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「3歳までは天使」の呪いと魔法使い

ベビーカーを押していると「話しかけていい人」になるのが不思議だ。

「かわいいねーいくつ?」
「へぇ〜、今が一番かわいい時やねぇ〜。」
「うちの子もこんな時あったわぁ、遠い昔やけどねぇ。」
まだ子育て歴が浅いので、人生の先輩が言うならそうなのかなぁと首を傾げながらぼんやりと思っていた。

3歳までは天使というのもよく言われるけど、どうなん?と中学生の子を持つ姉に尋ねると、「今もかわいいけど?」と一蹴された。
これだ。私が人から「今が一番かわいい」と言われた時に抱いた違和感の正体は。この先これ以上かわいくなることは無いと、通りすがりに何て恐ろしい呪いをかけられてしまったのか。

もちろん、これから壮絶なイヤイヤ期、反抗期が待っていて、かわいいと思えなくなる日が来るかもしれない。けれどそれは可能性の一つに過ぎず、確定している訳では無い。「今もかわいいけど?」という姉の一言が、魔法のように呪いを解いて、希望を与えてくれた。

まんまるで、宇宙語を話し、訳もなく微笑みかけてくれるかわいさは今しか無いとしても、小学生には小学生なりの、中学生には中学生なりの、その時々のかわいさに気づけるようでありたい。
もしいつか同じ呪いにかかった人に出会ったら今度は自分が魔法を使えるように、経験値を積んでレベルを上げていきたい。


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