【家賃からの解放】 都内高級マンション
「地下の駐車場にあるマセラッティも乗っていいよ」
そう言われましてもね…原因不明で行方不明の方の…しかもそんな高級車に乗る勇気なんてありませんよ…
さすがにいきなり「ボーーーン!」なんて爆発することはないとは思いますがね…
あわよくば、僕がそれに乗ってどこかに行ってしまって欲しい、という気持ちはとても…とてもよくわかるんですが、さすがにそこまで…いろんな意味で乗っかる義理はない…というのが正直なところ
場所は都内某所、ワンフロアに二軒しかない、低層なのに広大…天井高し…リビングは何十畳ですか?みたいなね
こと都内においてはタワーマンションよりも遥かにグレートが高いんではないですかね?低層のそういうマンションは
ここに滞在してかれこれもう2週間、その管理人といいますか、今回の依頼主となる会社のスタッフの方との会話
家賃は月200万円くらいだそうで…それがある日突然行方不明になってしまった…
家賃滞納など細かいことはわかりませんが、このレベルの高級物件ともなると、得体のしれない人が尋ねてくるだけでも、問題になるらしい
他の賃貸者からのクレームがくる…なにせ家賃は高いなれど戸数は少ないですからね、一軒引っ越されるだけでも、その不動産会社にとっては痛手中の痛手
こと謎の行方不明ともなれば、尋ね人による隣近所への聴き込みも引きも切り、引っ切りなしとのことで
家賃が月200万円ともなると、その事情のややこしさも増そうというもの
このままだと次の人に貸すこともできない…
かといって自社のスタッフに見晴らせたり、常駐させておくには危険すぎる
普通なら警察に相談…それも他の賃貸者がいなくなってしまう可能性に繋がり、最後の最後の手段なのだそうで
僕はなにより先に警察だと思いますけどね
「とりあえずここに滞在して、なにかあったら応対して報告してほしい」
おかげさまで僕は、都内の一等地の最高級物件に住むことに…
「明日出て行け」と言われたらすぐ出ないとダメですし
それこそ、なにがあるかわからないから…誰かを招待することもできないですし、SNSへの投稿もご法度
とりあえず、部屋に入って一揃い探索…
冷蔵庫の中身とかそのまんま…というより、ついさっきまで人がいました…という状態
旅行にでてます、というのではなく、本当に突然いなくなったんだな、と
日々のルーティンとしては、部屋の荷物を写真に撮ってリストをつくっていく
腐るものや、部屋の損傷に繋がる…植物などは、管理するか、枯れていたら廃棄するか、バルコニー(ベランダ)へ
あとは換気ですが、このクラスの物件になると空調はオートメーション…個々に調整もできますがね…24時間換気も行き届いているので、そこまでカビだのなんだの…管理の必要はない
あとは…これがメインなのですが、誰か訪ねてきたら、指定された連絡先を伝えて、ここにはもう訪ねて来ないように誘導する
そこでのやりとりや、気になることがあれば、その都度、情報をレポート(メール)する
誰も尋ねてこなくなれば、僕の仕事は一旦おしまい、ミッションコンプリートとなる、という具合
ことの起こりは2011年の震災が契機だったとのことで
このあたりのこういった低層、天井高し、リビング広し、部屋多しな物件は、海外の企業が借り上げてることが多かったそうで
それがリーマンショックを経て、311の震災を経て、一斉の帰国ラッシュ、一気に空いてしまったのだという
そこで、審査のハードルを下げたり、「まとまった家賃を前納」…一年分とかですかね、するのであれば、ある程度、目をつぶって貸し出した…
その結果、こういったトラブルも増えたのだそうで
事業がうまくいかなくて夜逃げしたなら…それはそれでアレですけど、それならまだ対処のしようがあるのだそうですが…
こうやって「謎の行方不明」が一番困るのだそうです
気まぐれな方や、それこそトラブルに巻き込まれてたり、それでも「いきなり帰宅」されることもあるそうで
そりゃ、たしかに対処に困りますよね
なんでこんなことを頼まれるようになったかというと、普段から「家がないんですよ」と触れまわっているからなんですけれども、それだけではここまでの「依頼」には発展せず
取り壊し予定だとか、相続で揉めてる最中に掃除とか管理して欲しいとか、そういう…これはこれでまた別の章でカキたいところ
「掃除」とか「管理」が「家賃から解放される手法」の中では安全かつ合法かつ合理的、しかも世の中の空き家問題を解決するなど、SDGsで、世のため人のためな…
おっとそれはそれでカキますってことで「行方不明編」を続けますね
「行方不明物件」の最初、筆おろしは「リフォーム物件」からでした
都内某所…まぁ、広尾のフランス大使館の裏あたりなんですけどね、一体、何億するんだろうっていう、少し古いですけど、これは賃貸ではなく、分譲…なのかな…
とにかく、タワマンとは違って、ワンフロアに自分たげ、みたいなつくりですし、まるで一軒家みたいかつくりになっているので、近所付き合いみたいなものはない…
それだけプライバシーへのこだわりがあるからこそ、ある意味、それがちょっとでも侵されると…なので出番があるわけなのですがね
そのマンションの一室の「フルリフォーム」していた会社からの依頼
8割方完成したあたりで…依頼主が行方不明になってしまったという
アイランドキッチンに、冷蔵庫をはじめした厨房機器や、最初から浄水器も備え付け…
お風呂にトイレに、それはそれは最新かつゴージャスな…
寝室などなど、ベッドや収納など、家具まで含めて、インテリアデザイナーも交えての、本当の「フルなフルなリフォーム」
リフォーム会社の社長さん曰く、追加料金など含めて、半金近く、取りっぱぐれがあるとか…
なにより、リフォーム途中…で数ヶ月が経過してしまっている…
なんでもいいから手がかりが欲しいが、スタッフがトラブルや事件…要するに危険に巻き込まれたら困る…
「とりあえずリフォーム業者ってことで…」
ありがたき幸せでございます
それはそれは夢の如きありがたき生活でしたよ
フルリフォームの、誰の手垢もついていたい、最高級、最高品質の、もはや新築物件ですからね…場所柄も最高
ときに警察の方がきたり…事情聴取的なね、そんな貴重な体験もできたり…
リフォーム会社の社長さん曰く、どうすることもできない…と
このまま永遠にここで住んでられるのかしら…
世の中、そんなに甘くはない…そうは問屋が卸さない…リフォーム物件も納品できない…
管理費の滞納などなど、そのマンション自体の管理会社さんからいろいろあったり…
ついに、そのリフォーム会社さんも思い腰をあげて…すべてを引っぺがしに…
ある日、戻ってみると、見事にスケリトンでございました…前金、もらってるんじゃないの?…大丈夫なんかな…
ここは長かったですね、半年以上…普通に暮らさせていただいてました
そのリフォーム会社の社長さんが知り合いに話して…その知り合いから知り合いへ…
たくさんの高級物件を管理運営されてる「某コーポレーション」の担当の方からご連絡をいただくことになり…冒頭の会話へと繋がっていくわけなのです
というワケ…ワケありありで…「行方不明」という「家賃からの解放」手法が見えてきたところで本日は〆させていただきたいと思います
誰かの不幸は誰かの幸せ…一体なにがあったのか…そのあたりに一切踏み込まない、触れない、素知らぬ顔をしていられるか…が、この「行方不明」における唯一ともいえるテクニック…最重要なポイントなのであります
長くいて、いろいろ情報が集まる起点となるわけですから、なんとなく想像もつくようになてきますがね…そのあたりはまた別の奇貝…もとい機会にカキたいとおもっています
あとは都内での「家賃からの解放」だとストーカー被害にあっている女性の家にしばらく代わりに住まう「身代わり編」だとか
若き女医の持つ一軒家に数人で住まう「まるでテラハ編」だとか
いまでこそメジャーになってますが、まだまだ黎明期だった「シェアハウス編」だとか…企業が持っていた高級社宅がベース…
それこそタイトルで内容な想像できてしまう「相続問題」…「立ち退き待ち」…「投資失敗物件」などなど
ひとつわかったことは「高級物件」ほど「ややこしきこと」になりやすく、しかもそれが「深い事情」で「家賃なしで住める」ことになりやすいってこと
本当にもったいないですよね…ここで挙げた各項目は、またそれぞれ別の章で語らせてください
海が元気な方が美味しいものが食べれる!読むだけで海に森をつくれます(Kindle Unlimitedメンバーの方は特に)よかったらご協力…ご購読よろしくお願いします☟
さらにこの「家賃からの解放」は連載してイキたいのでマガジンもつくりました☟
すでに公貝…もとい公開済みの章も2つほどございます…「僕の家賃遍歴」の①と②です☟
それではまた次の章でお逢いしませう
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