忙しい人のためのHip Hop史① 『起源』
1970年代前半のニューヨーク。当時はヒューズ・コーポレーションやグロリア・ゲイナー、エディ・ケンドリックス等のアーティストたちが第一線で活躍しており、ソウルからディスコへのブームの転換期でもありました。
経済の低迷や産業の衰退の影響で、廃れかけていたニューヨーク市内の住人たちがナイトクラブに集まっては、DJやライブバンドのリズムに合わせダンスフロアで日頃の鬱憤を晴らすのも珍しくない光景だったことでしょう。
一方で、当時犯罪渦巻いていたニューヨーク市内の中でも特に治安が悪く、廃墟・廃ビルが乱立し、ドラッグが蔓延していたサウス・ブロンクス地区の貧困街に暮らす若者たちは、当然クラブで踊りに行くお金などなく、次第に公園に集まり、独自のブロックパーティを開く様になります。
若者たちはレコード・プレーヤー(ターンテーブル)を家から運び出し、DJがかける音楽に合わせてダンサー達が踊りを披露し、グラフィティー・アーティストはスプレー缶を片手に建物や列車等に絵を書き、MC達が場を盛り上げる為のスピーチを披露し、このリズムに乗せて押韻する独自の手法は後に「ラップ」と呼ばれていく様になります。
これが後にブロンクスから全米そして、世界へと飛びだし、世代を超えて一斉を風靡する一大ムーヴメント、「Hip Hop」の原点となるのです。
黎明期における文化の重要参考人達については、後日記事にしていく予定です。