【ワールドトリガー 考察】三門市のモデル地域について
ワールドトリガー(以下ワートリ)の主要舞台である三門市のモデル考察はこれまでにも様々な角度から行われてきて、神奈川説、多摩川周辺説、静岡説、岡山説などを中心に複数の説があるようですね。
考察好きの自分も、三門市のモデルについて数年前にちょっと気になる発見をしてからじっくり温めてきた説がありまして、この際思いきってまとめてみることにしました。
知らないだけで既に有力説が出ていたり考察が的外れだったりしたら恐縮ですが、少しでも「なるほど!」と思ってもらえたら幸いです。
※単行本とBBFのネタバレを含みます。
【序章:ワートリは3を意識した要素が多い?】
まず三門市の話に入る前に、ワートリで意識されている3という要素について触れておきたいと思います。
同様に感じている方は既にたくさんいると思いますが、ワートリでは何かと3にまつわる要素が出てきます。まず思いつくのは三門市、そして主人公の三雲をはじめ名前に三がつくキャラが比較的多い、とかでしょうか。トリオンも英語版だとTrionと表記されるようで、3つ組を意味するTrioから来ている造語なら、3を意識した要素としてカウントできそうです。
その他に3を意識していると感じる箇所を、5巻までに出てくるシーンなどから探してみました。
ざっと挙げるとこのくらいでしょうか。その他のところから挙げると、BBFのQ&Aが全部で303問、玉狛支部のエンブレムの上3つの丸が意味する3つの同盟国などのように、数字の3を意識していそうな点は探せばいくつも出てきます。
なお、ワートリのプロトタイプとして描かれた読切『実力派エリート迅』の時点で、門や界境防衛機関『ボーダー』、近界などの設定は既にありましたが、舞台の地名はありませんでした。なので、ワートリで舞台となる街の地名が三門になる過程では"門"の発想が先にあり、後から何かを参考に"三"を加えて三門が考えられたと見ています。
どうして3という要素に拘ろうとしたのかはわかりません。3が物理的にも心理的にも安定感・安心感を与える数字だからかもしれませんし、集団戦を描く際に戦術や関係性、展開を考えるにあたって、三つ巴などを意識するところとかがきっかけかもしれませんね。
そんなわけで、ワートリでは3という要素が意識的に多用されている可能性が高く、それは三門市という舞台を考える上でも例外ではないかもしれません。三門市もそれこそ3つくらいの地域を主なモデルとして、それぞれの特徴を混ぜて考えられた架空の市であり、特徴が完全一致する地域は実在しないのではと個人的には想定しています。様々な地域の要素を取り入れつつも、主に参考にした地域として3つ挙げるとしたら、葦原先生の出身である東京都(アニメワートリでは調布市の多摩川沿いを一部参考に作画している)、先生が育ったという岡山県(三門(読みも「みかど」)とつく地名がある。→岡山県北区三門東町)、そしてもう1つ、といったところでしょうか。
そのもう1つが今回の考察で挙げる地域であり、三門市の設定のベースになったのではないかと考えます。
※なお、今回の考察はあくまでも原作準拠です。三門市の設定は連載開始時点で既に大部分が固まっていると思われ、アニメで多摩川周辺を参考にされたのも、例えば、三門市を描写する際スタッフに特徴をわかりやすく掴んでもらうためとか、原作の時点で既に参考にしていた部分があった、などの可能性が考えられるからです。
【三門市のベースモデルとなった地域は?】
ざっくり結論から言います。
静岡県の富士市・富士宮市(の一部)です。
どちらか1つに絞るとしたら富士市かなと思いますが、両方の特徴を含んでいそうなので、2つの市をあげました。
順に根拠を説明します。
【根拠①:トリプルジャンクション(三重会合点)】¹⁻²⁾
1つ目は地形的な特徴です。まずは三門市に関する質問コーナーとBBFのQ&Aを見てみます。
世界各地で門が開いているのに、大きい門が開いたのは三門市だけで、世界では門が開くのは三門市だけという認識。大きい門が開いた第一次大規模侵攻よりも前からボーダーの人間が三門市で活動していたのに、世界には似た組織が存在しない。ならどうして、世界の中で日本の、それも人口28万人規模の都心部ではない三門市が、大きい門が開く場所となったのか?ボーダーが活躍する場所として選ばれたのか?と考えた時に、日本が持つ世界的にも類を見ない地理的な特徴にヒントがあるかもと思い当たりました。そこでパッと浮かんだのが「地震」です。日本は4つのプレートからなる世界的に見ても特徴的な地形で地震が多く、確かトリプルジャンクションがあったはず……と思い、調べました。
ここからはプレートテクトニクスの学問的な話に触れますが、難しい話をわかりやすくまとめる自信はないので最低限の内容に留めます。
地球の表面は7割が海、3割が陸で占められていて、11枚ほどのプレートという岩石からなる厚い板によって分割され、この板がプレートと呼ばれています。日本列島は上でも触れたように4枚のプレートが関わっていて、列島をつくるユーラシアプレートと北米プレート、太平洋にある太平洋プレートとフィリピン海プレートがあります。
そして、3枚のプレートの境界が交わる点を「三重会合点」と呼びます。英語でTriple Junctionです。3つのプレート境界が交わるトリプルジャンクション……なかなかに三門っぽい響きですね!日本列島は最も多くのプレートが接する地域で、三重会合点は2ヵ所あります。1つは、房総半島沖で太平洋プレート、北米プレート、フィリピン海プレートが交わる房総三重会合点、もう1つが北米プレート、ユーラシアプレート(アムールプレート)、フィリピン海プレートが交わる三重会合点で、この場所が富士山の地下にあたると言われています。この三重会合点は富士山の噴出物に覆われていて観察できず、厳密な位置特定はされていないようです。そのせいか、様々な書籍や図で若干プレートの位置にばらつきがあるように見えます。
日本付近のプレートの模式図はこちらの気象庁の地震発生のしくみを説明しているページなどでも見れますし、「日本列島 プレート」とかで検索すれば出てきます。
さて、この2つの三重会合点はどちらも、3つのプレート境界が互いに接近し合って交差してできる海溝-海溝-海溝三重会合点(別の言い方だと収束三重会合点)です。関連文献を全て洗い出せたわけではないのですが、幾つかの文献を読んだ感じだと、このタイプの三重会合点は地球上でも日本の2か所だけのようです。なので富士山のあたりは、地球上唯一の陸上にある海溝-海溝-海溝三重会合点となります。そんな富士山の南西側を含む地域が富士市、富士宮市にあたります。
ちなみに海溝は英語でtrenchなので、英語文献ではTTT triple junctionのように書かれています。3を意味する接頭語triの頭文字Tが3つ並んでて、更に大文字でTTTと書かれているとこれも三つの門、三門っぽく見えてワクワクしませんか?
ともあれ、この三重会合点という、世界規模で見ても日本が目立つような地理的特徴で、「三つのプレートが交わってできる境界→玄界と近界の境界を繋ぐ門が開く三門」のように連想しやすい三重会合点は、三門市の設定を考える際に参考にされていてもおかしくないのではと考えました。根拠①によって、「トリオン器官はどの人間も持っていて、世界中で人知れず門が開いて人攫いが起きていたにもかかわらず、異世界へ繋がる門が開く主な場所として、また異世界からの侵攻に対抗する人々が活動する主な拠点として三門市が舞台になった理由とこの設定の根拠」を科学的に説明することが可能になります。実際に三門市でも地震が起きやすいのか?というのは重要なポイントではなく、あくまでも地震が起きやすい日本特有の地理的な特徴を三門市の設定を考える上での発想・参考元にしたのではないか、という考察です。
本当は各プレートの動きや富士山の地理的特徴とかも説明した方が多少なりとも説得力が増しそうな気はするのですが、専門的な話になりすぎる上に三門市の話からは逸れてしまうので割愛します。
【根拠②:三門(さんもん)】³⁻⁸⁾
次の根拠は、三門(さんもん)です。 山梨県の南部には、身延山久遠寺があります。三門はこの久遠寺の正門とされており、1642年に最初に建てられたもので、長年の火災被害により3度の再建を経ています。
仏教では「空」「無相」「無願」の三つの境地から解脱して覚り(涅槃)に至るという教えがあります。久遠寺は本堂を涅槃の世界と位置付けているため、本堂の正面に立つこの門は三解脱を経て涅槃に至る意味合いから「三門」と呼ばれます。なおこの門は、京都の南禅寺、東福寺と並んで「日本三大三門」の一つに数えられています。
京都府はイコさんの出身地であることに加えて方言や地理的特徴からも三門市のある地域とは考えにくいので、三大三門のうち最も参考にした可能性が高いのは身延山久遠寺ではないかと思われます。
ちなみに、三解脱の話を見た時に「空閑の“空”はこの「空」から来たんじゃないか?」と一瞬思ったのですが、そもそも空閑は三雲、雨取と合わせて「空・雲・雨」で揃えられているので由来は天候の方でしたね。それにしても、空閑と三雲2人の苗字の中に「三門」があるの、とても粋ですよね!(閑=門+木)
話を戻します。同じ「さんもん」と読む山門は、お寺の門のことを指します。お寺──寺院の門は俗世間と仏道世界の大きな境界です。元々寺院が山深い場所に建てられていたためにつけられ、後に平地に建てられた寺院でもそのまま山門と呼ぶようになったとか。山門と三門はどちらも寺院の正門を表わしますが、前者が門のある場所を表すのに対し、後者は仏教の教えを象徴する名前のようです。
三門市の三門とは読みこそ違いますが、漢字で三門と入れて検索すると、こちらの意味を含めた寺院関連が中心にヒットします。『世俗の世界と仏道世界の境界である三門(さんもん)』と、『玄界と近界を繋ぐ門が開く≒二つの世界の境界に位置する三門(みかど)』。三門市の設定を考える上で、こちらも意識されている可能性があってもおかしくないと思いました。
【根拠①と②の繋がり】
地名だけでピンときた方もいると思いますが、根拠①と②に関わる地域である、富士市、富士宮市、そして身延山久遠寺がある山梨県南巨摩郡身延町。この3つの地域は、順に並び合うように隣接しています(図1)。
また、3つの地域を南北の方向に流れる富士川は、先ほど根拠①のところで述べたプレート境界(南海トラフ)に直接繋がっている「日本三大急流」のうちの1つです。そして富士川にほぼ沿う形でJR身延線が走っており、JR身延線の南端は富士駅です。
こんな感じで、根拠①と②を同時に考えるきっかけにもなりそうな程度には、3つの地域は地理的に繋がりがあるのです。
【その他の根拠】⁹⁻²²⁾
では、これまでに挙げた根拠以外にも、富士市・富士宮市説を裏付けるような三門市の他の特徴をいくつか見ていきたいと思います。
①三門市の人口
三門市の人口は28万人ですね。
富士市の人口は現在こそ約24万人になっていますが、ワートリの設定が考えられていたであろう頃(2010〜2012年)は26万人ほどでした。同時期の富士宮市の人口は約13万人です。富士市単独でも三門市人口に近いですが、富士宮市も少なくとも一部は含んでいると考えているというのが私の見立てで、富士市と富士宮市の一部と考えれば三門市の人口28万人設定と大きく矛盾することは無さそうです。
②ランク戦で使われるステージ
23巻の質問コーナー⑱にて、ランク戦のステージは実際の建物や街をスキャンして仮想空間で再現していることが明らかにされました。
明確な言及とまではいかなくても、質問文の「三門市にある区画の配線1本まで再現しているのですか?」の部分を否定するような回答でもなかったので、各ステージは三門市の一部と考えて問題ないかと思います。
さて、ランク戦のROUND5のステージは工業地帯でしたね。この工業地帯は奥に海が見えるので、湾岸沿いにある工業地帯だとわかります。
富士市は全国有数の「紙のまち」で、製紙工場がたくさんあります。また、田子の浦港もあるので海沿いには幅広い業種の工場が立地しています。湾岸工業地帯がある三門市の特徴と一致しますね。
また、ランク戦ROUND4で雪マップだった時に犬飼が雪を初めて見たかのようにはしゃいでいましたが、富士エリアの市街地、特に富士市は、富士山があることにより降雪が滅多になく、温暖な気候だそうです。
③みかどみかん
みかどみかんについては、BBFのQ&A 259で下記のように言及されています。
静岡県のみかん生産量は全国3位。そして富士市では愛鷹山や岩本山、富士川沿いなどの富士山の麓の自然豊かな地域で温州みかんが盛んに栽培されており、市内で栽培された「青島温州」のうち、高糖度で外見が美しいミカンだけをえりすぐったこだわりのプレミアムみかん「富士みかん」が富士ブランドとして認定されているようです。みかんは糖度12以上だと甘くて美味しい高級品らしく、「富士みかん」も糖度12度以上のトップレベルのミカンだけを集めているとのこと。
みかどみかんのの設定は全てクリアですね。
④二度の大規模侵攻
三門市では二度の大規模侵攻が起こりました。物語開始頃から約4年半前に起きた第一次大規模侵攻と、物語開始頃から約1ヵ月半後にアフトクラトルが侵攻してきた第二次大規模侵攻。三門市のモデルに限らず、私はこの大規模侵攻の発想も地震関係ではないかと考えました。そこで、この考えを後押しする情報がないか探してみたところ、BBFに掲載されていた読切『実力派エリート迅』と読切に続くSPインタビューにありました。
インタビューで葦原先生は「『実力派エリート迅』を描いていた頃のエピソードや、この作品に対する思いを教えてください」という質問に対し下記のように答えられていました。
2010年5月に『賢い犬リリエンタール』が最終回を迎え、『実力派エリート迅』は週刊少年ジャンプの2011年44号(10月)に掲載され、『ワールドトリガー』は2013年11号(2月)から連載が開始しました。ここから、ワートリの設定が考えられていた期間は大体2010年6月〜2012年頃と予測できます。なので、この頃にリアルで起きていた出来事が設定の発想に繋がっている可能性が高く、そして実際『実力派エリート迅』では影響を受けていたことがインタビューからわかりました。であれば、ワートリの設定も3.11の東日本大震災の影響を受けている可能性は十分あるでしょう。根拠①で述べた内容に辿り着くには、「三門」というキーワードから攻める以外に「地震」というキーワードも思い浮かぶ必要があるかなと思っていたので、この点クリアしていそうで一安心です。
また、『実力派エリート迅』ではゲートが出現したエリアの名前が2ヵ所出てきます。そのエリア名が「エリア西4-9」と「エリア東3-11」です。恐らく、後者は3.11の東日本大震災から来ているでしょう。なら前者は何から来てるのかなと思って、2010〜2012年を中心に4月9日に起きた出来事を検索するなどして色々調べてみたのですが、力及ばず特定できませんでした。せいぜい思い浮かんだのは、実力派エリート迅のページ数が49という点くらいでした……。ともかく、この描写から『設定の参考にした情報が数字の設定として表れる可能性がある』ということはわかりました。
では大規模侵攻の話に戻ります。大規模侵攻では、でかい門が開いたことで近界民が侵攻してきました。三門市の設定と同じく大規模侵攻も地震から着想を得たのだとしたら、着目したのは大規模な地震でしょう。世界中で門は開いているけど、三門市でどでかい門が開いた→世界中で地震は起きているけど、(ちょうどワートリの設定を考えている頃に)どでかい地震が日本で起きた、みたいな。インタビューで語られていたこともあり、東日本大震災は大規模侵攻の発想にも絡んでいるとみます。
そして、第一次大規模侵攻が4年半前に起きたという情報が最初に出てくるのは3話です。少し前でも触れたように、3話時点から第二次大規模侵攻の日までは1ヵ月半くらいしか経っていないので、第一次大規模侵攻は第二次大規模侵攻の約4年半前でもあると考えて問題ないと判断します。この考察の序章で5巻までに出てくる3絡みの要素を列挙しましたが、その際に「3日」「3週間」「3年」が出てくる中で「4年半」という期間が妙に中途半端に見えました。「これだけ序盤で3という数字を意識させてくるような描かれ方をしているのに、第一次大規模侵攻は3年前じゃなく、4年前でもなく、4年半前なのか。何でだろう?」と引っかかってしまって。もし東日本大震災が第一次大規模侵攻の方の発想に繋がったのだとしたら、この4年半という期間もそのあたりにヒントがあるのでは?と思い、調べてみました。
→ありました。静岡東部地震です。
静岡東部を震源地とした静岡東部地震は、東日本大震災が発生した4日後の3月15日に発生しました。その震源地は下図の❌のあたりです。(やや見づらい上に手描きだけでは信憑性が……という方はこちらの地震本部のサイトの図がわかりやすいです)
富士宮市と富士市の境界に近い、富士山の麓あたりですね。三重会合点のあたりと言ってもいいでしょう。葦原先生が当時3.11の情報を連日テレビ等で見かけていたのであれば、静岡東部地震の情報も目にしていた可能性は高いです。実際、こちらの日本経済新聞のニュースのように、東日本大震災と静岡東部地震の影響で富士山マグマに圧力がかかるなど、2つの地震と富士山へ言及した情報も流れていました。(私自身当時の細かい状況についてはうろ覚えですが、確かにニュース等で話題になっていたような気はします。) なので、2つの地震とその震源地、富士山というキーワードから根拠①で述べた内容に辿り着いても不思議ではないと思いました。
ここで、静岡東部地震と東日本大震災の発生日時を見てみます。2011年3月15日の22時31分に発生した静岡東部地震と2011年3月11日14時46分に発生した東日本大震災には4日と9時間45分の開き、つまり「約4日半」の開きがありますね。ちょっと誤差大きいですか?城戸司令も68時間と聞いて「あと三日か……」って言ってましたし、まぁこのくらいの誤差は許容範囲でしょう。
これらの情報から、三重会合点付近であり三門市のモデルの可能性があるエリアで発生した静岡東部地震の約4日半前に東日本大震災が発生した→第二次大規模侵攻の約4年半前に第一次大規模侵攻が起こった、という発想はあったのではと考えました。
これだけの背景があれば、三門市と二度の大規模侵攻、どちらの設定も地震が発想元であったとしても、おかしくはないでしょう。
以上、その他の根拠でした。
なお、三門市のモデル地域に富士市だけではなく富士宮市も含めたのは、静岡東部地震の震源地、身延町・富士宮市・富士市の並び、人口、(三重会合点辺りに位置する)富士山の8合目以上の山頂部分の土地所有権を持つのが富士宮市にある富士山本宮浅間大社だから、等が理由でした。あとは空閑の住所が「三門市麓台町8-5-1」なのですが、富士宮市にも「麓」という地名の町があります。
【今回の説の矛盾点】²³⁻²⁵⁾
ここまでは割といい感じに見える根拠を展開してきたので、三門市の特徴との主な矛盾点も見ておきましょう。
●富士山がない
富士山がない。
終
制作・著作
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ⓂⓀⒹ
これだけで今までの考察が全て無に帰すほどの威力がw
それは、そうなんですが……。
弁解するとすれば、本当に三門市が富士山のよく見える地域にある想定だったとしても、富士山というわかりやすく場所が特定できる特徴は描写しないだろうということです。なお、富士山がある辺りには1話冒頭でも描かれているように、それなりの高さの山があります。アフトクラトルによる第二次大規模侵攻の際は、ボーダー本部基地から見て北〜北東方向にはボーダーの部隊を向かわせていなかったようですが、この方角は山がある方角=富士市の中心あたりから見た時の富士山がある方角と大体一致します。
●高層ビル・マンションがちょっと足りない
三門市は1話冒頭を見てもわかるように、数十階建ての高層ビルや高さのあるマンションがそれなりの数建っています。一方、富士市・富士宮市は三門市と比べると高さのある建物が少ないです。ランク戦のステージの中には雰囲気が近いエリアもあるのですが……。三門市の正式な広さはわかりませんが、恐らく富士市+富士宮市よりは狭く人口密度は高めだと思われます。街並みの雰囲気はどちらかというと近くの沼津市・三島市の方が近い感じがしますね。2012年頃の人口は沼津市が約20万、三島市が約11万なので、沼津市と三島市を合わせると三門市の規模にかなり近くなります。あとは多摩川沿いの調布市・狛江市・府中市あたりも富士市・富士宮市よりは街並みが三門市に近そうな気がします。
●大型ショッピングモールがない
高層ビル・マンション問題に近いですね。実際はショッピングモールはあるのですが、ランク戦ステージで出てくるような高さではなく、2〜3階建てのモールのみのようです。
●大学がない
富士市も富士宮市も専門学校はあっても大学はありません。三門市立大学のモデルがあるとすれば別の地域にあるということになります。静岡県には公立大学として静岡県立大学ならあるんですが……。三門市立大学と静岡県立大学の規模は近いかもしれません。
他にも制服とか学校名とか見ていると、教育機関関係はあまり富士市・富士宮市の要素は見られないかなと感じます。
●川の方角や規模が不一致
富士市・富士宮市を通る富士川の規模は、三門市内を走る川よりも規模が大きいように見えます。また、方角も富士川が南北に走るのに対し、三門市では東西に走っています。
川に関しては原作でも多摩川周辺の特徴に近く、そちら
を参考にされていたかもですが、もし富士市・富士宮市をベースにした上で川の向きを東西に変えようと思いついたきっかけがあるとすれば、それは新東名高速道路かもしれません。
新東名高速道路は、2012年4月14日に御殿場JCTから三ヶ日JCTまでの間(約162km)で開通しました。静岡のほぼ東端から西端までの区間ですね。開通時期も、ワートリの設定が練られていたであろう時期と一致します。当時静岡まわりの情報を多少なりとも追っていれば目に入る情報でしょう。新東名高速道路は富士市内を東西に貫くように通っていますし、この辺を見て「川の向きは新東名を参考にして東西にしよう」と思った可能性も僅かながらあるかなぁ、と思っています。
こんなところでしょうか。これだけ矛盾点を並べると考察の説得力がベイルアウト寸前になってしまった気はしないでもないですが……一考の価値はあると思いたいです。
【最終結論とあとがき】
以上、ここまでの内容から総合的に考えて、三門市のベースモデルは富士市・富士宮市ではないかという考えの元に、『三門市は場所的には富士市・富士宮市の辺りに存在するイメージで、街並みや細かい設定・特徴は多摩川周辺や岡山といった他の地域からも様々な要素を参考にして取り入れながら考案した架空の街である』という結論でまとめたいと思います。
『実力派エリート迅』の悪役の設定を練る際も、元になる情報から想像を膨らませて考え、そのまま誰かをモデルにしたわけではないとのことでしたし、三門市に関しても似たスタンスだった可能性が高いでしょう。
長くなりました。本当は「俺のサイドエフェクトがそう言ってる」くらい説得力のある内容にしたかったのですが、そこまではちょっと難しかったですね。それでも、温めてきた説を自分なりにまとめられたことはたしかなまんぞくです。
この考察が『三門市は静岡に存在する説』の補強になれば嬉しく思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!