4月26日(日)日記

壁に小さい穴があるのを見つけた。

ここに住んで3年ほどになるが、こんな穴あっただろうか。

指を突っ込んでみることに。

僕はこういう穴などを見たときは、大体指を突っ込むのである。

小学生の時、大きな木に穴があいていて
中にどんな生物がいるのか分からない状況で
指を突っ込んだことがあった。

それを見た周りの友達たちが
「すごい勇気だ、勇気の塊」
と称賛してくれたことを覚えている。

その時の称賛の喜びが、体に染み付いているのだろう。

まあその時は結局、大毒虫に噛まれて病院に運ばれたのだが。
揚げ物のフライヤーに指を突っ込んだような激しい痛みがあったことを覚えている。

だが、称賛の喜びの方が大きかったのだろう。

今も僕はこうして穴に指を突っ込むのだ。

部屋の穴に指を突っ込む。
人差し指がちょうど入るような大きさ。

ズボボと入っていく。

結構深くまで入る。

すると、隣の部屋から声が聞こえてきた。

「エ、ナニコレ!!ミミズ!フトミミズジャン!チョット!」

隣の部屋は外国人だ。

この穴は隣の部屋の方向にあるので、もしかしたら隣の部屋まで貫通して、僕の指がこんにちはしているのかもしれない。

「フトミミズダ!コワイ!コワイ!」

慌てて指を抜こうとしたが、

抜けない。

関節が引っ掛かってしまった。

隣から声が聞こえる。
「ネモトカラ折ッタラシヌカナ!?
ネモトカラ折ッタラシヌカナ?!」

まずい。根本から折られる。怖すぎる。

「アー!デモサワルノコワイヨ!ドウシヨウ!
シオカケテミヨウ!シオカケタラドッカイクカモ!
ソリャ」

指先に何かかけられている感触が。

「マチガエタ!コレバジルジャン!バジルジャナイ、シオ、シオ!」

再びかけられている感触。
しかし何か液体のような感触。

「チャウネンチャウネン!コレオリーブオイル!シオヤ!」

指先がヌルヌルする。
もしやと思い、指をぐるぐるし引き抜いてみる。

穴から指が抜けた。

「ドッカイッタヨ!ヤッター!」

ホッとした僕は引き抜いた指を、チュポンと舐めてしまった。美味しかった。

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