短編小説 俺は(私は)何がなんでも大賞受賞したいんだぁ! 第一話
とあるメディアプラットフォームで毎年最大の盛り上がりを見せる創作イベントの中間選考結果がでたが、残念ながら俺の渾身の出来だったSF小説は掠りもせず惨敗だった。
——うん。全力尽くしたから満足さ。
「……なんてわけあるかー! 悔しい、悔しすぎる。次こそは何がなんでも受賞を狙う。あらゆる手段を講じ尽くして受賞してやる」って、悔しさ全開でSNSに呟いた。早速「だよね」「よかったと思ったよ」「ま、どんまい」と平凡なレスが返ってきた。
そんな中、際立ったレスをくれたのがイキナリ愛さんのレスだった。彼女は巨乳美女のアイコンを掲げ、冒頭から際どく攻めまくる大人恋愛小説を書いているわりに、普段のコメントはおとなしい不思議な作家だ。
「私も納得いきません。絶対におかしいです。私も次は何がなんでもって思っちゃいました」
……だよな、俺だけじゃないんだ。愛さんも同じ気持ちなら、と思って、ついレスを出してしまった。
「じゃあさ、次に向けて、俺たちタッグ組んで手段を選ばずに挑んでみません?」
踏み込みすぎたかも。若干後悔。でも、しばらくすると、短いけど力強い返事が返ってきた。
「いいですね、それ。やりましょう!」
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