって竹林整備に参加。作業の合間に竹さがし。少し多めにもらってきました。

失敗その1

竹製品の1つの問題は割れること。丸竹は乾燥とともに収縮し、ほとんどの場合割れてしまいます。ある程度の厚さ(太さ)のある竹は特に割れます。外側と内側で収縮率が違うからでしょう。そこで外側を削って肉厚を減らすという方法があります。今回の竹は径が小さく肉厚も前回より薄い。そこでナタは使わず最初から粗いヤスでゴリゴリゴリ。そしてしばらく放置(乾燥)。

数週間後、そろそろ次の加工にと思って見ると、竹にヒビが。削り作業が不十分だったのか、ヤスリの粗い凹凸をきっかけにヒビが入ってしまいました。ここまでの作業が水の泡。まとめてたくさん作ろうと思ったのに~。

再度、整備作業で竹を調達してきました(何度も失敗できるって、いいことだよなと自分に言い聞かせ)。

失敗その2

今度は前回よりも多く削り、更にヒビのきっかけにならぬようにと粗いヤスリで終わらず細かい棒ヤスリまでかけてしばらく乾燥させることにしました。こう書くと数行ですが、作業量は大変なものでした。竹が真円に近ければ竹自体を回転させながらヤスリをあてるという方法もありそうでり楽にできる(自宅にそんな機械はありませんが)。しかし今回は竹の上の方、内径が小さい部分を使っているため形がいびつ。頑張って時間をかけて地道に手作業で削りました。

数週間後、そろそろ次の加工にと思って見ると、・・・。またも問題が。全てではありませんが、やはりヒビが入ったものがありました。それは。竹の上の方は枝が出ています。そこも切り取って削っています。しかしその部分は体積が大きく乾燥による応力がかかりやすいという事でしょう。この部分にヒビが入ってしまいました。でもまぁ、生き残ったものもあるんだから、これで進めよう。その前に、もう少し削っておいて様子をみることにしました。

失敗その3

ヒビの入らなかったものを使い、はめあわせ部分を作り完成作させました。その後半年ほどたったでしょうか、リポDが抜けない!。えっと思いながらも力を入れてそぉっと、抜き出すことができました。つまり、完成した(と思った)時はシンデレラフィットしてたんですが、その後更に竹が縮んだということです。“きつきつシンデレラフィット”になってしまいました。これでは出し入れのたびにボトルのラベルがこすれて削れてしまう。せっかくのこだわりが台無し。人には見せられない。。。
この1つは無駄になりましたが複数作っていたので無事に4個完成できました。”ちょいゆるシンデレラフィット”ですが。

もう1つのこだわり

太さに対するシンデレラフィット。それ以外にこだわった点が蓋と本体の“ピッタリ”です。外形は合わせて削ればよいのでぴったりにできます。問題ははめあわせ。蓋の内径より小さい竹を取り付ければよい。言葉ではそれだけですが、どちらも真円ではないものを使いたい。竹そのままの形を使いたい。そこで、気が付けば我が家には色々な太さの竹を持ち帰っていました。

太さいろいろの竹たち
はめあわせの作り方

この竹たちは1か所割りを入れ十分に乾燥させたものを使いました。この割入れにより弾力が生まれ、はめあわせの部品として使えました。本体にほぼピッタリを見つけ、蓋部分にはめ込む外形を削って調整。こうすると表に見える部分(本体側のはめあわせの表面)は削ることなく竹の美しい外皮を残して仕上げることができました。

完成した蓋

お互い真円ではく外形が微妙に違います。なので隙間ができた部分は別部品を追加。こうして蓋のピッタリが完成しました。ここまで苦労して作った蓋です。最後に本体と蓋が離れ離れにならぬよう、紐をかけることにしました。色付きの紐が良いアクセントになったと思っています。

工業製品とは違う手作り品

電動工具は穴(紐を通す)あけドリルのみ。それ以外は全て地道な手作業で作りました。できるだけ竹の形をそのまま活かしたいと思い、常に現物あわせで。歩留まりも悪く苦労しましたが、竹に対する理解が足りないからですね。よい勉強になりました。竹の年数にもよると思っています。

かけた手間暇(=コスト)に見合う価値があるか?。そう考えると厳しですね。今のところ私自身も“見合うほどの価値は無いかなぁ”と思っています。また作ることはないだろうと。
唯一このボトル・ケースに価値がるとすれば、「こんな物をつくる。そんな私」をアピールすることには使えそうです。最初に「欲しい」と言ってくれた人に出会えたように、この物を売るのではなく、私を売り込むことには役にたつかもと思っています。

(最後に)
今回、noteに投稿するために文章にしてみました。あらためてこうして頭を整理してみると、歩留まり悪く苦労したこともよい勉強になり、次につながるポイントがわかった気がします。

(おまけ)

知ってました?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?