1月31日(木)日記

今日は神社でお参りをさせてもらった。
雨のためか、参拝者の方は少なく
なんだか神社を独り占めしているような気分になった。

他の参拝者の方たちもそういう気分になっていたと思う。僕を含め、空を見上げ何かを想うような仕草がやけに多かった。全員が自分の事を主人公だと思っていたに違いない。

一人の参拝者の方がテンションが上がりすぎてしまい傘を閉じ、天に向かって
「ありがとう」と言った。
それを見た他の参拝者の方が雨が止んだものだと思い傘を閉じてしまっていた。全然降っていたのに。

僕に至ってはテンションが上がりすぎて
「ったく。みぞれじゃねえだけましか」
という台詞を発してしまっていた。
主人公でもなんでもない発言だ。
恥ずかしい。
すると隣にいた40才くらいのおじさんが
「ああ。みぞれはあの日を思いだしちまうわな」
と言ってきた。

何も思い出さない。
おじさんもテンションが上がっているのだろう。
ただ、僕はもう恥ずかしいスイッチが入っているので会話する気はない。
どこかにいってほしい。

おじさんは何か言葉を返してほしそうな雰囲気を出していたが、無視していると
おじさんの方から

「カチッ」という音がした。

おじさんの方を見ると
おじさんの顔がほんのり赤くなっている。
恥ずかしいスイッチが入ったのだろう。

そのままスッとどこかへ行ってしまった。

帰りにおみくじだけさせてもらうと
「バリ吉」
めっちゃ吉！大吉よりいいことあるカモ！？
と書かれていた。

チャラい神社だった。こんなところで主人公気分になっていたなんて本当に恥ずかしい。
おみくじを結ぶところも普通の木じゃなくて
X字に吊られたたくさん穴の空いている皮のベルトのようなものに結ぶシステムだった。見たことない。

逃げるように神社の外へ出ると
さっきのおじさんが立ちこぎで帰っていく後ろ姿が見えた。