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タレカツのすすめ

「タレカツ」はその名の通り、タレかつ丼の専門店だ。

公式サイトから引用すると次のようになる。

その新潟市で長いあいだ食されてきたのが卵でとじない「タレかつ丼」です。
タレかつ丼は、揚げたての薄めのとんかつを “甘辛醤油ダレ” にくぐらせて、ご飯にのせただけのシンプルなもの。


私は、この店のタレかつ丼をこよなく愛する一市民だ。

是非おすすめしたい、どころか「渋谷に来たらタレカツを食え!」くらい言いたいところだが、威圧的だと嫌われそうなのでやめておく。


本題に入る前に断っておくと、タレカツは渋谷以外にも店舗があるらしい。
関東各所だけでなく、京都にも。

京都と聞くと、最近読んだ『「日本の伝統」の正体*』で解説されていた ‘京都マジック’ を思い出したりしてしまうが、まあそれはさておき。

*やや天の邪鬼? 反骨的? な性格の私は、Amazon一色の世の中に抵抗して、本を紹介するときは出版社のリンクを貼るようにしている。


私は渋谷店しか知らないので、他の店舗が良いかどうかは保証できない。

ただ渋谷店に関しては、改装前の支払いが現金のみでテーブル席があった頃から知っている(いうてつい最近)。
だからまかせてほしい!知らんけど。


さて、本題に入る。

 

 

とろろカツ丼

「かつ」なのか「カツ」なのかハッキリしてほしいところだが、そこはご愛嬌。
メニューでは一応「とろろカツ丼」になっているようだ。

 

公式サイトにもあるように、ここのかつ丼は硬めに炊いた米薄めの肉・衣が特徴的である。

飲食店でいいかげんな炊き加減の米が出てきたとき、がっかりする人は少なくないだろう。
安かろう悪かろうならまだ諦めもつくが、やはり米の炊き加減にはその店の姿勢が顕れる気がする。
その点、タレカツの丼ご飯の炊き加減は外れたことがない。

簡単なようでいて案外難しい「米を炊く」という行為。
ハンバーガーでも(私はハンバーガーも好きなのだ)パティに負けない良いバンズを使っているかが重要だが、かつ丼も同じ。

シンプルなタレかつを力強く支える絶妙な炊き上がりの米に、いつ行っても出会えるのだから、見事!としか言いようがない。

 

ここのかつ丼には味噌汁漬け物がつく。
漬け物というか浅漬けというか漬け物風というか、
とにもかくにも美味しいあっさりとしたキャベツ(←これでキャベツじゃなかったらかなり恥ずかしい)が出てくる。

かつは脂の少ない薄めの肉
薄めの衣と甘めのタレ
硬めに炊いたご飯
優しい味噌汁
お漬け物
とろろ
美味い
うまい
至福
幸せ
QOL向上
幸せ幸せ幸せ
し あ わ せ   …

ざっとこんな感じをイメージしてもらいたい。
末広がりだ。

 

そして、もう1つ語らねばならないのが「とろろ」である。
このとろろ、実は少し変わっている。

一般的にとろろ芋を食べるときは、海苔やら醤油やらがセットで提供されることが多い。
ところが、タレカツではそのような脇役は登場しない。

!!タレかつ→ バチバチ ←とろろ!!

真向勝負である。

とろろはほぼプレーンで味はあまりない。ないのだが、ほのかな甘みが感じられる気がする。
そしてなにより、タレかつと合わせると絶妙にうまいのである。タレの味に押し負けると思うかもしれないが、とんでもない。

私は初めてこのとろろカツ丼を注文したとき、あまりにもとろろに味がないので「醤油はないのか・・?」とビックリしてしまったのだが、あれ以来この不思議なとろろにハマっている。

あのとろろが芋のうまみだけによるものなのか、何かダシや醤油といった隠し味が加えてあるのかは、未だに私もわからない。
わからないがそんなことはどうでもいい。
とにかく不思議とうまいのだから。
不思議だ。



野菜カツカレー

精鋭揃いのかつ丼メニューに気をとられて忘れがちになるかもしれないが、実はタレカツのカレーはダークホースだ。

ぶっちゃけて言うと、カレー自体はずば抜けて美味しいわけではない。
そりゃそうだ。カレーが独自の進化を遂げ、店舗数も多く、競争も激しい日本。
うまいカレーだけを食べたいなら他にたくさん店がある。

だが、この野菜カツカレー。
主役は野菜だ。紛れもなく野菜たちなのだ。
少し似たメニューとして野菜カツ丼というのもあるが、野菜のみずみずしさ・うまさを最大限に享受するには、対比となるカレーとともに提供されるこの野菜カツカレーが最強というわけだ。


さて、とろろカツ丼の章では米の炊き加減に気をとられすぎて衣について言及できなかったのだが、安心してほしい。
ここでバッチリと語らせていただこう。

何を隠そう、タレカツの薄めの絶妙な塩梅の衣は、カレーを従えて登場するこの野菜たちをも最強に仕上げてくれるのだ。

厚めの衣が好きで好きでたまらない人もいるかもしれないが、うまい素材にオーバーな衣は不要。衣はそっと添えるだけ。
タレカツは、まさにそれを体現している。


メンバーは、なす、ミニトマト、ヤングコーン、かぼちゃ、ブロッコリー!

なす。100%うまい。確実にうまい。みずみずしくほのかな甘み。まずかったことは一度もない。

ヤングコーン。食感と甘みとかわいらしいフォルム。これを食べるためにカレーを頼むと言っても過言ではない。

ブロッコリー。ブロッコリーは正義。ブロッコリーが好きな人間とは通じ合える。

ミニトマト。圧倒的爽やかさ。カレーとカツで少し重たくなった頃に食べると口の中がリフレッシュされ、再び新鮮な気持ちでカツを味わえる。

かぼちゃ。正直に言うとかぼちゃに対する私の評価はあまり高くない。単体で嫌いなわけではなく全体のバランス的に微妙なだけなのだが、もしかしたらジャガイモあたりに変えてもいいのかもしれない。
だがやはり、あれだ。カロテンは体に良い。うむ。


ちなみにこのカレー、店の人は‘ヤカツ’と略して呼んでいる。
私はすた丼屋の‘リャンケ’が何を指すのか未だに突き止められていないが、飲食店員の使う業務用語は聞いているとなかなかおもしろかったりするものだ。



とにかく みんな来てくれ

タイトル通りだ。みんなタレカツに来てくれ。
とろろカツ丼と野菜カツカレーだけで、これだけの文字数書き連ねることができるんだ。みんなタレカツに来てくれ。

今年だったか昨年だったか、内装をリニューアルしてキャッシュレス決済も導入した。
駅近できれいでキャッシュレス対応していてメニューも少なめで迷いにくくて誰でも入りやすいから、とにかく来てくれ。

残念ながら入り口が階段になっている&鰻の寝床状の店内のためやや狭く、バリアフリー対応していないのがネックだが、そのときは私を呼んでほしい。
タレカツ仲間のためならえーんやこーら。駆けつけて補助でもなんでも買ってでようではないか。

というか、むしろ無理して入らなくてもいい。
今はテイクアウトもできる。Uber Eatsか楽天デリバリーか知らないがデリバリー注文もできる。

つまり最強。タレカツに死角なし。

いやあった。物理的な距離はさすがに越えられないので、遠方の方はテレポーテーション技術の実用化を待つか、何かの折りに店に足を運ぶかしてほしい。



※最後になるが、私は本当にただの1人の客にすぎず、タレカツとの間にそれ以外のなんの利害関係もない。関係者でもない。
ステマ(ステルスマーケティング)ではないことと、タレカツのスタッフの皆さん及び関係するすべての方への最大の敬意を表明して、締め括りとしたい。

 

今日もごちそうさまでした。

 

'21/12/20 最終更新(本文)
'22/12/30 最終更新(見出し画像)

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