3月7日(木)日記

お昼ごはんを食べに定食屋さんへ。
おばさんとおじさんが二人で切り盛りしている。
僕が入った時は他のお客さんが4人ほど。
お昼時ということもあってかそこそこ忙しそうだった。

唐揚げ定食を注文。650円と親しみやすい値段。

するとおばさんが厨房のおじさんに
「オーダー!カラテイ!ワン!」
と言った。

おじさんはそれに対し
「ちゃんと言え!」と言った。

おばさんは
「っえ、唐揚げ定食ひとつ!」と言った。
おじさんは
「あいよ」と言った。

僕と他のお客さんは全員びっくりしていた。

おばさんが怒られた。

おじさんに。

おばさんは、お昼のピークをまわしている最中で少しハイになってしまったんだろう。
でも、ちょっと調子をこいた感じの伝え方をしてしまっただけでそんなに怒るなんて、
おじさんが悪い。

おばさんは気恥ずかしそうに
拭かなくてもいいような皿を拭いている。

店内に流れる気まずい空気。

おじさんが調理する音のみが店内に響いている。

早く食って早く帰りたい。

しばらく待っていると
静寂に包まれた店内を切り裂くように
「うい、コロテイあがったよ!」という声が厨房から聞こえた。
おじさんだ。

おじさん、店内のあまりの気まずさを感じ取ったのだろう。
おばさんに対する詫びを込めた
「コロテイ」だ。もちろんコロッケ定食だ。
こんなに気まずくなってしまった空気は
素直に怒ってごめんと言ってもよくならない。
おじさんもしっかりわかっている。

コロッケ定食を頼んだであろうお客さんも
なんかドヤ顔をしている。
お前の手柄は何もない。

おばさんはとっても嬉しそうに
「あいよコロテイ!」
とお客さんのテーブルに置いた。

お客さんも
「お!コロテイいただきまーす!」
と言った。
それはさすがに言いすぎだとも思ったが

店内の空気はとても良くなったので嬉しかった。

数分後に僕のカラテイがきた。
信じられないほど長い髪の毛がはいっていたけど
そんなことを言える雰囲気ではなかった。





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