無為の天丼
〜前日までのあらすじ〜
図らずも無為な一日を過ごしてしまった俺。
茫然自失となり絶望しかけるも、たまたま調べた天下一品の公式ホームページにて適正チェックを見つける。そこで5つの質問に答え「君の適職はスーパーバイザー」という天啓を授かった。
明日以降を無駄な一日としないために、そして何よりスーパーバイザーというカッコいい名前の響きに惹かれ、俺は天下一品へ赴こうと決意したのだった───。
何もしなかった。
昨日よりも何もしなかった。
天下一品に赴くどころか、外出すらしていない。雨だったから。
伸びてきた足の爪すら切っていない。入れようと思っていた散髪の予約も忘れた。眠かったから。
その割に、昼寝もあまりしていない。昼に2時間、夕方に1時間。全然スッキリしていない。ほとんど部屋の隅の埃を見て過ごしていた。
もはや無為なんてレベルではない。虚無だ。望まぬ虚無ほど辛く苦しいものはない。
あ、ひとつやったことはあった。レヴュースタァライトを3話まで見た気がする。
まひるちゃんが初手から負けヒロインムーブをしていて可愛かった。多分まひるちゃん目当てに見続けると思う。
ただ、アニメを見たことを「やったこと」に分類していいのだろうか。何かをやったというより、何かを享受したという言い方が正しい気がしてならない。
俺がしたことはAmazonのアイコンクリックと、数度のページ遷移のみ。1kcalも消費していないであろう行動に何の価値があるのだろうか。
ダメだ、もう体も魂も心も疲弊している。こんな日は逆に家から出て、外の空気を吸ったほうが良かった。でももう遅い。もう…?え…?
魂、心、家…? 魂心家…?
えっ…?
マジで…?
俺、魂心家通います。
おやすみなさい。