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あのラッパー達はいま…2010's編

Hip Hopはいまやメインストリームで最もシェアを誇るジャンルとなり、ストリーミングやサブスクが主流となったいまでも世代を超え、多くのリスナーたちを魅了し続けます。

一方で、ここ20年のインターネットの普及で流行り廃りはより一層激しくなり、最近まで第一線で活躍していたラッパー達がある日突然姿を消すのも珍しくありません。今回は2010年代で大活躍して以降、あまり見なくなったラッパー達を3名それぞれ一分以内で読める様に紹介し、その後について記述していきます。

・Hopsin (ホプシン)
・Fetty Wap(フェティ・ワップ)
・DaBaby (ダ・ベイビー)

Hopsin(ホプシン)


白いコンタクトレンズと切れ味鋭いライムが特徴的なカリフォルニア州、ロサンゼルス市出身のラッパー・Hopsin。2010年リリースのセカンドアルバム・「RAW」収録の「Sag My Pants」は、Lil WayneSouljah Boy, Lupe Fiasco等をディスすることで話題となり、YouTubeで大ヒットとなりました。2012年にはDanny BrownFrench MontanaMachine Gun Kelly等とXXL誌のFreshman Listに選出され、同年のBET CypherではMac MillerScHoolboy Qと共演しフリースタイルを披露しました。

(https://rapzilla.com/2012-12-hopsin-announces-new-found-faith-in-god-a-lecrae-collab/)

2014年にリリースされた4thアルバム、「Pound Syndrome」もリリース後Billboard 200でTop20入りを果たし、所属レーベルFunkVolumeから独立後にUndercover Prodigyという自主レーベルを設立し、大手300 Entertainmentと共同で2017年には5作目の「No Shame」をリリースし、これが話題を呼びました。(後述)また、彼の代表シリーズ曲である「Ill Mind of Hopsin」は第9弾(同じく2017年)まで、リリースされる度に話題になりました。

【その後】
Tyler, The Creator等様々なラッパーとの確執や2012年のフロリダでのClub 57 Westでの逮捕など、問題行動も目立ってたHopsinですが、彼のキャリアの低迷につながったのが、2017年にシングルリリースされた「Happy Ending」という曲でした。アジア人女性から風俗で性的マッサージを受けるという内容をラップする歌詞に加え、ミュージックビデオでの女性蔑視的かつ人種差別的な描写で大炎上し、YouTubeから動画が削除され、政治家からも批判をされるなど総スカンを喰らいました。その後もほそぼそと活動しているものの、アルバムリリースは2017年の「No Shame」以降、2024年11月現在も止まったままです。

Fetty Wap(フェティ・ワップ)

ニュージャージー州パターソン市出身ラッパー・Fetty Wapは、来月でリリース十周年を迎える2014年のデビューシングル、「Trap Queen」が第58回グラミー賞2部門にノミネートされる社会現象レベルの大ヒットとなり、翌年リリースされた同曲収録のアーティスト名同名アルバムはアメリカ以外でもベルギー、デンマークやイギリスでもTop 10入りを果たし、2016年3月にはRIAAよりプラチナ認定されます。

Fetty Wap(https://www.bookingentertainment.com/artists/hiphop/FettyWap.php)


その後はNicki MinajやR&Bグループ・Fifth Harmonyとの客演や、Drakeが彼の曲をリミックスしたり、BMWやNissanも協賛したスマホのレースゲームとのタイアップ企画にも選出されたり、デビュー後から約3年間、ラップ界の頂点に立つヒットメーカーとなりました。

【その後】
出費や金銭の貸し借りや、地元での個人間の確執、マーケティングの戦略ミスなど不手際、不祥事が重なり、2017年以降はFettyの名前をチャートで目にすることはほとんどなくなりました。2021年10月になると、彼はおよそ100キロの薬物所持の共謀と流通でほか5名とともに起訴され、保釈後の2022年8月20日には脅迫により再び刑務所に戻され、同年10月、Fetty Wapには懲役6年の刑が課せられてしまいます。

DaBaby(ダ・ベイビー)


ノースカロライナ州シャーロット市出身のDaBabyは、2014年デビューEPの「Nonfiction」を皮切りに、改名するまではBaby Jesus名義で、シリーズ化したものも含め、13枚のミックステープをリリースし精力的な活動をしてきます。その活動がSouth Coast Music Group(SCMG)のCEO兼プロモーターで同郷のArnold Taylorに目をつけられ、SCMGとの契約締結後TaylorはDaBabyを積極的にPRしていきます。活動は早い段階から功を奏し、2018年には短期契約ではあるもののJay-ZのRoc-Nationから「BlankBlank」をリリースし、それをきっかけにDaBabyは引く手数多になります。

DaBaby(https://pitchfork.com/reviews/albums/dababy-baby-on-baby/)


レーベル同士の激しい競り合いの末、DaBabyは業界最大手のInterscope Recordsと契約し、本人自身も同レーベル傘下で「Billion Dollar Baby」というレーベルの設立。デビューアルバムの「Baby On Baby」は売上、評価ともに好調で、半年後にリリースしたセカンドアルバム「Kirk」も様々な豪華ゲストを招き大ヒット作になります。デビュー・アルバム収録シングルの「Suge」は第62回グラミー賞2部門でノミネートされ、2019年にはMegan Thee Stallion、YG、Lil Nas Xなど当時勢いのあるアーティストとのコラボで更に知名度を上げ、2020年に客演したDua Lipaの「Levitating」は記録的大ヒットとなり、活動の枠はHip Hopを超えていきます。

【その後】
上記以外にも2018−2020年にかけて、短文では上げきれないほどの活躍をしてきたDaBabyですが、2021年6月25日のRolling Loudというコンサート、筆者も訳するのを躊躇してしまうレベルの同性愛者差別、女性蔑視的な発言をする事によって、大炎上します。DaBabyのその後の開き直った言動は事態をさらに悪化させ、iHeartRadioやAustin City Limits等、出演が決まっていた音楽フェスが次々と彼を除外し、共演したDua Lipaも彼から距離を置く様表明し、以降各ラジオ局は「Levitating」のDua Lipa単独バージョンを流す様になり、BillBoardも複数のチャートから彼の名前をクレジットから取り除いています。

2024年には5枚目のアルバム「How TF Is This A Mixtape?」をリリースしますが、特に大きな話題にはなりませんでした。

【オマケ】
「忙しい人のHipHop史」同様、「1分以内に読めること」、まず「興味を持っていただくこと」を趣旨に3名のラッパー達について簡易的に記述させていただきました。

上の情報を更に深堀りしたいという方は、Rap EJさんが投稿してるドキュメンタリー動画がおすすめですので、是非ご視聴ください。

「世界一のラッパーが売人に逆戻り【Fetty Wapの不可解な転落】(Rap EJ、2023年3月3日投稿)


「DaBabyはなぜラップ界1の嫌われ者になったのか?」(Rap EJ、2022年12月11日投稿)

Hopsin Discography:

No Happy Ending to Racist Song


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