10月8日(月)日記

下着泥棒との戦いに終止符を打つ時がきた。
一番最初に僕のパンツが盗まれたのは恐らく一週間ほど前のこと。ザリガニ柄のトランクス。最初はどこかに飛ばされてしまったのだろうとも思っていたが、4日ほどで稲妻柄トランクス、おしり模様のボクサーパンツ、透明ブリーフなどが次々無くなっていったので下着泥棒の仕業だと確信した。
3日前、僕はトラップを仕掛けた。
まず、いつも通り他の洗濯物と一緒に明太子トランクスを干す。その明太子トランクスに紐をつけており明太子トランクスが引っ張られると紐に繋がった鈴が鳴るという仕組みだ。鈴の音が鳴った瞬間、窓を開けて思いっきり犯人の顔をビンタするという作戦。
しかしこの日の夜、鈴の音が鳴ることはなかった。犯人が来なかったのだろうかと思ったが、朝になり洗濯物を見てみるとなんと明太子トランクスの横に干してあったさやえんどうブリーフが盗まれているではないか。犯人は紐の存在に気づいたのか、それともさやえんどうの魅力か。如何せん手強い相手だと思った。
そして昨日の晩、僕は新しいトラップを仕掛けておいた。まずいつも通りシャツ柄のボクサーパンツを干しておく。今回は他のパンツは干さない。このシャツ柄のボクサーパンツ一点に絞らせる。そしてこのシャツ柄のボクサーパンツを挟む洗濯バサミを信じられないほど強力なものに替えた。もう一生とれることはないだろう。指を挟めば指がちぎれてしまう強さ。パンツを盗もうとした犯人は思わず「はぁ?」と言ってしまうはずだ。「はぁ?」と聞こえた瞬間窓を開けて鼻をなぐるんだ。
そして今日、その時がきた。窓の横で聞き耳をたてスタンバイしていた僕。3時間ほど経ったあたりだろうか。窓の外から「はぁ?」という声が。
すかさず、窓を開ける。
視界に入る人間。
パンツを手にかけ驚いている様子。
鼻を探す。鼻が見つかる。
思いきりなぐる。
しかし僕の拳は網戸に突き刺さる。
網戸を開けるのを忘れていた。
破ける網戸。
網戸を貫くことはできたが、すでに拳の勢いはない。
犯人の鼻先に拳がちょんと触れるのみ。
驚いた犯人は僕を殴り返してきた。
犯人の拳が網戸に突き刺さる。
僕もさすがに10年目の芸人、ここですかさず
「網戸デスマッチ?!」とツッコミをいれる。
犯人の拳は網戸を貫いたがやはり勢いは無く
僕の鼻先にちょんと触れるだけだった。
僕は「パンダの挨拶か!」と激しくツッコんだが
何がパンダの挨拶なのか自分でも分からない。
犯人が逃げようとしたので、僕は
「もうパンツとらんといてくれ!」と言うと、
犯人は「大丈夫!俺明日から入院するねん!頭おかしいから!」と逃げながら言ってた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?