2024 天皇賞 春
コース
天皇賞(春)のみが行われるコースで、外回りコースを使用。向正面半ばがスタート地点で、コースを1周半強する。最初のコーナーまでは417m。最後の直線は404m(Aコース時)。3000m同様、内をロスなく立ち回れる馬が有利で、スタミナや折り合いも不可欠。下り坂から仕掛けてゴールまで続く末脚の持続力も求められる。阪神での天皇賞では持続力が求められたが京都に戻る今年は末脚の瞬発力が求められる。
買いたい馬
ドゥレッツァ
金鯱賞は、外差し不利でイン有利のトラックバイアスが、プログノーシスに顕著に向き、ドゥレッツァに顕著に向かなかったし、明らかに斤量も1kg大きく、着差はその分本当の実力差以上に開いた。プログノーシスは中距離路線で国内最強クラスで、これにこの条件差で負けるのは仕方ない。直線序盤での急坂区間での加速力が乏しかったことを考えると、加速が容易な直線平坦コースの方が相性は良いイメージで京都コースはマッチする。L5-3F区間で緩んでからのL2F瞬発力勝負になってしまった点もこの馬にとってはマイナスだった。菊花賞は、3000m世代戦にしては全然遅くない入りで逃げ、終いは荒れた内を通ってL4Fを11.6-11.7-11.4-11.8を上がり最速34.6で抜け出し、1頭抜けた内容の競馬でスピード・瞬発力・持続力・スタミナ全て評価できる。また一度逃げたものの途中でハナを譲って再び差し返す競馬をしていることから、相当な操縦性の高さが伺え、競馬センスの高さを魅せた。こういう馬は滅多に大崩れはしない。日本海Sはスローで2、3着が逃げた2頭のかなり前残り展開を、10番手付近から上がり2位に0.5差の末脚で差し切る桁違いの瞬発力で完勝。新潟2200m勝ちタイム2:12.0未満かつ上がり1位で34.5以内で勝利した馬はその後全てG1で馬券内。この馬も例外なく、菊花賞でG1馬になった。3走前、ホンコンJCTがめちゃくちゃ強く、ラスト3F11.0-11.2-11.2を上がり3F32.7で上がり2位より0.8秒も速い末脚。東京2000m2:00.0未満かつ、減速幅の0.3秒以内、上がり32秒台で1位までソートをかけるとイクイノックス(G1:6賞,重賞7勝)、カンパニー(G1:2勝,重賞9勝),ウオッカ(G1:7勝,重賞8勝)の3頭しかおらず、ドゥレッツァもG1を複数勝てるポテンシャルがある。
今回、京都3200mでどうかだが、基礎スピードが高すぎてスタミナを消費せず追走出来ている可能性があり、瞬発力になる京都コースでは無敵で圧勝を期待したい。
テーオーロイヤル
阪神大賞典は、イン有利のスローの持続力×瞬発力の脚比べでこの馬が得意な展開で完勝。このレースで見せたパフォーマンス内容からタフ馬場は大きなプラス。この馬自身は前脚が高い位置で膝が曲がるようなパワフルな走り方で、パワー質な走りづらい馬場でも大きなストライドを繰り出せており、良馬場以上にタフ馬場で相対的に高いパフォーマンスレベルを発揮できる。同様にダイヤモンドS, ステイヤーズSは道中大きく、ペースが緩んで好走。一方で中緩みのない持続ラップになったアルゼンチン共和国杯で全く伸びなかった点から道中追走力が求められラストにスタミナ質の持続力を求められるレース質は要注意。
つまり、ギアチェンジ性能を持ちつつも、スピードや持続力が抜けているわけではなく、ロンスパ質な持続力に相当するL5Fの時計自体はそこまで速くない。代わりに道中ある程度ゆったり運び脚を溜めることさえできれば、L3F区間で安定した上がりを発動することができるので、中緩みしやすい長距離戦で崩れることはあまりない。中距離だと道中12.0前後の持続ラップを要求され、この馬自身の上がりタイムにも影響してくることからベストは脚が溜められる長距離路線ということになる。今回もラストの瞬発力戦になる想定でもちろんこの馬も候補。一方で菱田JがG1という舞台でこういう騎乗ができるかは不安。なんとなく周りのペースについていって自爆というのが不安要素。
タスティエーラ
前走、大阪杯は前半やや行きたがる面を見せたものの内前をロスなく運ぶ形でL6Fから11秒台に突入するスタミナ質なラップ構成。レースの流れだけ見たらこの馬にベストな形だったが直線早々に伸びが甘くなる始末となり、序盤で行きたがる面を見せたことも合わせて脚がなくなった。レース直前で飼葉食いも悪く、状態が整っていなかった可能性が高い。有馬記念は早めにペースが上がるロンスパ質なラップになりつつ、直線で挟まれる不利はありながら伸び脚はそこまで高くなく、スムーズでも馬券内に来れていたかは疑問。
ゴリゴリのスタミナ比べになるとラストが甘くなりそうで、中緩みしながら3-4Fのロンスパ戦がベストのはず。腐ってもダービー馬で世代の頂点に立った馬。スピードと持続力は一級品のものがあるはずで、ドゥレッツァと共に世代レベルが弱くないことを証明していただきたい。
サリエラ
ダイヤモンドSでは前目の位置取りからスムーズに運びながらラストは鋭く伸びて勝ち馬テーオーロイヤルとは斤量差があったとはいえ、ほとんど差のない2着。白富士Sは直線での進路取りに苦労するも進路が空いてからのL2Fで一気にスピードを上げて強襲をかける形。斤量利も加わっての勝ちきりだが、スムーズならもっと突き抜けていた内容。一方で、目黒記念はドスロー→5Fロンスパ戦で長く良い脚を使うも間に合わず、ローズSでは長く脚を使いつつも前半スローの展開で差し間に合わず。ゴール後先頭なのでやはり長く良い脚は使えており、持続力はかなりのものがある。Cr性能が低く、ギアチェンジ性能も著しく低いので加速に相当な時間を要するため、コーナリングを自分から加速しないと間に合わないようなコース形態は厳しく、京都外回りでコーナー緩く、下り坂で加速できる点はプラス。
サヴォーナ
神戸新聞杯と日経新春杯では、どちらも内目をロスなく立ち回りながら中緩みするようなラップ。京都の2400m〜は道中速くなる可能性が低く、外回りの場合は3角付近の上り坂->下り坂の影響でこの3,4角区間でもペースが上がりにくい。4角->直線がスパイラルカーブになりながらの直線勝負なのでまさにこの馬に合うコース形態。外を回すと無駄に脚を使ってしまうのでベストは内枠。長距離自体はまずまずこなせる範囲ではあるものの、阪神大賞典のような長距離&ロンスパのスタミナ質持続力勝負になるとラストが甘くなってしまうので舞台を選ぶタイプで買い時は今回。
消す人気馬
ブローザホーン
長距離でも変わらず脚を溜められる高いスタミナを持ちつつ、ラスト3,4角からのロンスパ戦で高いパフォーマンスを発揮できる。TS値やギアチェンジが低い分、ドスローからの瞬発力勝負や仕掛け遅れ、11秒台の上がり連発を要求されるコースではスピード負けしてしまう。逆に全馬脚を消耗したバテ合いになるようなラップ構成や平均12.0あたりのラップを連発するような上がりのかかる馬場/レースラップになるとG1級の能力を発揮できる。阪神大賞典では後者のレース質であったが3,4角で馬群に閉じ込められたことにより仕掛けが遅れたうえに最後脚が上がったように見え本質的には中距離の持続力タイプに見える。
印と短評
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