ホテルニューオータニで一人5000円で宴会できる?※注意2020年11月24日追記あり
今話題の桜を見る会前夜祭ですが、これの何が問題かって、首相の事務所が参加費だけじゃ足りなくて、差額を補填してた場合「有権者の買収」になるんですよね。ヘタすると、秘書が有罪になって連座制適用になって、首相が公民権停止→議員失職→当然内閣総理大臣も失職という今まで誰も見たことないドミノが発生するわけです。
ちなみに桜を見る会本体は国の行事に人を招待してるだけだから法的にはセーフです。そういう理屈です。
というわけで、まずホテルニューオータニの宴会プランがいくらかを見てみましょう。
見た感じ、どれもこれは最低でも一人1万円超という感じです。
はい、首相事務所は有権者買収してました!アウト!!首相失職!!!となりそうですが、これは原則論の話です。こういうホテルの宴会では様々なテクニックを使って原価を安くします。
コース料理の場合は、一人1人前の料理を出さないとごはんがない参加者が出てきて大変なことになりますが、立食パーティの場合はビュッフェ料理を減らしてもバレません。というか、みんなそんなに食べないので、バカ正直に一人1人前でビュッフェを発注するとメチャクチャ余ります。この料理が余るか余らないかのギリギリの発注量を読むのが宴会担当者の仕事です。理想はちょっと余るくらいですね。
一方で、料理は減らせますが、ドリンクに関しては実参加人数で計算します。ファミレスでもドリンクバーは必ず人数分注文しろと言われますが、ホテルの宴会も一緒です。先ほどの時事ドットコムの記事で「立食で150人の場合は1万1000円」と書かれていました。そして、ホテルニューオータニのプランのページを見ますと、1万1000円コースでは飲み物の料金は含まれているもののフリードリンクにならず、500円を追加するとフリードリンクになるようです。では、ドリンク単体の料金はいくらなのでしょうか。
石川参院議員がホテルニューオータニの宴会料理プランの見積もりをわざわざ公開してくれたので、ドリンク単体の料金は1人1800円ということがわかります。ビールとソフトドリンクとしか書かれていませんので、たぶん、ビールとウーロン茶とオレンジジュースが用意されてるんじゃないでしょうか。この一人1800円はこれ以上安くできないでしょう。
また、この見積書では食事の値段が総額680万円で、うちお寿司が2000円×800人で160万円かかってることがわかります。ということは残りの520万円がビュッフェ料理(見積書ではブッフェ料理です)のお値段で、1人6500円のはずですが、なぜか付箋で隠されていてわからなくなっています。ここを隠す意味があるのかよくわからないところですが、単価6500円のビュッフェ料理は割と一般的な金額なので、ここではビュッフェ料理1人6500円でホテルニューオータニは宴会が可能なのだと仮定します。
さて、お寿司はとりあえず置いておいて、ビュッフェ6500円とドリンク1800円だと、明らかに5000円では足りません。他に会場代もかかっていますし、ここから更に値段を落としていかなければ首相は失職してしまいます。
「前夜祭、事務所携わる」と出演歌手証言 「桜を見る会」 https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=588621&comment_sub_id=0&category_id=256
歌手の出演料ですが、これは無料であったことがわかります。また、参加者は高齢の方が多いこともわかります。高齢の方はあまり食べないので、若い方が多いパーティよりも料理を少なめにすることができます。ただ、あまり減らしすぎると、参加者の満足度が下がります。
「会場はぎゅうぎゅうで五千円は高い。ぼったくりかと思った」という参加者の意見からするに満足度が低かったようです。料理の発注数をかなり絞ったんじゃないでしょうか。仮に150人の参加者に対し、100人分の発注にすると単価4300円相当になります。これだとだいぶ量を抑えているので、参加者からはちょっと不満の声が出そうです。
これはビュッフェ料理のメインディッシュを出さないようにする代わりに、唐揚げやチャーハン、焼きそばなんかを追加発注して総額を安くするテクニックのことですね。たとえば、ブッフェ料理9品を6品くらいにして、代わりに単価は安いが量が多い料理を追加することで、量を減らさずに安く済ませることができます。ちなみに女性が多い立食パーティだと、料理を減らす代わりにデザートを追加発注したり、ケーキのグレードを上げたりすると参加者の満足度が上がります。
ニューオータニのパーティプランを見ると、洋食ビュッフェのメインは「ビーフとフレッシュトマトの赤ワイン風味煮込 バターライス」「若鶏のロースト 和風グレイビーラケ」でしょうが、先ほどの東京新聞の記事では「食事はカツオのカルパッチョや焼き魚、巻きずしなど」と書かれているので、肉料理は省かれているものと思われます。唐揚げの追加発注はしてなさそうです。唐揚げがあったら、わたしならちゃんと例に挙げます。
つまり、元々1人6500円のビュッフェ料理からコストの高い肉料理等を省き、1人4000円相当のビュッフェにして、150人の参加者に対し100人分の発注とします。
そうすると、4000円×100人分÷150人=2667円で1人単価2667円になります。ドリンクは人数のごまかしがきかないので1800円を加算して合計が1人4467円です。消費税は当時8%ですから加算して1人4824円。良い感じの値段になりました。
しかし、これ、会場費が入っていません。当然ここの会場費も計算しないと買収になってしまいます。
ここで石川参院議員の見積書を見てみましょう。会場の正規料金は275万円でしたが、これは800人が入る会場です。また、食事680万円、ドリンク144万円と会場費275万円では計1099万円になるはずですが、割引がきいていて計862万円のようです。ここから計算すると会場費は38万円です。正規料金の86%引きとはずいぶんお安い感じです。ただ単に見積もり取っただけでそんな割引になるとか正規料金の意味があるのかって感じがします。また今回の場合は、150人の立食パーティのための会場ですからもっと安いでしょう。
「安すぎるとの指摘があるが、大多数がホテルの宿泊者という事情を踏まえてホテル側が設定した価格だ」と首相が説明していますが、宿泊者割引で対応できるのだとすれば、一定つじつまは合います。
ザ・メインのスタンダードツイン正規料金70000円に対して、宴会の特典で16000円~になります。こういう料金は真面目に考えれば考えるほどバカみたいな感じになりますね…。ちなみにザ・メインのスタンダードツインをインターネット予約すると平日は朝食付1泊で50000円くらいのようです。
というわけで、色々見てきましたが、一人5000円で宴会はできなくはなさそうです。ですが、割と(かなり)無茶を言っています。そもそも元々の料理6500円を4000円にしてるという試算の時点で、超けちくさいですからね。首相の招待だからあまり文句を言わないだけで、一般人がこれをやるとボロクソ言われます。絶対やめましょう。
※2020年11月24日追記
11月23日に東京地検特捜部が安倍前首相の公設第一秘書を任意聴取しタコとが明らかになり、翌24日に安倍前首相自身が、自らの事務所で差額を補填したことを認めました。この記事では「1人5000円で宴会できなくはないだろうがかなり無茶を言っているのではないか」としていましたが、そもそも1人5000円で宴会をしていないことが明らかになったことになります。この記事は当時のまま残しますが、そもそもニューオータニでは1人5000円で宴会はできないということが明らかになりましたので、その点にご留意ください。
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