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Decision intelligence とは? ~なぜ今それが必要なのか~

近年、今まで以上にビジネス上の意思決定の重要性は増しています。迅速に、正確に、自動的に、ビジネス全体を網羅的に捉えている必要があります。あらゆる決断を下すために大変多くのことが求められます。

自社のデータを最大限に活用し、ビジネスに役立つアクションを確実に実行するには、意思決定プロセスを進化させる必要があります。重要なビジネスデータを活用しそれに基づいて行動を喚起する為の新しい手法を複数組み合わせることで、高いレベルのデータ・ドリブンな意思決定が可能になります。ガートナー社はそれをDecision intelligence(ディシジョンインテリジェンス) と提唱しており、最適なビジネス成果につながる決定的な行動を取ることが可能になると期待できます。

1. 自社データを活用したインテリジェントなアクショ

Decision intelligenceは、さまざまな意思決定手法をAI、自動化、ビジネスインテリジェンス(BI)などのツール類、そして未来志向的な意思決定者を組み合わせることで、組織に有意義なインパクトを与え、自社のデータや先進的テクノロジーへの投資から高いリターンが期待できる、より進歩的な意思決定を促進する実行可能なインテリジェンス基盤をもたらします。

そのDecision intelligence実現に重要な要素の一つ、インテリジェント・ビジネス・アプリをここで紹介しておきます。それは、コーディング経験が全く無いユーザーでも堅牢なBIが開発可能となる様な、BIツール内のカスタムアプリケーションのことです。インテリジェントなアプリが自社データの上で機能することにより、アクションを自動化することや、誰でもデータに基づいて適切なアクションを実行できる、精度の高いインタラクティブなアナリティクスが可能となります。

その様なアプリがあれば、ビジネス上の意思決定に関連した補足情報や知見をより多く得ることができ、膨大なデータを活用してインサイトを抽出する能力をさらに強化でき、またその意思決定が組織にもたらす影響を分析することもできます。

また機械学習やデータサイエンスによってもDecision intelligenceを促進することができます。これらは、他の方法では不可能なレベルの予測を可能にする技術です。

自社でDecision intelligenceを導入すると、意思決定プロセスは早く、簡単で効率的になることでしょう。

2. Decision intelligenceの必要性

次の例は、よくある意思決定プロセスであり、聞き覚えのある内容かと思います。

データを収集し、それを視覚化し、ビジネスに影響を与える重要なインサイトを見つけ、ダッシュボードまたはレポートを通じて情報を提供し、関係者がそれらのインサイトを活用して意思決定を行います。 最終的な決定が行われた後は、プロセスをまた最初から新たに実行します。

こういったことは、反復的でリニアなプロセスとも言えます。最終決定は、データ収集が開始されてから数日、数週間、数ヶ月を経ているかもしれません。過去の結果や状況に合わせて決断が行われている、とも言えるでしょう。

上記例のような従来の意思決定プロセスは、現代のビジネス環境では効果が低くなってきています。グローバルに相互関連した組織の複雑さと、すべての業界にわたるデジタル面の不連続性により、将来に関する意思決定は予測不可なものとなってきています。利用可能なデータが指数関数的に成長していることを考慮すると、従来のモデルは持続不可能と言えるでしょう。

対照的に、Decision intelligenceを活用することで、組織は従来の意思決定プロセスをAI、機械学習、インテリジェントアプリ、自然言語クエリ(Natural Language Queries)などの高度なテクノロジーと組み合わせ、「従来のダッシュボードやビジネスアナリティクスをより包括的な意思決定プラットフォームへと変身させることができる」とMaria Korolov氏は言います。(CIO.com, March 2021

Decision intelligenceの活用により、単に過去のパフォーマンスだけでなくそれ以上の情報に基づいて意思決定を行うことができます。

また、データとツールを使用して繊細なデータ間の関係性を分析し、「この決定は来年のビジネスにどのような影響を与えるか」などの問いを立てて検証することが可能になります。

さらに自然言語クエリなどの高度なAIを統合することで、BIツールは問いに付随する追加情報を提案できるようになります。影響力のある回答を得るためには正確で適切な質問を考えなければならない、ということも必要なくなります。

最終的には、「Decision intelligenceも人も、それぞれが得意な事に注力する様になる」とPam Baker氏は言います(PCMag.com, April 2021)。「アナリティクスやAIなどのテクノロジーを用いると、膨大なデータ内の関連性やパターンをすばやく見つけることができます。Decision intelligenceはその情報を使用して、直感的な知恵、創造性、経験、ニュアンスをうまくナビゲートする能力など、より無形の人的要素を活用するのに役立ちます。」とも言います。

3. Decision intelligenceの活用例

・レコメンデーション・エンジン: アナリティクスを使用して、顧客が望む製品やサービス、または次に視聴する映画やテレビ番組を予測します。このようなツールは、エンドユーザーがコンテキストに基づいて決定を下すのに役立つでしょう。自動化されたツールと人的な要素を組み合わせることで、自社製品・サービスの利用拡大につなげ、自社ビジネスの利益拡大が期待できると考えられます。

・販売活動の最適化: 自動化されたツールは、見込み客に関するデータを分析し、セールスリードの優先順位付けに役立ちます。Decision intelligenceの活用により、影響力の大きい営業活動にフォーカスし、成約する可能性が最も高い機会を特定し、さらに営業担当がリアルタイムでフォーキャスト情報を更新できるようにします。または、パイプライン上のどの取引が最もリスクが高いかを確認し、過去のコンバージョン率と成約時間を使用して将来の収益を予測し、この情報を必要としている現場最前線のチームに提供することができます。

・プライシング: 自動化されたシステムは、データのしきい値に基づいて価格を調整します。 大量のトランザクションがあるため、企業は複数の意思決定フレームワークを適用して、意思決定プロセスとAIモデルをテスト、反復、および改良できます。また、インテリジェントなアプリを使用してデータサイロを分解し、組織全体でデータを取得・活用し、最新情報を確実に入手できるようにします。これは、航空会社や製薬会社など、トランザクションの多いビジネスにとって特に有益です。

・人事タレントマネジメント: 採用および従業員評価プロセス全体を通して、Decision intelligenceとインテリジェントアプリを使用します。人事部門は、インテリジェントアプリを使用して、応募、面接、採用プロセスを通じて潜在的な従業員をトラッキングできます。 また、現在の従業員の満足度を監視して定着率上げ、また将来の採用ニーズを予測することができます。

・小売店舗運営: インテリジェントなアプリを使用して、各小売店と売上状況に関する情報をリアルタイムに収集し、パフォーマンスに影響を与える的確な決定を下します。例えば、顧客の統計情報や地理的傾向と併せて個々の店舗のパフォーマンスをトラッキングすることで、俊敏にそしてより正確に意思決定と予測を行うことができます。

4. さいごに

本テーマは3部に分けて提供します。次回は「Decision Intelligenceを構築するためのフレームワーク」を予定です。

今回のテーマとは少し離れますが、先日AIを業務の中で活用するために乗り越えなければならない障壁についてご紹介したブログを書きました。今年度はデータサイエンス・AI/機械学習系にフォーカスして記事を書いていこうと思いますので、ご期待ください!