「親の次に重要なポジションが教員」ゼロ塾ガイド監修者、日野りえさんにインタビュー
教育者の中でも、大事な時期を担当するのが教員の仕事。
今、小学校の教員として、副業キャリアを築いている女性がいます。
お名前は日野りえさんで、「ゼロ塾ガイド」の監修者を担当しています。
そんな日野りえさんに今回は、教員としての思いや、これまでの感じたことやエピソードなどについてお伺いしました。教員として日野さんのモチベーションになるものや、ご自身が目指す教育者としての形なども率直にお話くださっています。
以下に私のプロフィールも掲載しています。
監修者:日野りえの経歴・教育理念・メッセージ
人の子供なのにこんなに可愛いとは思わなかった
ーまずは「教師」として監修者を担当する理由を教えてください。
算数ってやっぱ土台なんですよね。やっぱり積み上げが必要です。この単元がわからなくても次に行こうみたいなことをすると、算数の場合は特にもうずっとわからないんですよね。だから、特に小学2年生の算数が大事だと思ってます。
だからこそ、勉強は日々の積み上げで良くなる。親御さんと子供、教師の3者間で協力するほうがいい。
このメディアを訪れてくれた人には、そのことを少しでも理解してもらうため、教員として生徒の人生を素晴らしい方向に導きたい。そう思い、教員として、監修者として、私はこのメディアに参加してます。
ーなるほど。ひとくちに子供が可愛くても、教える側として接すると違う側面が出てくると思います。特別支援の子供達はどうでしたか?
特別支援では小学2年生の担当だったので、とにかく九九を徹底的にやりました。特別支援の子たちなので、正直、普通の子どもたちよりは、なかなか難しいかなと思ってたんですけどね、ほんとにうまいことやってくれました。
私というよりは、子供たちの努力と、あと親御さんの努力だと思うんです。
お家でもやってくれたり。一般の学校に通う子供でも、九九ができない子っていうのが結構いるんですけど。あの子たちは、すごくできてたんじゃないかなっていうことが嬉しかったです。
結構厳しめな指導はするというか、厳しめなところはあるんですけど、授業中に関しては、結構楽しく実物を見せたりとか。できるだけ、具体的な物を用意したりしてますね。一斉授業でできないことを1対1とか1対2とかでやるんですよ、特別支援って。
教室で算数をやってる時間にその子を抜き出して、私がやってたので、よりきめ細かいですよね。何回も繰り返したりとかも、遊びながら、今度は立って言ってみようとか、 今度はあっちに行ってから、じゃんけんしてから言ってみようと体を使いながらやってみて。
これは普通の教室とかでもやったりはするんですけど、カルタみたいにして、お互いに言い合いっこしたりとか、 そんなのが短時間できめ細かくできますよね、その子のレベルに合わせて。
一斉授業だったら、もう置いてきぼりの子もいるし、記憶力がいい子とかだったら退屈するし。そこの両輪が難しいじゃないですか。誰に合わすんだっていうのとか。 それがないですよね。1対1とか1対2とかなので、せいぜい1対3ぐらいまでだったので。
ーでは、日野さん自身の経験でも。少人数の指導はきめ細かい指導ができた経験があるという認識で合っていますか?
そうですね。やっぱり人数は少なければ少ない方がいいですよね。
専業主婦から教育実習に応募し、教員としてのキャリアをスタート
ー教育者として仕事を続けるにあたり、気をつけていることや大事にしていることを教えてください。
やっぱり教育の土台となるのは自己肯定感かなと思ってます。子供たちを見てて、すごく子供たちが自分に自信を持って、自分を肯定できることが、そもそもの学びというか、原点だと思うんですよ。
小学校に上がるまでの親御さんの力がもちろん1番大きいです。でも、やっぱり小学生時代って、それにプラスして、まだまだ子供で、成長過程で、先生の影響ってのも大きいと思うんですよ。
小学校の先生は、やっぱりそこは親の次に重要な人だなと思っていて。そこをどう育てるかっていうとこですよね。
ー自己肯定感を上げることで、子供の学力が上がりやすいようにしているのですね。
幼稚園でもやっぱりこう、比較をしてしまうじゃないですか。友達とかそこがやっぱり自己肯定感を失うところだと思います。成績とか、運動にしろ、友達が多いとか、少ないとか、そこらへんでどうしても、他者と比較してしまうので。
日本の教育というか、すごく周りの子を気にするんですよ、小学生って。私たちもそうだったと思うんですけど、小学校とか、中学校時代とか、もう、人と違ったことができないし、 目立ちたくない思いもあったと思います。
横並び意識というか、そこを打破していくのが私が目指すところの教育ですね。
今は担任をやってないので、担任時代はそこを打破していくのを目指してましたね。
娘さんが通った学校の先生が指導教諭を担当
ーでは、日野さんが「人とのつながりの大切さ」というお話について聞かせてください。どんなきっかけでそう思われたのですか?
教師になるきっかけというか、ちょうど娘が小学校1年生の時、私が32歳だったんですよ。32歳の時に小学校1年になって、やっぱり初めて子供が小学校に上がるっていうのは、その親にとってはもう、一大イベントなんですよ。
小学校の先生っていうのも、自分が保護者というか大人としては、初めて接する人ですし。娘の1年生の時の先生がベテランでものすごい迫力のある先生だったんですよ。私もちょっと、家庭訪問に来られたりとかも、いちいち保護者なのに、緊張しててっていう感じです。
そうは言いながらも、入学式の時には、すごい先生を質問攻めにして、もう、なんもわからない保護者だったんですよね。その後、42歳で、教育実習に行ったんですけど、その実習校が、娘が行ってた学校で、なんと、指導教諭にその先生がなってくれてたんですよ。
本当にベテランの、保護者からしても、ちょっとビビるぐらいの先生だったんですけど、指導教員の時も、本当にこわごわと、接してました。怖いなと思ってた人から、なんか8年ぶりに再会したら、なんか温かい言葉をかけてくれて、すごい感慨深かったですね。
その先生からやっぱり1番教師像を学びましたね。
すごい厳しい先生で、やっぱり学年主任をされてるので、厳しかったです。子供たちもシャキッとしてるクラスでしたね。 その中に私が1ヶ月ほど入らしてもらって、勉強させてもらいましたね。
ー怖かった先生だけれども、それが日野さんにとって教育者としての基礎となる形になったということでしょうか?
そうです、教育者としての基礎になるような形です。今はこう、優しさを重視してるんですよ、教育現場って。割と子供と友達関係みたいな 先生がやっぱり多いなっていう印象で、ですけど、割と私は、指導教員になってた先生を踏襲してるところはありますね。
だから、あくまでもこう、縦の関係であってっていうことは、もちろん子供たちに寄り添ってはいくんですけど。教育実習を担当してくださった先生が、すごく影響を受けた先生です。
その都度問題を解決しながらキャリアを築く
ー先ほど、日野さん自身は教師としてのキャリアを築く中で、得たものがあったとおっしゃいました。具体的にはどんなことですか?
その場の瞬発力というか、問題解決する力ですね。特に担任とかしてたら、もう日々問題が起こって、 それに動じられないんです。問題が起こっても最初の頃は心が穏やかに居られなかったですね。何かが起きても、心は穏やかに。なんとかできるだけ処理をすると。
喧嘩が起こったら、双方の言い分を聞くために、ちょっと2人で話そうとか。保護者からも「先生、これはどういうことですか」と、苦情の電話がかかってきても、できるだけ揺さぶられないようにしたら、問題解決能力的なことを得ることになりました。
ー確かになんとなくできると思ってたけど実際は難しいことって、実はたくさんありますよね。保護者についてはどうでしたか?
やっぱり基本的にはもう自分で解決するっていうところです。よくあるのは、電話がかかってきて、直接私と話したいって言って来る保護者もいます。その時にはもちろん話させてもらうんですけどね。怒られるっていうことやったら、管理職には連絡はこちらからもしますし。
それこそ私に直接じゃなくて、最初に管理職の方に電話かかってきて、私と話したいっていう人もいますね。いずれにせよ、割と間に入ってもらってたことは多かったですね。
管理職が割と私が問題起こった時には味方になってくれる、基本的には味方になってくれますよね。
味方になってくれる人たちが多かったので、そこがありがたいところでしたね。ただ、本当にもう全然味方になってくれないような感じの管理職も正直0ではないです。むしろ向こうの味方をみたいな。私たちも別に私の味方をしてますみたいな感じで対立姿勢で出るわけではなくて。だから、そこがありがたかったですね。
現役教師の相談機関を作りたい
ー日野さんの今後の目標や展望について聞かせてください。
私の場合、40歳で教師になって10年以上続けてて、感じるのは教師って、大変なところも多いけれども、すごいやりがいはあるんですよ。あんまり世間的には今そういう風に見られてないのを、すごい私は心配してるんですけどね。
教職離れがすごいじゃないですか。ここの県も定員割れしてるとか、もう若者は教師にならないとか、報道とかでは、もうすごいし。そういう先生をサポートする、仕組みとかサービスというか相談機関を作れたらいいかなってのは、ちょっと考えてます。
先生の相談場所みたいな、もしくは、私みたいに社会人から教師、教員になりたいっていう人の相談にのりたい。
教師が減ってるって言われる中で、教師をサポートする、何かを作れたらなっていうのはちょっと思ってますね。いい仕事だよっていうのを広めたいです。
子供が「可愛い」からこそ、学力を育てる
ー最後に、塾選びをしておられる、このメディアの読者の方々に向けてメッセージをお願いします。
例えば、これから10年後も、多分今ではない職業が出てきますよね。本当に今の教育現場もどんどん変わってるじゃないですか。だから、正直、教育も何が正解かわからないなと思ってます。
本当に、私は子どもたちの可能性を潰すことだけはしたくないなと思って教員をしています。ちょっと新聞記事とか読んでたら、字とかあんまり読めない人、小学生の頃は音読すらできなかった人が、中学校で勉強頑張って、なんか医者になったという人もいたので。
あの時にもし、可能性を潰されてたら、その人はそうならなかったんだろうなと思うと。字が読めない子って、小学生からしたらもう大丈夫ってなるわけじゃないですか。
もしそういう子がいても、絶対潰さない教育はしたいなと。
1人1人の可能性を見出したら、活躍する子がいるかもしれないじゃないですか。もし勉強が全然できなかったとしても。何が正解かわからない時代だからこそ。子供たちの可能性を潰さないように、最低限の学力保障はしてあげたいと思っています。
(取材・文/渡辺なおや)
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