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【禍話リライト】「ことん。」


ことん。



パソコンで怖い話を流していたら、後ろから聞えてきた気がしたんだ。

小さな食器を机に置いた時のような、そんな物音が。

自分は一人暮らしだし、この部屋には自分のほかに人はいないはずなのに…

パソコンからの音でもないよなぁ……


でも……

(まぁ、いっか。)って思って、無視したんだ。




                  ことん。



  ことん。

                   

                    ことん。

        ことん。

                 

                ことん。




やっぱり聞こえてくるよなぁ…おかしいなぁ……

何だろうなぁ…?

盃……いや、お猪口を置いてるみたいな感じの音?

でも、家にそんなの無いしなぁ…あるとしても食器棚に閉まってるだろうし……


でも……

(まぁ、いいや…)って思って、寝たんだ。




                   ぴちょん。




       びちゃ。



              ぴちゃ。     
  
                        ぴちょ。



           びちょ。




ふぇ…?

なに……?みず……?

なんだ…?かおに何か、びちゃびちゃかかってる……



だから……

(雨漏りかなぁ……?)って思って、目を開けたんだ。













男がいた。

自分の顔の上に男が立っていたんだ。

右手にちっちゃいお猪口持って。

寝てる自分の顔を覗き込んでいた。

自分と男の、目と目が合った。


すると……












そいつは勢いよく飲みやがった。

真上からびしゃびしゃと、男が飲み損ねたお猪口の中身が顔にかかってくる。

匂いや濡れた感じからして、ただの水だった。

それが分かった瞬間に、ようやく正気に戻ったんだ。


だから……

「えっ!?アァーーーーーー!!!!!!!」

なんて叫び声出して逃げて……

ビビってたし、パニクってたし……


あれ絶対夢なんかじゃないんだ……

少なくとも部屋から飛び出したまでのことは、本当のことだと思うんだ……


でも気付いたら、布団に入って普通に寝てて……


起きてから確認したんだけど、正直枕とか濡れてたのかは、いまいち分かんなかった…

水滴落ちた跡みたいなのは、薄っすら見えたけど…

寝汗凄かったから、自分の汗でだったかもしんないし……



あのお猪口を『グッ』ってやった奴、何だったんだろう……?

──っていう、まぁ…それだけの話なんだけど。












ところで、これ読んでるあんたの後ろから、何か音がしなかったか?




出典:【禍話インフィニティ 第三十五夜 猟奇(仮)vs怪談手帖vs忌魅恐】
(2024/03/16)(01:20~) より



本記事は【猟奇ユニットFEAR飯】が、提供するツイキャス【禍話】にて語られた怖い話を一部抜粋し、【禍話 二次創作に関して】に準じリライト・投稿しています。



題名はドント氏(https://twitter.com/dontbetrue)の表記の題名に準じています。



【禍話】の過去の配信や告知情報については、【禍話 簡易まとめWiki】をご覧ください。