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【保育士試験】理系院卒の受験記【独学・一発合格】

こんにちは!
本日、令和6年後期保育士試験の結果発表があり、合格しました。
私のように専門外から受験する人の参考になればと思い、ひととおりの流れを紹介します。

資格の概要

保育士資格は国家資格の1つです。専門の学校を卒業して資格を取得するイメージが強いですが、実は取得には2通りの方法があります。

  1. 「指定保育士養成施設」(大学・短大・専門学校など)で学んで卒業をする

  2. 年2回実施される保育士試験を受験し、合格する

2の方法だと、受験資格を満たしていれば専門の学校や学部を出ていなくても、筆記試験と実技試験の受験で保育士資格を取得できるんです。
受験資格は【大学・短大・専門学校の卒業 or 児童福祉施設での実務経験が2年以上】です(卒業年度等による場合分けもあるみたいなので、詳細は全国保育士養成協議会のHP等を確認してくださいね)。
ちなみに保育士資格は【名称独占】という権利を持つ資格です。これは、保育士でない人が保育士だと名乗ることが禁じられているということです。医師や弁護士等、その資格を持っている人しか特定の業務ができないという【業務独占】資格とは異なるので注意です。

試験の概要

保育士試験は年2回行われており、大体以下のスケジュールのようです。

  1. 前期試験(1月申込→4月筆記試験→6月実技試験)

  2. 後期試験(7月申込→10月筆記試験→12月実技試験)

令和7年のスケジュールもすでに公開されていました!
筆記試験で合格した人にのみ実技試験の受験資格が与えられます。
筆記試験は8教科9科目で、合格点は6割です。一部の科目に合格した場合、3年間(条件によっては5年間)は当該科目が「合格科目」として受験が免除されます。
私はここを理解しておらず、一般的に保育士試験の合格率は20%程度といわれていますが、一発で合格しようとするとより難度が高いということです。。

筆記試験の各科目を個人的感覚で2軸にプロットしてみました(「保育実習理論」を除く)。

保育士資格筆記試験科目の2軸プロット

主観が入っている点はご容赦お願いします。
余談としては、ヒューマンアカデミーをはじめとした複数のサイトで「社会福祉」が最難関科目と言及されています。実際「社会福祉」の試験は受験者数が多かったです(再受験が多いということ)。個人的には難しいというよりは「こどもに関わりたい」というモチベーション(多くの人が【教育×実践】を想定すると予想)から遠く感じてしまうので、受験者が興味を抱きづらいことから合格率が低いのではないかと考えています。

実技試験は【音楽】【造形】【言語】の3分野から2分野を選択して受験します(出願時に選択)。

  • 音楽: 歌と伴奏の試験です。令和6年は「夕焼け小焼け」と「いるかはザンブラコ」が課題曲でした。試験室にピアノが設置してありますが、ギターやアコーディオンでの受験も可能です。

  • 造形: 題材(保育の情景)に沿った絵を45分間で描く試験です。着色は色鉛筆です。題材は試験時に発表されます。

  • 言語: 複数候補から1つお話を選び、3分間で3歳児向けに素話をする試験です。令和6年は「ももたろう」「おむすびころりん」「3びきのこぶた」「3びきのやぎのがらがらどん」から1つを選択でした。

これらも合格点は6割(50点中30点以上)です。過去問はWebやYouTubeで多々紹介されているので、受験が決まったら探してみてください!

勉強法・使用した参考書/サイト

筆記試験

筆記試験対策には以下の参考書を使用しました。2025年版を貼りますね!

参考書は書店で見て好みのものをフィーリングで選ぶ派です。合わせて一問一答の問題集を購入しました。過去問は結構ネットで拾えますが、解説に助けられることが多かったので問題集を購入して良かったです。
私の受験勉強スケジュールは以下の通りです。

  • 7月末(出願)~9月初旬: テキストを通読する

  • 8月末~10月初旬: 一問一答を解く

  • 10月初旬~1週間前: 一問一答の発展問題以外を2周目

  • 2週間前~: 1科目A4用紙1枚分くらいのまとめを作成する

  • 1週間前~: 「やさしい保育士入門」で過去問を解く

反省としては、範囲が広いので通読に時間がかかったことですね。科目をまたいで出題されるキーワード(「児童福祉法」等)が多くあるので、重要項目は繰り返し目にすると割り切ってサクサク読んじゃったほうが良いと思います。
試験までの時間が足りないと途中で気づき、一問一答2周目の発展問題は見捨てました。そのツケか、科目によっては合格点ギリギリでした。。

また、1点注意です。
「保育実習理論」という科目では保育士の役割に加え音楽・造形・言語に関する技術についての問題が出題されます。この「音楽」が結構厄介で、楽典(音楽の理論や規則)について割としっかり問われます。令和6年後期は楽譜を見て和音を穴埋めする問題が出題されました。楽譜になじみがないよ~という方は早めの対策をおすすめします。

実技試験

私は【音楽】と【造形】を選択しました。
幼少期にピアノを習っていたのと、イラストを描くことが比較的好きであったためです。

音楽の課題曲は、前期後期共通で毎年1月に発表されます。
令和7年は「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー」「証城寺の狸囃子」のようですね。
意外なのが、課題曲は指定されるものの、楽譜指定はありません。右手(主旋律)と左手(伴奏)が全く同じ動きでなければOKなので、初心者の方もYouTubeで【簡単】と書かれた楽譜を探してみてください。
私はYouTubeでいろいろ聞いてみた中で一番好みだったnao-musicさんの楽譜を購入しました。

音楽の注意としては、電子ピアノで練習している人は、一度レンタルスタジオでアップライトピアノ+大声で歌う練習をしたほうが良いということです。
私は前日に練習に行ったのですが、電子ピアノとアップライトピアノの感覚の違いに驚きました(本番は電子ピアノだと思い込んでいましたがアップライトピアノでした)。また、その時に録音してみたら声が小さくて全然聞こえませんでした。お腹から声を出しながら演奏するのはなかなか難しいので本番を想定した環境での練習をおすすめします!

造形は時間を測って過去問演習を行いました。一度実践してみるとわかるのですが、時間制限があるので極力無駄を省くことが肝要です。無駄というのは、主題以外の部分をその場で考えることです。言い換えると、背景(保育室と園庭を想定)・登場人物(基本保育士1人とこども3人)はセットで固定させることで時間が削減できます。私が用意したセットを参考までに貼っておきますね。

造形登場人物セット。(上段左)保育室の背景、(上段右)園庭の背景、(下段)左からこども3人、保育士1人。服の色も迷わないように予め決めておきました。

当日出題された問題は以下の通りでしたので、上段右の園庭にドングリを散らし、木を紅葉させることで対応しました。

【事例】を読み、次の3つの<条件>をすべて満たして、解答用紙の枠内にその情景を描きなさい。

【事例】
N保育所では、園庭でたくさんのドングリを拾うことができます。5歳児クラスの子どもたちは、ドングリを使った遊びを楽しんでいます。
保育士も色々な材料や用具を園庭に出して、一緒に遊びに加わっています。

条件
1.【事例】に書かれている保育の様子がわかるように描くこと。
2.子ども3名以上、保育士1名以上を描くこと。
3.枠内全体を色鉛筆で着彩すること。

令和6年後期保育士試験

条件3の「枠内全体を色鉛筆で着彩」は塗り残しがあるとNGという情報を複数のサイトで見ましたが、どの程度で不合格となるのかは不明です。。
練習の正攻法は対策テキスト(ドリル)の購入かなと思います。当日の試験室で対策本を見ながら最後の確認をしている人は多かったです。
まあまあイラストが描ける人は不要でしょう。美術の試験ではないので、我流でも絵を描くことに慣れていれば数回練習すれば通ると思います。

本番の注意点としては、紙が良い(ケント紙っぽい)ことです。コピー用紙で練習していたので、色を塗る感覚が異なりました。練習時は10分くらい時間に余裕があったのですが、本番はギリギリでかなり焦ったので、気を付けてください!

当日の注意点

さて、いよいよ本番です。持ち物等については種々のサイトで述べられていますので、私なりの注意点を挙げるとしたら以下の通りです。

  • 筆記試験: 多科目の試験は想像以上にメンタルに来ました。自信がない科目があっても落ち込まずに2日間がんばりましょう!

  • 実技試験: 音楽、言語が個人科目である関係で、受験する科目の間が長時間になることがあります。私も4時間以上空きました。

(余談)保育士試験合格後のこと

最後に余談も余談ですが、取得した資格をどう活用するかについて記載します。
私は現在会社員(非教育系)をしており、今すぐに保育士に転職するつもりはありません。幸運なことに、ボランティア団体でこどもに関わる機会を持てているため、彼ら彼女らを未知故に傷つけることがないように、というモチベーションで受験しました。対象が小学生なので保育士試験の範囲とは少しずれていて、直接は参考にならない部分も多々ありましたが。。
今後はボランティア団体を通して、教育関係者とお話しする機会もあると考えています。その際に、「専門の方だから」「本業としている方だから」と腰が引けないように、少しは勉強したという自信を保育士資格が支えてくれると思います。
「資格の概要」に記載したとおり、保育士資格は名称独占ではありますが業務独占ではなく、こどもに関わる、こどもを支えるという点では必須ではないともいえます。資格以上に経験やマインドが大切と考えて、これからも人間的に成長していくことで目の前のこどもたちの支えになれたらなと思います!

ここまで読んでくださってありがとうございました!
保育士試験を受けようか迷っている人のご判断、試験対策中の方のご参考になれば幸いです。

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