3月29日(金)日記

ついにやってきた昔のバイト先の先輩とのオムライス対決。

ルールは簡単。
相手よりも美味しいオムライスを作った方の勝ちだ。

審査員は
昔のバイト先の後輩
昔のバイト先の先輩の女友達
ヒガシ逢ウサカ高見
の3人だ。

そもそもなぜ昔のバイト先の先輩とオムライス対決をすることになったのか。
それは遡ること2年前の話。
僕がバイト中に「先輩、レジ閉め遅いですね」と言うと
先輩は「はあ、別に遅くないやろ。オムライス対決や」と言ったのだ。

男と男の闘いの火蓋が切って落とされた。
まずは、お互いケチャップチキンライスを作る。
だが、場所が先輩の家ということもあってかイマイチ調子が上がらない。

ここで僕が痛恨のミス。
鶏肉を床に落としてしまう。

ペターン!!という音がキッチンに響く。

リビングで待っている審査員の後輩が
「なんかモチついてます!?」
と言ってきた。
高見も慌てて
「オムライスにモチいらないですよ!」と追撃。

鶏肉を落としてしまったことはバレてない様子。
洗えば大丈夫だ。

先輩は調子良く作っている様子。
鼻歌まじりでご飯を炒めている。
その鼻歌が隠し味ってか。
ぶったおしてやるよ。

ケチャップチキンライスはお互い完成。
こっそり先輩のを味見したが

本当に美味しい…
高級ホテルのレストランのような仕上がり。

これは卵で差をつけるしかなさそうだ。

ふわふわトロトロの卵をのせるんだ。
フライパンに火をかけるが、ここで恐ろしいことが起こる。
コンロの火が強すぎる。
弱火にしてもフライパン全体を覆うほどの火力。

先輩の方を見たが、先輩のコンロは普通の火力。
すると先輩が
「おつかれ」と言いニヤリと笑った。

はめられた。
僕の方のコンロにだけ何か細工をしたのだろう。
僕のフライパンは温度が上がりすぎてもう赤く光ってしまっている。
この火力でふわトロ卵を作るのは至難の技。

だが、やるしかない。

一瞬だけ卵を入れ、即座にチキンライスの上に乗せる。
チャンスは1回。
失敗は許されない。
フライパンも少し溶け始めている。時間もない。

卵を入れる。
ルピィー!という聞いたことない音がでた。
一瞬でチキンライスの上に乗せるためフライパンをひっくり返す。

いい感じだ。
ふわトロとまではいかないがそこそこふわりくらい。

どうだといった感じで先輩の方を見ると

先輩のはバッリバリの卵になっていた。

卵苦手だったらしい。

ここまでチキンライスと卵の感じを考えると恐らく五分五分。

これはもう最後ケチャップで何と書くかが勝負になるだろう。

先輩は「メリークリスマス」と書いた。
やはりお笑いに関しては素人。
これは勝てそうだ。

しかし、思い付かない。
緊張もあってか頭が回らない。

なんとか振り絞って僕が書いたのが

「電圧=電流×抵抗」

だ。
そう、オームの法則だ。
少し難しいが、高見がいるので
「いや、オムライスやなくてオームの法則やないか!」とバッチリツッコんでくれるはずだ。
これで成立するはずだ。

二人のオムライスが完成し
審査員たちの前のテーブルに
同時に置かれる。

頼むぞ、高見。
お前が早めにツッコんでくれないと
変な感じになってしまう。

緊張の瞬間。

二人のオムライスを見た高見がスッと立ち上がる。

そして高見がツッコんだ。

「いや3月末やで!?クリスマスまであとどんだけあると思ってんの?!8ヶ月あんで!?ちがうわ、9ヶ月か!うわー!うまそー!」

結果、オムライス対決は0対3で僕の敗北。
一体どうしたんだ高見。


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