O社の野望
『目の前に大きな二つの山が聳え立っている。誰もが一度は目指したことがある場所。最高の美への挑戦だ』
俺は買収した会社の店舗ロビーに立つ。パステルカラーで統一された空間には心地よい香りが漂い、スタッフたちは笑顔で開店準備に励んでいる。予約リストもびっしりだ。
「ねえ、本当に会社の名前を変えるの?」
幼馴染の紫乃が心配そうに尋ねてくる。彼女はこのプロジェクトに最初から関わってくれているが、社名変更にはどうにも抵抗があるようだ。
「OUTSTANDING PURSUIT of PEOPLE's AESTHETIC INNOVATIONS株式会社。人類の美を追求する理想を込めたんだが、ちょっと長いか?」俺は軽く笑う。
「長すぎ。略称は?」
「『OPPAI株式会社』だ……いや、やっぱり『O社』の方が無難か?」と冗談っぽく笑ってみせる。
「バカね…でも、あんたらしいかも」ため息をつきながらも紫乃は少し微笑んだ。
「俺たちが目指すのは自然美の革新だ。誰もが夢見る理想の姿を実現するために、この店のおっぱいマッサージのノウハウがどうしても必要なんだ」真面目に語りながらスタッフたちの様子を見渡す。
紫乃は少し黙り込んでから、真剣な顔で言った。
「まさか私の胸を実験台にするつもりじゃないでしょうね?」
俺は笑いながらも彼女の洞察力に驚く。もちろん、正直に「その通りだ」とは言えないから、軽く肩をすくめるしかない。
「まあ、これは全人類の夢だからな。でも、俺たちならやれる。これは始まりなんだ」
この店舗を足がかりに、さらに異業種のM&Aを進め、誰も成し得なかった「究極の美のエコシステム」を作り上げる。それが俺の野望だ。そして……ふと紫乃の小さな胸に視線がいってしまう。俺の事業への情熱がここにある。
「次のM&A戦略でさらに革新を進めるつもりだ。聞きたいか?」
「え?」
紫乃は少し興味を持ったように目を輝かせた。
(続く)