【note】「駄目出し」と「デバッグ」
久々にnoteでコラムを書いてみます。
今回は、演劇で使われる「駄目出し」とシステム開発で使われる「デバッグ」のお話をします。
ある演劇団体の主宰が「駄目出し」という言葉が嫌いで、稽古場での指摘事項があっても駄目出しという表現を殆ど使いません。
駄目出しは、欠点・弱点を指摘することで、英語ではネガティブフィードバックです。駄目は、囲碁用語で、打った石が、自分にも相手にも陣地獲得にならない、無駄な石から来ています。
駄目出しは、業務上の評価の場、例えば上司が部下を評価する場面でも、「否定的な評価」として使われます。
部下を評価する時の注意点についてリクルートマネジメントソリューションズのコラムでは、1:ダメ出しとともいいいとこ出しもする 2:冷静・客観的に伝える 3:解決策の提示または一緒に解決策を考える という3つの点が大切だとしています。
あぁ、なるほど、主宰は、1はよくやってたなぁ。必要に応じて3もしていたなぁ。ただ演劇の場合、役者の考えや力量もあるので、あえて3は行わないこともある。2は基本その通りなんだけれどね。
で、そもそもこのコラムを書いた理由は、「駄目出し」という言葉が嫌いであるならば、違う言葉がないか…というのが出発点。
多分、駄目という言葉がネガティブで、相手に悪い印象を与えてしまいがちなので、嫌いになるのだろうと思う。
システム開発の世界において、プログラマーは書いたプログラムが設計書通りに動作するか確認する作業(テスト)をデバッグという。
デバッグ(de-bug)という言葉は、虫(bug)を除去(de-)するという意味で、プログラムの不具合をテストすることで洗い出しをします。
デバッグは、「プログラムには必ずバグがある」という考えのもと、一定数のバグが発生しない場合、「そのプログラムは完璧だ!」と考えるのではなく、テスト方法に問題があると考えます。つまりテスト方法を修正して、再テストを行います。
テスト方法に問題がないかをチェックするために、あえて作成したプログラムにバグを忍ばせる方法もあります。
つまり、「人間は完璧ではない。だからどこか欠陥が存在している」という前提で作業を行っています。
因みに、一定数以上の多くのバグが発生した場合、テストを途中で中止し、プログラムの再作成することになります。
稽古場では、役者が演出の指導の元、脚本(の狙い)通りに芝居をするために、稽古を繰り返します。
そして、「駄目出し」を基本的には演出が役者に対して行うのですが、時には脚本を変更したり、演出の考えが変更したりすることもあります。
その作業は「デバッグ」にも似ている部分があると思います。
なので、駄目出しが嫌いならば、「デバック」に変更するのもいいかもしれません。意味的にも言葉の印象的にも…
ただ、日本語に直訳すると「虫を駆除する」になるので、お気に召すかどうかは…
因みに私が演出する場合は、役者の感性に任せていて、演出というより要望として出すようにしています。ミスなんて本人が一番解っていることだし、狙いもあったりするので、あえて指摘しないか、確認するぐらいです。
役者の私は、駄目出しをアホみたいに食らっていて、まぁそれは技量の問題や演出・脚本とのすれ違いもあるので、そこは擦り合わせを大切にしたいと考えています。
なんてね