【エッセイ】私と胸キュン
世には胸キュンのドラマCDというものがある。
人気の声優が甘いシュチュエーションと胸をキュンとさせるキャラクターを演じるドラマCD。
私は昔は苦手だった。
苦手な部分は『説明されること』と『反応が決まっていること』。
説明されないなんてドラマCDの前提を否定しているようなことだが
日常生活で今の状況を説明されることはないから説明されることに違和感を感じてしょうがない。
そして「頬が真っ赤だぞ」とこちらの反応を説明されることによって何か自分の感情というものを制限された気になって萎えていた。
乙女ゲームも同様に選択肢以外の行動を選べないことに不満だった。
私は胸がキュンとならないものにキュンとしてと言って相手が満足する選択肢か選べない。このことが大いに不満で苦手だった。
同じオタク友達からはただ「変わってる」と言われ、少しショックだった。
強い自我と反発心は現実世界にも影響した。
自分から恋をすることもある。
ただ相手からアプローチされている時、思いもよらないタイミングで告白される時があった。
私自身はお互いをよく知らないのに告白されても鳥の囀りにしか感じない。
いきなりの告白はきちんとした返事さえも濁らせる。
愛に飢えて依存で付き合った時もあったけどその時の私は乙女ゲームをしている私だった。
いまいちピンとこない実は行動が伴っていなくて怪しいとさえ思える告白も
相手が喜ぶ選択肢を差し出すのである。
今思えばそんなことしなくても良かったけどその時はそういう恋愛をしていた。
その状態を脱して俯瞰できるようになった今。
不思議と私はドラマCDを聴いていた。
相変わらず説明してくるし、反応も決まっているけれど昔のように反発してはいない。
へぇ、私は今そいうい状況なんだ。
私はそういう反応しているんだ。
と受け流す中で時々訪れる胸キュンに心が甘酸っぱくなる。
果たしてドラマCDが進化したのか私が成長したのか、どっちもなのか。
日々成長し続ける私に、キュンとなるものを探し続けてあげたい。