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【スタートアップ絵本】えなちゃん物語 エンジェル編 後編

前編はこちらです。
中編はこちらです。


えなちゃんたちは、森の端から雪に覆われた北の山を見上げていました。

「あの山を越えていくんだね」
「その先も遠いのかな」
「危険などうぶついないといいけど……」

森から出たことがないえなちゃんたち。
みんな不安なのです。

「どこまでいけばエンジェル投資家に会えるのかはわからないけど」

えなちゃんは、先頭に立って力強く言いました。

「見つけるまで絶対にあきらめないわ」

こうして、えなちゃんと仲間たちは森を後に旅立ちました。

山には雪が降り始めていました。
山を越えると、強風が止まない果てしない雪原。
所々に点在する樹林で夜を越え、朝にはまた雪原を進んでいきます。

「湖が見えてきたわ」

結氷した湖が太陽の光を反射しています。
湖畔にはオオワシが止まっていました。

「オオワシさん、私、エンジェル投資家を探しているんです。ご存じないですか?」

するとオオワシは大きな羽を広げて言いました。

「もう少し北にいったら海がある。そこに行ってみるといい」

えなちゃんたちはお礼を言うと、先に進みました。
峠を越えると、海が見えてきます。

「すごい、きれい」

なんと、その海には流氷が流れ着いていたのです。
みんなは声をなくして流氷に見とれていました。

すると、小さな声が聞こえてきます。

「きみたちはだれ?」
「どこから来たの?」
「何しに来たの?」

流氷の割れ目から、小さな可愛いクリオネたちが顔を出していました。

「私たち、エンジェル投資家を探しているんです。ご存じないですか?」

すると、さらに多くのクリオネたちが集まってきました。

「ふーん。聞いたことあるよ。投資をしてもらいたいんだね?」
「はい」
「どんな事業を考えているの?」

クリオネたちが興味津々で質問してきたので、えなちゃんたちは丁寧に説明をしてあげました。

森ではメッセージを伝えるネットワークが無くてみんな困っていること。
だからメッセージを伝えるネットワークを作って問題を解決したいこと。
シマエナガは森のネットワークを使おうと思っていること。
特に空を飛べないどうぶつたちに使ってもらえると思っていること。

「よくわかったけど、どんなチームでやろうとしているの?」

クリオネが聞いてきました。

「私たちがチームメンバー、フクロウ先生がアドバイザーよ」

えなちゃんが答えると、クリオネたちが騒めきだしました。
どうしたんだろう?とえなちゃんたちがしばらく様子を見ていると……

「あのフクロウ先生がついているなら大丈夫そうだね」
「先生を知っているの?」
「もちろん。あの方は立派な方よ」
「そうね。私たちもフクロウ先生が大好きなんです」

すると、少し大きめのクリオネが一歩前に出て言いました。

「ねえ、私たちに投資をさせてもらえる?」
「え?それってもしかして……」
「ええ、そうよ」
「本当に?……ありがとうございます。ぜひお願いします」

そうです。
この小さなクリオネたちこそが、流氷の天使、エンジェル投資家だったのです。

こうして、えなちゃんたちは長い旅の末に、ついにエンジェル投資家からの資金調達を獲得できたのでした。

でも、ここからが本当の起業の第一歩。
がんばれ、えなちゃん!


以下については、次回の番外編で説明しますね(^^♪

シマエナガ通信の株主、株数、払込額(この森の貨幣は「木の実」だよ)
・えなちゃん  50株、 50木の実(1株あたり1木の実)
・クリオネさん 10株、100木の実(1株あたり10木の実)
合計発行株数  60株
資本金     150木の実
Postmoney時価総額  600木の実

   


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