ファミマの冒険談②(TOB編M&Aの分析)【どまんだコラボ】
前回は、ファミマがam.pm、ココストア、サークルKを吸収し、コンビニ以外をドンキにゆだね、2019年にコンビニ一筋のファミマとして業界再編を完了したところまで紹介しました。
今日は、昨年(2020年)に親会社である伊藤忠によるTOBを仕掛け、スクイーズアウト・上場廃止・完全子会社化を経て新体制移行が行われましたので、こちらを分析説明します。伊藤忠の強さがわかります!
その前に、今回がファミマ分析最終回ですので、恒例のスイーツ食レポ最終回!今日は本命をご紹介します!!
抹茶のフィナンシェ(MATCHA FINANCIER) ← 超おすすめです!!
まず包装の表面を見ると・・・
全国茶審査技術競技大会歴代最多三度優勝
もりた園店主 茶匠森田治秀監修オリジナル
京都府産宇治抹茶「芳彩(ほうさい)」
熟成抹茶・石臼挽き抹茶使用
なんかわからないけど、肩書すごすぎます♪
160円のお菓子と思えない優雅ぶり!!
そしてとってもおいしかったです!
抹茶の香りが強い!濃厚です!!
外側はサクサク、中はじゅわーっ♬
これは、予想をはるかに超えるおいしさでした!
ここ最近のコンビニ食レポの中では圧倒的に一番おいしかったです!!
おすすめです!
余談:フィナンシェって、ファイナンスっぽいよね?
先ほど上でフランス語?の綴りを書いたときにふと「FinancierってFinanceにそっくり」だなあと気が付いて、今まさにネットで調べてみました。
こちらによると、
フィナンシェ:フランス語で「金融家」が語源
証券取引所近くのサン・ドゥニ通りに店を構えていた菓子職人ラヌが考案
証券取引所の金融家達が背広を汚さずに素早く食べられるように工夫
フィナンシェは金の延べ棒を模したインゴット型という長方形の型で焼く
・・・との説もあるようで、とことん「Finance=金融」に因んだお菓子のようですねw
ということで、(本当に偶然なのですが)今日は証券取引所が舞台となるTOB・上場廃止について分析します。
その前に、まずは背景として、伊藤忠が親会社になった経緯を説明します。
1.これまでのファミマ親会社の経緯
西友子会社として設立、間もなく上場。
その後セゾングループ経営危機のため、伊藤忠グループに売却となった。
1998年 伊藤忠グループが30.6%を1350億円で取得し、筆頭株主となった
その後、2018年にはファミマを連結子会社化しました。
2018年 伊藤忠グループがTOBで10,880,400 株を11000円/株でTOB成立
総額1197億円で過半数(50.1%)を取得した
2.今回の伊藤忠によるTOB・上場廃止等一連スキーム全体像
今回の伊藤忠のスキームは、以下3ステップです。
① TOB(上限設定無し)
② 株式併合・スクイーズアウトによって上場廃止・完全子会社化
③ 全農/農中とのJV化による新体制へ移行
2.①ー1 TOB
伊藤忠はファミマ完全子会社化を狙いTOBを開始。
TOB成立後は、スクイーズアウトで完全子会社化を達成する計画です。
※スクイーズアウト(少数株主にTOB価格と同等の価格を支払うことを前提に強制退場してもらうこと)
①のTOBは2300円で成立し、伊藤忠は株式65.71%を保有しました。
さて、意外に募集した人が少なかったですね。これには理由があります!
2.①ー2 TOBプレミアム問題
通常は、TOBをする場合ある程度のプレミアムを乗せてTOBをします。
そうでないと、株主はTOBに参加せず成立しないからです。
今回は、伊藤忠が「前日終値1,766円に対して30.24%のプレミアムを乗せた価格」として、
TOB価格を2300円
に設定しました。
しかし、ファミマは「プレミアムが不足しているので、反対はしないが積極的に推奨しない」というポジションを取ります。
その理由は、PwCがDCF法で試算した企業価値評価の下限値よりTOB価格が低かったからと言われています(上手の赤点線)
その後、TOBが進むにつれ、株主であるファンドや市場からも伊藤忠に「TOB価格見直し(値上げ)」のプレッシャーがかかり、株価もTOB価格を上回り伊藤忠としては苦しい展開でしたが、結局最後まで2300円で押し通しました。
2.①-2 なぜ、強気で行けたのか?
伊藤忠としては、以下2点によって強気を維持しました。我慢の勝利です。
・対抗相手が出てこないだろうという読み
・最低60%ならなんとか確保できるという読み
※スクイーズアウト:株主総会特別決議の決議必要(議決権2/3の賛成票)
TOB成立後の伊藤忠持ち分:50.1%→65.71%でTOB成立しました
2.②株式併合
株式併合とは、複数の株式をまとめることです。このときの株価は、併合比率の逆数に応じ増加します。例えば・・・
10株を1株に併合した場合、100株持っている人は10株に代わる
このとき、株価が併合前2300円であれば、併合後は23000円となる
端数が出て単元株に満たない場合、会社がその株式を妥当な価格(今回の場合は同時期に行われたTOB価格/併合比率)で買い取ることができます。
今回の件では、端数買取によってスクイーズアウトする手法をとりました。(一般的に使われる手法です)
・株主総会特別決議で株式併合を可決(そのためのTOBでした)
・発行総数506百万株に対し、203百万株→1株への併合を実施
➡ 全発行株数は2株になる
・伊藤忠(66%保有)以外は、必然的に1株未満となる
➡ ファミマが伊藤忠以外の株主の株を買い取りスクイーズアウト可能
この結果、株主が伊藤忠一人だけとなるので上場廃止・非公開化となりました。
今回の伊藤忠の支出は、
TOB :1817億円
スクイーズアウト :4002億円
合計 5819億円 をかけて完全子会社化を完成させました
その後、これから協業関係を深めていくパートナーとして、全農/農中との資本業務提携(4.9%の株式譲渡)を締結し、伊藤忠の当面のファミマ再編は完了しました。
まとめ
ファミマは、前回の業界再編や親会社による再編など、M&Aの話題につきませんね。勉強になりました。ここまで読んでいただきありがとうございました。
そして、最後に一言!
ファミマは非公開化によって、証券取引所からは遠ざかりましたが、これからもおいしい「Financier」は提供し続けてくださいね!!