4月20日(月)日記

髪が伸びてきてどうしようもないので、
知り合いの美容師の藤沢さんに相談する。

藤沢さんは、オンライン散髪を提案してくれた。

僕とテレビ電話をしながら、
僕自身がハサミを持って
どこをどう切ったらいいか藤沢さんがリアルタイムで教えてくれるというやつだ。

早速オンライン散髪を始める。
まずは髪の毛を濡らす。

濡れた。

藤沢さんが
「じゃあ次はハサミを持って」
と言う。

ハサミを持ち
「持ちました」と言うと

「え、ちょっと待って、そのハサミしかない?
その工作のやつしかない?」
と言ってきた。

僕が
「これしかないです。どう思いますか?」と言うと

「どう思いますかって何?まあそれしか無いのなら仕方ない。技術でカバーする。じゃあ横から切っていこう」
と言ってくれた。

横の髪の毛をつまみ、ハサミをあてがう。

藤沢さんは
「もうちょい下!いきすぎ!戻って!下、あとちょい!いきすぎいきすぎ!それ耳!ちょっと!」
とすごく喋る。

僕が
「わからないです」と言うと

藤沢さんは
「いやちょっともうハサミかして!ハサミ!
ハ、サ、ミ!早く!」
と、パニックになっている。

僕は、えーいいったれ!という気持ちで
藤沢さんの正確な判断を待たず
髪の毛を切った。

切りすぎた。

横の1/3の髪の毛がなくなった。

藤沢さんは
「ああ…あーあ…
あらら。はい。なるほど。
バリカンある?」
と言った。

僕はバリカンを持ってきて、指示を待つ。

藤沢さんは
「おっけい。もう大胆なツーブロックでいきます。」
と言う。

バリカンのスイッチを入れ、髪の毛に近付ける。

藤沢さんは何か喋っているようだが
バリカンの音でよく聞こえない。

僕は、えーいいったれ!という気持ちで
バリカンを髪の毛に当てた。

バリすぎた。

僕の右側の髪の毛はもう何も無くなった。

藤沢さんがパクパク何か喋っている。

バリカンの電源を切ると
藤沢さんの声が聞こえてきた。

「言うこと聞いてほしい。
これ、俺の意味ないから。
ただのよく喋る鏡みたいなだけになってるから」

僕が
「菅田将暉くんみたいにしたいです」
と言うと

「菅田将暉くん右あるから。もう無理です」
と言われた。

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