4月2日(火)日記

街を歩いていたら
突然、前方から走ってきた知らない少年にタックルされた。

後ろに尻もちをつく僕。

すると少年は
「隙だらけですよ」と言って
その場から去っていってしまった。

道の真ん中で尻もちをついてしまった僕に対して
周りの通行人たちも
「残念だが隙だらけだったな」とか
「隙がすごかったな」とか言ってくる。

確かに隙だらけだったかもしれないが
悔しかった。

お腹が空いたのでハンバーガー屋さんに入った。

レジの前に行き、注文をする。
てりやきバーガーのセット。
甘辛いソースがうまいんだこりゃ。
「サイドメニューの方こちらからお選びください」と言われたので、
メニュー表の方に目線をやった瞬間

体の右部分に強い衝撃が。
左に倒れこむ僕。
顔を上げると
さきほどのタックル少年だ。

「隙だらけですよ」
彼は再びそう言って去っていった。

店員さんの方を見ると
「サイドメニューだけに集中していて隙だらけでしたね」と言われた。

なんでそんな事を言われなくちゃいけないのか。
僕の心に火がついた。
絶対にもう隙を見せない。
そして少年を叱る。

てりやきバーガーのセットをテイクアウト。
公園に行く。

ベンチに座り、全方向に気を配りながら
ハンバーガーを食べる。

味がほとんど感じられないまま
食べ終わった。

食べ終わった後も、ベンチに座りながら
全方向に気を配る。

さぁ来い少年。

しかし少年は来ない。
やはり隙がある時しかこないのか。

寝たふりをして少しだけ隙を見せたりもしたが
少年は来ない。

1時間ほど経ち
もう帰ろうかと思ったその時

タックル少年が公園に入ってきた。

少年は遠くのベンチに腰かけた。
こちらには気づいていない様子。

少年はベンチで携帯をさわりだした。

これはチャンス。隙だらけだ。
裏から回り込んでタックルをしてやる。

こっそりと移動を開始。
一度公園の外に出て、回り込む。

あと30m。
少年は携帯に夢中。
はっはっは。携帯は楽しいよなあ。

あと10m。
その隙、おれがついてやるぜ。

あと5m。
息を殺しながら近づく。
もうすぐだ。

しかしその瞬間

後ろから強い衝撃が。
前に倒れこむ僕。

後ろを振り返ると

「隙だらけですよ」
タックル少年だ。

どういうことだ。
じゃああのベンチに座っている少年は誰だ。

ベンチの少年が振り返りこちらに語りかけてきた。

「ちっす、そいつの双子の兄です。
ごめんなさいね、そりゃ隙も生まれますわな」

双子たちはそのまま去っていった。

僕がお前たちに何をしたというのだ。

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