M&A婚活短編小説 第4話 LOI
この小説はエロ系趣味小説です。苦手な方にはごめんなさい🙇
第二回講座に集まると、各自に封筒が渡された。
「前回のターゲット要件とIMをもとに、アインのAIマッチングプラットフォームが選定した男性会員にIMを送りました」
やだ、もうIMが男性に配られ始めているんだ。
心の準備ができていなかった……
「で、IMを受け取ったの男性会員の中から、あなたたちと真剣に付き合いたいと回答した男性から意向表明書が届いています」
意向表明書?聞きなれない言葉……M&A用語かしら。
「英語ではLOI、つまりLetter of Intentと言って、本気で買収したいので交渉させてくださいという書面のことよ」
なるほど……え?ってことは……婚活の場合は?
「婚活で言うならば、Love letter of Intentってところね」
おお、なんだか、素敵ね、それ。
「まずはそれぞれ目を通してください。受講生によって、3人から5人ほどのLOIが入っているはずです」
受講者はそれぞれの封筒の中身を眺めた。
私には……3人の候補が並んでいる。
どの人も素敵な見た目。なかなかの職歴。
「さてみなさん、M&Aも婚活も、この後の進め方はオークションか相対かいずれかの方法で進めることになります」
オークション?相対?
意味が分からず受講者がざわめき始めた。
「オークションは、候補者の誰が一番自分に有意な条件を提示できるか、複数の候補者同士を争わせるのです。ですが……」
講師は私たちを指差して断言した。
「あなたがたは恋愛素人です。恋愛不器用なはずです。オークションなどしたら対処しきれないと思われますので、相対、つまり1対1での交渉を推奨します」
まあ、確かに、恋愛講座を受けている時点で、私もみんなも恋愛不器用なはず。
相対で1人の男性としっかり向き合う方が合っているわ。
「ですので、まずは次回講義までに、候補全員とデートをして、1人を選んでください。その後はその方と相対で婚活を進めていきます」
そして、講師は私に視線を向けると、余計な一言を付け加えた。
「あ、あなた。経験豊富だったわね?オークションする?」
……ちょっと。私もか弱き生徒の一人よ?そりゃ、人数はちょびっと多いかもしれないけど……
「……私も相対でお願いします」
またも笑いに包まれる。
もう、なんで私だけこんな役回りになっちゃったのかしら……
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