【初心者でも大丈夫】0から始める「ギター編曲に必要なスキル」の習得順
「どんなスキルがあればギターの編曲ができるようになるんだろう?」
「というか、そもそも何から手を付ければ編曲できるの?」
などとお悩みの方も多いと思います。
少なくとも、「ギターアンサンブルやソロギターの編曲がやりたい」と志した、少年時代の私はそうでした。
そのあたりのことについて分かりやすく書かれた本もなく、当時は本当に手探りで試行錯誤したのを覚えています。
このnoteでは、ソロギターやギターアンサンブルの編曲において必要となる初歩のスキルと、おすすめする習得の順番(優先度順、ですかね)について書いていきたいと思います。
上記の通りですが、初めて編曲をされる方が大体悩むはずのことなので、少しでも参考になれば幸いです。
急いでる方は「まとめ」だけ見てみてください。
1.【前提】ギターの編曲でやること
…いきなりですが、ぶっちゃけギターアンサンブルやソロギターの編曲って、そんなに難しいことをやるわけではないと思っています。
※ポップス曲などをシンプルにギター編曲する場合、ですが。
というのも、最低限ギターの楽譜を作るために必要となるタスクというのは、以下①~③の通りだからです。※楽譜作成ソフトの利用を想定してます。
①既存の楽譜(ピアノ譜やバンド譜)を参考に、メロディ・和音・ベース音、ハモり等の各役割に分解する
②まずは、①で分解した音をメロディのみ楽譜作成ソフトにそのまま入力する
③メロディ以外の音を「ギターで実現可能であることを確認しつつ」加えていく※編曲内容に応じて以下を実施
・ソロギター編曲
→メロディを弾きながら実現できるベース音・和音の追加
・ギターアンサンブル編曲
→ギターで実現可能な和音・ベース音をメロディ以外のパートに追加
経験上、こんな感じで大体の曲は攻略可能です。
※もちろん、「パート(フレーズ)そのものや楽曲自体を創作する」というのは難しいですし、楽譜の調達が困難な曲では耳コピが必要になりますが。。
以降は上記の流れを前提として、
「このスキルを身につけるといいですよ」
といった形で書いていければと思います。
2.【概要】ギター編曲に必要なスキルとおすすめ習得順
勿体つけずに書きますと、ざっくりこんな感じになります。
・【優先度1】音の役割を見抜くスキル
・【優先度2】最低限のギター演奏スキル
・【優先度3】演奏者・観客の視点で考えるスキル
・【優先度4】楽譜作成ソフトのスキル
文字だけだとわかりづらいと思いますので、「なぜか」というのを図的に示そうと思います。
↓こんな感じです。
それぞれのスキルが土台になり、「できるようになること」が積み重なった結果、ギター編曲が可能になるイメージです。
3.【優先度1】音の役割を見抜くスキル
まずは曲を聴いたり楽譜を見たときにメロディ・和音などがざっくり分かればクリア、といったイメージです。
↓先ほどの図で言うと、対象範囲は以下の通りです。
とはいえ、この「音の役割を見抜くスキル」については、ぶっちゃけこのnoteに辿り着くような、音楽について自発的に情報収集される方は漏れなくクリアしてるのではないかと思います。
突然ですが、こちらの楽曲のメロディは「分かる」でしょうか。
有名な、エルガーの「愛の挨拶」ですね。
「聴き取れる」とか「ドレミが分かる」とかではなく、とりあえず「これがメロディやろ」というのはお分かりになるかと思います。
それが分かればもうクリアです。
「ファッ!?」って感じかと思いますが、そんなもんで十分なんです。
ここで言う「音の役割を見抜くスキル」は、曲を聴いてドレミが聴き取れずとも、メロディ・和音・ベースの輪郭が掴めればOK、というものです。
「輪郭」というのも、実際に編曲するときは多くの場合ピアノ譜やバンド譜など「何らかの楽譜」を調達しますので、その楽譜を見て「この動きをしてるのはメロディ、この音符は和音だなー」ということが分かれば十分だからです。
聴いただけでドレミに落とし込めるような音感は、あるに越したことはないですが必須ではないです。(恥ずかしながら私には「あんまない」です^^;)
4.【優先度2】最低限のギター演奏スキル
ここでは「メロディ・和音などの各フレーズについてギターで実現できるかどうか」が分かればクリアです。
↓先ほどの図で言うと、対象範囲は以下の通りです。
実質の土台はこのスキルになるかと思いますが、これまた正直多くの方がクリアできてるかと思います。
「最低限とか言いながら、どうせめちゃ高いハードルを課してくるんじゃないの」
と不安な方もいらっしゃるかもですが、それでも「多くの方がクリアできている」と言うのは、割と本当に「最低限」レベルで良いからです。
「最低限」の意味合いとしては、以下の判断がつけばOKです。
・実現不可能な和音の判断ができる
各弦の音域や左手の運指を考慮し「この和音は実際には弾けないなあ」といった判断ができる
・音域外の低音、高音の判断ができる
高音については発音できても「こりゃ弾けないでしょ」という運指の判断ができる
※13フレット以上の高音が高速で続くフレーズなど
・ギターで弾ける速度の上限が判断できる
簡単に言えば、「極端な高速フレーズなどは音を間引く」など、そうした判断ができるかどうかです。
一言でまとめると、
「フレーズの実現可否を判断できるか」
ということです。
変に達者に弾けても
「このくらい皆できるでしょ」
などと思ってしまいがちです。
特にギターアンサンブル編曲をする場合などは、演奏スキルは必要以上に高くない方が、実際に弾く奏者の気持ちも理解できて良いかと思います。
5.【優先度3】演奏者・観客の視点で考えるスキル
ここまでに「実現可能」としたフレーズを演奏者・観客の視点で考え、楽しめるように「音」に落とし込めればクリア、です。(…どうにもいきなり「ふんわり」した内容になりましたね。。。)
↓先ほどの図で言うと、対象範囲は以下の通りです。
多くの場合、編曲という作業は1人で行われるかと思います。
私もよくよく陥りますが、1人で進めた結果、客観的な視点のない「独りよがりな編曲」になってしまうこともあります。
「独りよがり」の具体的な例としては以下です。
・奏者にとって弾きづらい、難易度が理不尽に高い
・メリハリがなく、観客が聴いてて退屈する
・特定のパートに「おいしいフレーズ」が偏る※ギターアンサンブル編曲の場合
…まあ「奏者、観客の観点を忘れない」ということですね。言うは易しですが。。
「じゃあどないすんねん」
って話ですが、おすすめの対策としては
「編曲が一段落した後、数日置いておさらいしてみる」
というものがあります。
ガーッと編曲を進めている際は「ハイ」になっているので、どうしても主観が強くなりがちです。
まあそれはそれで良いものになることもあるので一旦OKなのですが、とりあえずその「ハイ」な状態が過ぎ去った頃にもう一度、編曲したフレーズをおさらいしてみましょう。
多くの場合、
「えっ、私の編曲ひどすぎ。。」
って感じるのではないでしょうか笑
「数日前の自分」はもはや他人です。
時間を置いて自身の編曲を振り返ることで、過去の自分とは違った視点で見ることができ、フレーズのブラッシュアップができたりします。
具体的には
「この音は抜いた方が難易度が下がるかな?」
とか
「ここの和音はリズム変えた方が聴いてて楽しいかな?」
といったことがポロポロ見つかり、冷静に自身の編曲をブラッシュアップすることができたりします。(社会人の方はプレゼン資料やレポート作成などでこうした経験があるかと思います。)
参考までに、楽譜作成ソフトには入力した楽譜を再生できるプレイバック機能がありますので、「客観的な視点」はそれである程度カバー可能かと思います。
あの手この手で「客観的な視点」を考慮した編曲を意識してみましょう。
6.【優先度4】楽譜作成ソフトのスキル
ここでは、せっかくフレーズに落とし込んだ「編曲」を、楽譜の形にアウトプットできればOK、となります。
↓先ほどの図で言うと、対象範囲は以下の通りです。
せっかく編曲をしても、楽譜の形にしないと自分以外の人には弾いてもらえませんので、特にギターアンサンブルの場合は必須になってきます。
ソロギター編曲の場合は必須ではないですが、楽譜の形で残しておけば備忘になりますし、その気になれば楽譜販売などでお小遣い稼ぎができたりもします。
「楽譜ソフトじゃなくて手書きでもええやろがい」
という意見もあると思いますが、楽譜作成ソフトは書き直しや音の入れ替えなどの試行錯誤がしやすく、レイアウト調整や表記に関わる機能も充実しています
要は手書きと比較すると「楽に編集が可能」であり、かつ「見やすい楽譜」を作ることに向いているためです。
あと、ソロギター編曲の場合はタブ譜、ギターアンサンブル編曲の場合はパート譜作成も楽のなのでおすすめですね。
「既に手書きでめちゃ高速で楽譜書けます」
という稀有な人はともかく、これから楽譜を書き始める方は楽譜作成ソフトの利用を考えた方が効率的かと思います。
※手書き時代は私にもありますが、死ぬ気でスコアを書き終えたあとのパート譜作成は本当に憂鬱でした。。。
ちなみに、「楽譜作成ソフトのスキル」と言っても、それほど高度な取り回しまでは不要で、以下の項目ができれば十分です。
①調、拍子、テンポの指定
「ニ長調(#2つ)の曲なのに調号なし」といった楽譜にしてしまったり、「3拍子の曲なのに4拍子で記譜」といった楽譜を作るわけにはいきません。
楽譜の基本情報として必要です。
※「当たり前でしょ」と思われるかもですが、楽譜の個人販売サイトとかでたまにそういう滅茶苦茶な楽譜が売ってたりするんですよね。。
②音符の入力
これがないと「どのタイミングで何の音を弾くか」がわかりませんので必要です。
③繰り返し記号の入力
まあ正直なくてもコピペしてベタ書きすれば良いので致命的ではないですが、楽譜を書く側も弾く側も「流用」できた方が楽かと思います。
④リハーサルマークの入力
これまた必須ではないですが、あるとないとで練習の効率が変わってきます。
ついでに自身が編曲するときも目印になり、編曲自体のスピードもちょっと速くなります。
⑤小節線の選択(複縦線、終止線)
調、拍子が変わるときやフレーズの変わり目などは複縦線にしてあげると見やすくなります。
⑥アーティキュレーションの入力(スタッカートなど)
スラーやスタッカート、ピチカートなどの演奏指示に関わる記号の入力です。
⑦レイアウトの調整
演奏者にとって見づらい楽譜は好ましくありませんので、音符が大き過ぎず小さ過ぎず、五線の高さや幅がガチャガチャでない楽譜にするために必要です。
⑧PDF出力
楽譜作成ソフトをお持ちでない方も開けるファイル形式で出力するために必要です。
…とまあつらつら書きましたが、いかがでしょう。
「そりゃ最低限必要だよな」
と感じていただけるのではないでしょうか。
「うわ、めんどくせえ、適当にやるか。。」
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、せっかく編曲するなら完璧でなくとも他の人が見て好感の持てる、人に見せるための努力が伺える楽譜を書いていただけると嬉しいです。
【まとめ】ギター編曲で必要なスキルとおすすめ習得順
以下の順番で習得を進めるとスムーズです。
・【優先度1】音の役割を見抜くスキル
・【優先度2】最低限のギター演奏スキル
・【優先度3】演奏者・観客の視点で考えるスキル
・【優先度4】楽譜作成ソフトのスキル
それぞれのスキルが土台になり、「できるようになること」が積み重なった結果、ギター編曲が可能になるイメージです。
最低限、上記のスキルが揃っていれば、
「ピアノ楽曲をソロギター用に編曲」
とか
「JPOPの曲を、ピアノ譜などをベースにギター4重奏に」
なんてのは比較的楽にできるようになります。
「編曲することになったけど何から始めるんじゃい。。」
というギター編曲初心者の方は、何かの参考にしていただけると嬉しいです。
あとは、上級編として「音楽理論」やら「耳コピ」のスキルもあるに越したことはないですが、そこはまた別の機会に書きたいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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