見出し画像

たそがれを聞きに。

どんちゃんは、だいたい朝の6:30ごろにごきげんで起きだす。まずはその場ではふはふと朝の喜びを表現したあと、おかあをぺちぺちしたりきゃーと言ってみたりしてなにがなんでも起こす。
おかあが眠そうに瞼をあけて目が合うとにしゃーっと笑ってかかとをどんどん鳴らして体いっぱい喜びを爆発させる。
そうするとおかあは、眠いんだけど胸の奥からぎゅーっと幸せが湧いてきて、どんちゃんをぎゅっと抱きしめたあと、おっぱいをあげる。

ちょっと満足したらどんちゃんはいきなり口を離し、こんどはおとうのほうへぐるんと寝返っておなじように朝のあいさつをする。

そうしてほこほこと始まった朝、目をこすりこすり1階へ降りていくと、姫路に秋が来ていた。
朝晩だけは涼しくなってきていたけど、それでも今日の朝はなんだか明確に秋!
ああ、これを待っていたのとテンションが上がり、寝起きの3人、歩いて20分のヤマダストアーまで散歩。

ヤマダストアーは姫路のちょっといいスーパー。お値段がいいかわりに他のスーパーでは買えない特別なものが手に入ったり、少し特殊な食材が置いているのでわたしは大好き。産直だけはまぁまぁ安いので、ときどき野菜や地元の調味料を買ったりする。
今日はわざと朝ごはんも食べずに家をでた。せっかくだから、ヤマダストアーで朝ごはんくらい買おうと思って。

かつしくんはちょっといいおにぎりを、わたしはずっと気になっていた大粒でいかにももちもちしていそうなお団子など買う。
2階に、とっても居心地の良いイートインのコーナーがあるのでそこで持ってきたお茶とともにパーティー。
どんちゃんは、手に入れたチラシがお気に入りでずーっとくしゃくしゃして遊んでいました。

最近紙に目がありません。

帰り道、町内の掲示板で、近くの高校で催される「たそがれコンサート」なるイベントの掲示物を偶然発見。
なんと今日15:30~だというので、絶対見たいとなり、急遽地元の人に交じって完全に無関係なわたしたちもコンサートにお邪魔してすることに。


青春の音

受付の男の子が、明るい声音で感じよく、こんにちは!と声をかけてくれたことにさえ感動して、涙がでそうになる。
お琴、ギター&マンドリン部、合唱部、室内楽部、チアリーディング、吹奏楽部と、どんどん披露される青春に、ただただ感無量となり、だらだらと涙がでた。
今日は少し風の強い日だったのだけど、マイクがその風を広い「ぼーぼー、ごろごろ」と時々鳴ってしまう。
でも、その風の音が、ギターマンドリン部の演奏するsummerにかぶさったとき、真っ青な空に浮かぶ、分厚い宗教画のような積乱雲のなかの雷が一瞬びかっと光ってごろごろと鳴るような、脳裏に情景が浮かぶのを手助けしたのさえとてもよかった。

いつもどんちゃんをあやすときに、久石譲の「人生のメリーゴーラウンド」をうたいながらワルツのリズムで揺らすのだけど、どんちゃんは前奏が始まった瞬間、おかあの歌うフレーズと弦楽器の奏でる音楽が一緒だと理解して、そのときにしかしない笑顔で上機嫌な声を上げた。
それは、けっこうな衝撃だった。
きっと1か月くらい前には、歌と楽器で音程もちがうその音が同じ曲だってわからなかったんじゃないかな。同じ曲なら、おかあがあやしてくれるから楽しいはずだ!とそこまで理解して、どんちゃんは笑ったんだ。
曲の間中、わたしはどんちゃんをベビーカーから抱き上げて、保護者のひとたちの立ち見のエリアでずっとどんちゃんと踊っていた。

そんなこんなでとにかく全部が素晴らしかった演奏会で胸をいっぱいに膨らませたあとは、その感想を言い合いながら買い物へ。
車中で、かつしくんが「合唱のときに、ピアノの伴奏の子がちょっと見えにくいとこにおってんけどな。その伴奏の子も、手首がすごくやわらかくて、ああ、この子はほんまに上手いこやなぁとみててん。でも、その横におった譜めくりだけをしてた子もすごく良かったんやで。譜めくりやから、ほとんど自分の仕事はないんやけど、合唱のなかで手拍子するとこにはしっかり全力で参加しながら、しっかり目で譜面を追って、必要な個所ですごく正確に譜めくりするねん。風も吹いてて、譜面がめくれそうなのもそっと抑えて、その様子がな、譜めくりだけやねんけど、それが全く腐ってないええ感じやったんやで。」と言っていた。
わたしはどんちゃんがぐずったらすぐ立って横にどいていたので、見えない位置にいたから、そんな素敵な女の子がいたことは知らなかった。
こういうことに誰よりも気付いて、言葉にして広げるのがかつしくんのとても素敵なところ。
派手でない一見地味な良さが、この青春の舞台を支えている。

と、ここですこしごはんの話。
冷蔵庫の中には、70円で買ったこぶりな冬瓜がある。
なんとなく、冬瓜っていつも薄味で煮てしまうんだけど、売り場で見たときに、「あ、ソムタム」と思ったのだった。
ソムタムはタイの青パパイヤを使ったサラダで、ナンプラーの甘酸っぱいドレッシングで食べる。

ちょうどよく、冷蔵庫に生の青唐辛子や干しエビもあったので、いけるだろうなという予測一つでとりあえずつくってみる。

冬瓜千切り、ゆで豚の刻んだの、赤ピーマンと黄ピーマン千切り、それから冷蔵庫にあったキャベツの千切りも。野菜はすべて、塩もみしない。
そこに、パクチーの代わりに大量の青じそ千切り。これは、先日産直ででっかい袋一杯に山ほどの穂紫蘇がパンパンに詰まったものを買ってしまい、おまけでついていた葉っぱの部分。(とはいえ、葉っぱだけでも4~5袋分くらいあった。まだ全然使い切れない。)
ドレッシングに、干しエビを少量のお湯で戻したものと、ピーナッツのかわりにアーモンドを刻んだもの、青唐辛子とにんにくも細かめのみじん切り、そこにナンプラー、砂糖、それから中国香酢とこめ油。
全部適当に考えながらつくったのだけど、とってもおいしくできた。

サラダメインだから、たくさん食べる。
キャベツはないほうが本場っぽくなるだろうな。

冬瓜は、まったく違和感なく、しょりしょりとおいしかった。
青パパイヤより、すこしは歯触りがはかないけれど、癖もなく癖のあるドレッシングとの相性がとても良い。うーん、煮物よりおいしいかも。

コンサートが終わった後、青春感いっぱいで、なんだか無性にたこ焼きが食べたいね、という話になる。
ラ・ムーという激安スーパーの売店で、なんとけっこう大きなたこ焼き6個が100円で買えることを最近知ってしまったので、いそいそと買いに行く。
でも、夕方でもう閉まってしまっていた。
しかし、ここまできて何も食べずには帰れん!と二人して夕食を犠牲にして、スーパーで198円の激安のり弁を買う。
まぁ、これが安くて質が悪そうな油でぎとっと揚げられているのなんの。いいえ、悪口ではありません。こういうのには、こういうのにしかない美味しさというものがあり、それはふだん薄味の手作りのごはんをメインで食べていると一層引き立つものなのです。
夢中で食べたあと、びびって胃薬を飲んだものの、ひどい胃もたれで、今そのツケを払いながら、今日はおしまい。

ところで、明日から、大阪、和歌山、そして三重と行脚の数日の旅程です。
会社の決算書類ができたので、決算報告と納税をして、そして井内を少し片づけること。
井内が全く片付いていなくて、家がひとつ、まったく住めないような状態になってしまっています。ほんとうにごめんなさい。コツコツと、片付けさせてください。

実家のばあちゃんに、どんちゃんをはじめて会わせることができるので、とても楽しみ。

それにしても、決算書類まだ直視できていません。したくありません。
消費税だけでも車が買えるくらい。
ひとつひとつ残務処理をして、すべてが終わったら本当の船出という気がします。

明日に向けて、おやすみなさい。

いいなと思ったら応援しよう!