二十一番目の夜
何にも持たないで生まれて
言葉さえ知らずにいたのに
僕らはいまや歌を歌っている、
新しい楽器を持って。
遠くから僕らはやって来て
長い道のりを歩いてきて
ここでようやくこうして出会えたのも
きっと偶然なんかじゃないよ。
傾いた光に溶けこんでしまったように
すべてが報われていく
そんな瞬間を待っている、
未来を繋ぐように。
*
何にも持たないで生まれて
言葉さえ知らずにいたのに
僕らはいまや見えないけれど高い
壁さえも作りあげた。
愛の意味を知ったはずなのに
その裏側には憎悪の壁が、
どちらが裏か表かも見失って
もう罵りあうばかり。
半身にされた魚のように
僕らは片目を喪ったみたいだ。
鏡を覗けばあなたが恐れる
愚かな姿が映りこむ、
それはあなた自身だ。
このままずっと歩いてゆこう、
握った手を二度と離さぬように!
*
傾いた光に溶けこんでしまったように
すべてが報われていく
そんな瞬間を待っている、
全てを繋ぐように。
何にも持たないで生まれて
長い道のりを歩いてきて
僕らはようやくここへ辿り着いた、
二十一番目の夜に。
僕らはもうきっと同じ夢を見て
一緒に歌っているよ。
(2017年8月26日〜2018年2月20日)