BRILのインフレにどう対抗するのか?戦略思案あれこれ
トランプ大統領と共和党が大勝した米大統領選挙があり、その後ビットコインが力強い上昇を続けていますね。
私は米国ビットコインETF誕生以降、TradFiとの接続や新しい需要の拡大等の大きな構造変化により、過去のアノマリー(半減期を基軸としたブルベアサイクルやアルトバブル発生など)がそのまま続くことには懐疑的なため、幅広いアルトバブルが今回も発生するかはまだ分からないと考えています。今起きているのは本物のバブルではないという認識です。
ビットコインが力強く発展していくことは確実で、その上昇につられておこぼれ的にアルト全体が多少上げることはあっても、ビットコインを超えるような(ドミナンスを押し返すような)爆上げが広い銘柄で起きるかどうかは怪しく、そのためアルトにどーんと前のめりに張るようなリスクの取り方はしないと今のところ決めています。
※ この間、FiNANCiEの國光さんが「オルトターン」とツイートしていたのを見て、ああそうかAlternativeだから原語にならうなら ‘オルト’ がベターなのかと気づきましたが、とりあえずここでは使い慣れた「アルト」で表記します。ぶっちゃけカタカナ英語ってこういうのばっかりだし。
とはいえ、幅広い銘柄で10%前後、場合によっては20〜30%以上の上昇が起きているのは事実です。Brilliantcryptoで採用されているPOL(旧MATIC)も例に漏れず、ビットコインのブル相場に引っ張られています。
これだけ暗号資産市場全体が沸いていると、さすがにBRILの動向に不安になっている方も多いのではないでしょうか。私もその一人です。
なにせ円建ての価格がジワジワと下がり続けていますからね。
そこで、最近私が考えたこと、実践していることなどをつらつらと書いてみました。
BRILが下落するのは自然な状態
BRILの動向に不安になっていると前述しましたが、一方で、円建てで下落し続けるこの現象は『ごくごく自然な状態』であるという、冷静な目線を持つことも重要です。
ざっくりいうと、ものの価格は需給バランスで決まるということになっていますから、相対的に強い需要がない限りは価格は上がっていきません。限られた取引所でしか売買できない、ゲーム以外に使い道がない、POLでもゲーム参加はできる、トレード対象となるほど流動性のある銘柄ではないなど、需要側は総合的に弱い状況です。加えて、やはり以前書いたように、掘った宝石の使い道(売却の出口)が整っていかない限り、BRILの下落トレンドが転換することはないでしょう。
需要が弱い中、日々輝石が掘られてBRILの量が増えていく(もちろんすべてが取引所で売却されるわけではなくゲーム内マーケットでも消費されているものの)、また各種ロックアップが徐々に解除されていく中において、インフレ(=BRILの価値の下落)し続けるのは自然な現象です。
ヘッジを考える
私も初期の頃は、「まあこんなもんかな〜、どちらにせよBRIL建てでつるはし買うし、とりあえずそのまま持っておくか」と思っていました。
ただ、あまりにもきれーに下落していく様子とBit2Me上場をきっかけに、本格的に下落に対するヘッジを考えるようになりました。
Bit2Me上場時のお祭り騒ぎがきっかけ
初夏のIEO〜11/14の円建て価格推移を示した上のグラフで9月頭にピョコンと高騰しているのが、Bit2MeへのBRIL上場発表後の上昇から上場当日に下落するまでの間の特需期間です。
私もメモ的に連続ツイートをしたのですが、正直取引所の実績に比べて期待が過熱している感があり、「いやーそんな上げないんじゃないか…」と心配していました。新規上場(グローバル上場)= 価格高騰というのはたぶん一昔前の話で、今は暗号資産全体の相場感や取引所の実績、銘柄の特性などによって、かなり反応が分かれ難易度が上がっている印象です。ちょっと前に流行ったエアドロップ銘柄でさえ、簡単には利益を狙えないと言われるまでになってしまいましたから。
そして案の定(あくまで結果論ですが)、高騰したBRIL価格は上場当日に暴落しました。
期待値の上がり具合に一抹の気持ち悪さを覚えていた私、実はこのときゲームプレイ開始以来初めて、BRILのヘッジに乗り出していました。
具体的には初めてゲーム内ウォレットからCoincheckにBRILを送金し、一部数量を上場直前タイミングで売却し日本円に換えていました。予感通り下落すればその損失を若干緩和できるし、最悪そのまま上がったとしてもまあ諦めがつく程度の数量にしていたので、実験的な試みでした。
結果、BRILは急落。チャートを注視していた私は「ああ〜やっぱりヘッジ考えていかなあかんな」と感じたのでした。
下落率を計算
BRILの右肩下がりのチャートも見慣れてしまってあまり気にしていなかったのですが、ざっくり計算すると1か月経過で円建て価格が2/3くらいになっているんですよね。たぶんどの期間をとってもだいたいそれくらいの傾きになっていると思います。
6月末 ⇒ 7月末 だいたい30円から20円
8月頭 ⇒ 9月頭 だいたい20円から13円
9月中旬 ⇒ 10月中旬 だいたい15円から10円
冷静に考えると、たった1か月で33%減ってヤバいですよね。しかもビットコイン中心のブル相場の今、価格上昇を見せる多数のトークンとは裏腹に凄まじい勢いで価値が毀損していってるので、いちはやく価値が下がりにくいものに変換かつ分散してヘッジしておく必要があります。
POLに照準を合わせるのがベター?
ここで『何を基準にヘッジするのか』を考える必要が出てきます。もちろん “BRILみたいに続落せずに横ばいもしくはブル相場の波にある程度乗る銘柄” という大前提はありつつも、最終的に何をしたいのかを見定める必要があります。
私の現時点での狙いは「POL建てのつるはしを手に入れる」ことです。
ゲーム開始当初は、何の迷いもなく(元々IEOにも参加していたので)BRIL建てのつるはしを買いました。ただ、ゲーム内マーケットの様子を見ているとやはりPOL建ての方が相場が高いし、かつ銘柄自体が相対的に価格下落しづらいので、長く使って売却することを考えるとつるはしの「資産性」をより維持できるのはPOL建てなんだろうなと今のところ感じています。
最後の出口がPOLなのであれば、POLに換えて持っておくのがやはり一番分かりやすい方法です。より効率性を重視するトレードや一攫千金を狙う投機ならPOLは不適切かもしれませんが、あくまでも目的は「ヘッジ」。
つるはし用資金が無駄に目減りしないようリスクを低減することが目的なので、BRILで貯蓄するか/POLで貯蓄するか/日本円で貯蓄するか/BTCで貯蓄するか/ETHで貯蓄するか、という感覚でやっています。その銘柄とどれだけリスクをともにできるか?という視点ですね。
一点、POLで持てば上がっても下がっても1 POLは1 POLですが、もちろんあまりにも日本円建ての価格が下落した場合はつるはし自体のPOL建て価格が上昇するリスクもあるのでご注意を(Brilliantcrypto公式が出品する際の価格がマーケット価格の目安になっています)。
売買の立ち回り
さて、あれこれと考えてきましたが、実際に行動を起こす段階でも、実はプチストレスが色々ありました。そのへんをざくっと書いています。
Coincheckを使う
一番シンプルで楽な方法なので私はこの方法で完結させていますが、Coincheckは国内CEXの中でもわりと使いづらい取引所だと私は認識しています。具体的には以下のような注意点があります。
トラベルルールの関係上、ほとんどの取引所に暗号資産を送金できない
この問題は界隈でもけっこう物議を醸したのですが、トラベルルール運用(いわゆるコンプラ対応)で利用する導入システムの種類が異なると、暗号資産の送受信に互換性がなく送り合えないという課題があります。そしてCoincheckは、国内仲良しこよし勢のSygna(たしか東/東南アジア圏で導入事例が多いとか?)ではなく、米国で導入実績の多いTRUSTというシステムを使っています。
これに起因して、Coincheckと暗号資産の送受信ができる取引所は、日本国内ではbitFlyerくらいしかありません。実に不便・・(私は口座を持ってません)
※ 今見ると、『TRUSTに対応していない暗号資産』はTRUST導入済みサービス同士でも送れないぽい。。先日発表があったようにCoincheckはNasdaq上場を控えているので、おそらく米国展開を見据え戦略的にTRUSTを選択したのではないかと、私は推測しています。
POL(MATIC)の売買は販売所のみ対応
これねえ、、板取引に対応していないの辛いですよね(ただざっと調べた感じそもそもbitbankくらいしか対応してるところないのかも)。私は最終的にPOL建てで買いたいので、Coincheckを使い続ける限りは必ず5%前後のスプレッドを踏んで購入しないといけません。ん〜地味に辛いです。
代替案として、ゲーム内マーケットでBRIL建て宝石を買ってPOL建てで売る方法(宝石はつるはしと異なり銘柄選択が可能)、あるいはセルフカストディウォレットに一度出すなどの方法もなくはないのですが、手間も掛かるしけっこう色々考えることやリスクが発生するので、正直そこまでのやる気は起きないという状況です。
ちなみに、Coincheck上は「MATIC」の表記になっていますが中身は「POL」なのでそのへんはご安心ください。Brilliantcryptoのウォレットへ送金すると、ちゃんとPOL残高として反映されます。
※ ただし暗号資産の送金はただでさえ色々な勘違いやミスが起こりやすい鬼門なので、悲劇を未然に防止するためにも、必ず自己責任でテスト送金をしてください。本ページの内容に誤りがあれば謝罪し修正を行いますが、金銭の補償は一切できません。
私も最初は不安だったのですが少額のテスト送金で反映が確認できたのと(送金手数料も10円以下の0.1 MATICと安いので安心)、CoincheckやPolygon Labsの公式アナウンスメントに改めて目を通してみて確信が持てたので、普通にCoincheck上の「MATIC」を使っています。読んだのはこのページだったかなあ。大半はコンセプトや未来像の説明なので、末尾の “So, what immediate actions do you need to take?” の下の箇条書き部分だけ目を通せば、ざっくり理解できるかと思います。
Polygon PoSネットワーク(Polygon Labsが開発しているメインのネットワーク)上のMATICは自動的にPOLに置き換わるけど、Ethereumネットワーク上のMATICは手動で変換しないとMATICのままだよ、という内容です。
なお、CoincheckはMATICの送受信でPolygonネットワークにのみ対応していると記載しており、トークンの管理もPolygon PoSを使っていると思われます。その仮定でいくと、旧MATICはすべてPOLに自動変換されているはずですが、コールドウォレットだと色々特殊なのかな?あるいは急に表記を変えると社内システムに重大な不整合が発生する可能性があるとか?とにかく表記は「MATIC」のままでいくとアナウンスしています。
ETHは0.01 ETHから売買可能
ETHは板取引ができるので一部をETHに換えて保持しているのですが、最低量が意外と大きくちょっとだけつまづきました。0.01 ETHは今の相場で5,000円くらいです。
取引所って送金手数料や最低送金数量もそうですが、こういう最低注文数量の制限も想像より厳しいことがあるので、あらゆるシーンで『最低量』に注意が必要です。
セルフカストディウォレットを使う
Brilliantcryptoの内蔵ウォレットはシードフレーズ(リカバリーやニーモニックなど複数の別称あり)を自分で保管するので、おそらく厳密にはセルフカストディです。なのでシードフレーズでMetaMaskとかにインポートできる? のかもしれないですが、いずれにせよ以下の点がネックとなると思われます。
BRILをスワップできるのが、日本人にとっては今のところCoincheckしかない
⇒ DEXでウォレットを繋いで直接スワップできればPolygonチェーンはガス代も安いし話が早いんだけど、DEX対応の話は聞いたことがないし何にせよ流動性が低いと機能しなさそうEthereum Mainnetは普段からガス代が割高だが、トランプ相場で最近さらに高騰しており絶対に使いたくない・・
となると、「CoincheckでBRIL売却した日本円で別の銘柄を板取引で購入し、Ethereum Mainnet以外のチェーンでセルフカストディウォレットに送金し、最終的にPOLにスワップ」が考えられるシナリオだが、複雑すぎてあまり考えたくない
↓ 以下はCoincheckの取引所(板取引)に対応している銘柄
※ ネットワーク名はCoincheckのヘルプセンターの記載に準ずるBTC:Bitcoinネットワーク
ETH:Ethereumネットワーク
XRP:XRPネットワーク
SHIB, IMX, ENJ, CHZ, WBTC, FNCT, DAI:Ethereumネットワーク上のERC20
AVAX:Avalanche C-Chainネットワーク
BRIL, BC:Polygonネットワーク上のERC20
IOST:IOSTネットワーク
BCH:Bitcoin Cashネットワーク
MONA:Monacoinネットワーク
PLT:ePLT(イーサリアム上のPLT)
LSK:Liskネットワーク
XEM:NEMネットワーク
ETC:Ethereum Classicネットワーク(現在送金のみ対応)
一番考えられるシナリオとしては、POLと同じPolygonネットワークに対応しているBCを買って送金する方法ですかね。ブラッドクリスタルは有名ゲームのトークンなので、わりとサクッとスワップとかできそうなイメージ。
ただいずれにせよ、学習コストと掛かる手間が得られるベネフィットと釣り合う気がしないというか。調べて試行錯誤するのは好きな方ですが、それでも単純に疲れますね。
CoincheckでPOL(MATIC)の板取引に対応してくれればすべて解決するのですが。。
直接送金タイプのスワップサービスを使う
世に展開されているスワップサービスは基本的に、MetaMaskのようなセルフカストディウォレットを繋いでスマートコントラクトでやり取りするものが主流です。一方で、ChangellyやSimple Swapのようにウォレットを接続せず、指定アドレスに送金するとスワップして送り返してくれる系のサービスもあります。
後者のタイプであればサクッとスワップできそうにも思えますが、過去の経験上これらのプラットフォームは手数料がかなり高いのが難点(ときに法外なレベル)。ガストークンを持っていないせいでメイントークンが動かせない… かつガストークンがマイナー or 非EVM系でメジャーなサービスではスワップできない、みたいなときにやむを得ず使う以外では推奨できません。あくまでも肌感ですが。
あとちゃんと仕組みを理解して使わないと、返送時の指定ウォレットや指定チェーンをミスって簡単にGOX(資産逸失)します。
なんだかんだトライアンドエラーするのは楽しい
書いていたらどんどん愚痴や気づきを思い出して、想定を超える分量になってしまいました。ただ、章のタイトルにも書いた通り、こういうアクシデントも含めてどう切り抜けていくかを考えるのは、やっぱり楽しいですね。
私は元々ゲームをまったくしない人間で(本格的なゲームは、小学生のときにゲームボーイでポケモンのレッド版をやったのが最後ですかね…)、ブロックチェーンゲームも話題を耳にすることはありつつも、自分がやりたいとはあまり思えないでいました。
それが今回、IEOきっかけとはいえ数か月以上プレイし続けているのは、やはりゲーム自体がおもしろいからだと思います。
一見地味だけど、原石や輝石の採掘体験はよく作り込まれていてクセになる。そして自分が採掘するだけでなく、スカラー運用を考えたり宝石の出口戦略を考えたりするのもワクワクする。
採掘体験そのものも戦略立案も両方楽しい。だから、もっと多くの世界中の人にこの魅力が伝わればいいなと感じています。
トークノミクスはまだ完成形が確立されていない難易度の高い領域だとは思いますが、プレイヤーの1人としてコミュニティの1人として、私はまだまだ掘り続けたいし、Brilliantcryptoを応援していきたい気持ちでいっぱいです!
'24/11/15 最終更新