底の抜けたバケツ
もう誰にも引き返せない高みに昇り
物質が尋常じゃない集積具合で
押し合いへし合いしている都市、
人間はまるで押しつぶされるのを待っている小鼠みたいに
その隙間を流通している、
滑り落ちるのを待っているみたいに!
*
もう誰にも取り返しのつかないことは
もちろんやらないほうがいいに決まっている、
誰にもコントロールなどできない災厄、
何かがあるとすれば
今度こそそれが本当の終末、
バケツの底が抜けてしまったよ。
台風も、竜巻も、大雨も、雷も、
地震も、津波も、噴火も、吹雪も、
誰一人何一つコントロールなどできない、
時間も、自転も、季節も、太陽も、
もちろん底の抜けたバケツも!
*
もう誰にも見向きもされない無人のボックスが
あたかも遺跡のように佇む街角、
石畳の街路がめんどうなほどによく滑る、
いつのまにか半年近くなった雨期、
衣替えのタイミングさえも
なんだかよく分からなくなった!
書き換えも、改竄も、上書きもできない、
素通りも、見ぬ振りも、ひとごとにもできない、
いつだって誰だってどんな問屋も卸せない、
薄氷のうえで今 始まろうとする《祭り》、
拭くことも持つこともできるはずない
結末?
(2013年〜2018年10月22日)