そんなに違わない
セプテンバーが物憂げに響くのは
もう秋のせいだけじゃない。
貧乏を無力と思い知るのは
べつに理想を捨てたからじゃない。
大統領の子孫には
残念ながら罪はない。
こう見えて見た目ほどは
まともな人間じゃない。
*
気ぜわしい師走の風情に
悪い気はしない。
無意味におんなじ事柄を反芻する癖は
決して常人のそれじゃない。
いつまでも太陽を拝んでいられるわけじゃない。
爪や髪はまた伸びてくれるけれど
腕や脚や魂までは
そんなふうにはいかない。
時間はセレブも金持ちも
待ってはくれない。
失われた魂は
もう二度と元には戻らない。
大事なことはそんなに多くはない。
*
二日煙草の頭が痛む、酔いどれ損ねた宿酔未遂、
荒凉とした岩盤にそびえ立つ人造都市、
出過ぎの鼠は銃刀は持たずにただ愛嬌を振りまく。
この歌がいつになく饒舌なのも
ぼくがおしゃべり好きだからじゃない。
自由を感じることには
ルールもブランドも必要ない。
ぼくは詩に形を与えたい。
*
ずっと待っていた列車は来ない。
誰が使い始めた言い回しだか知らないが、
今のところおれの命に別状はない。
おととい立て替えたはずの
《明日》の身代金が今はずいぶんと高い。
死んだ遺物となるよりも
生きて宇宙の涯を見たい。
腕時計の代わりに脈拍の音を聴き、
夏の熱を感じていたい。
ぼくはもう子供じゃない。
*
ぼくはきみと
そんなに違わない。
(2003年7月1日~2011年11月18日)