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国民民主男女共同参画政策研修会に参加した感想

はじめに

2022年12月24日国民民主党千葉県連主催。
「男女共同参画に向けた取り組みと課題について」に参加した。
講師は前参議院議員で国民民主の男女共同参画政策およびLGBT担当の矢田わか子氏。

この企画は党員やサポーターでなくても無料で参加できる企画のため、表現の自由を守る活動を共にしている方々にも声をかけ、参加した。

男女共同参画と表現規制

男女共同参画と表現規制は別問題の話ではないか?と感じる人も少なくないのかもしれない。

しかし、「男女共同参画」の名のもとで表現規制につながる動きを見せる自治体もある。
例えば、今パブリックコメントも募集中の埼玉県川口市の男女共同参画計画がそれだ。

この素案には、「固定的性役割の表現」や「不要な性的な表現」を行わせないようメディアに働きかけるとあるが、なにをもって「性的」と感じるかは人それぞれ。
「固定的な性役割の表現」というのも昔話の「おじいさんは山へ芝刈りに。おばぁさんは川へ洗濯へ」という定型文すらアウトになりかねない。
国民的アニメの『サザエさん』『クレヨンしんちゃん』『ドラえもん』は父親はサラリーマンで母親は専業主婦。これは「固定的性役割」を表現してしまっているのではないか。放送を自粛するか設定を変えるように求めるというのだろうか。
メディアに行政が表現を改めるよう呼びかけるのは表現規制である。

また、2022年6月に国連女性機関日本支部が民間広告に対して、抗議がした。その際もともとの抗議の論拠となるはずの、男女共同参画基本計画のアンステレオタイプアライアンスの内容を出せないという回答。

「ミニスカやほほを赤らめる女性イラストは性的搾取」
「ジェンダーバイアスを無意識に刷り込ませない」
等を錦の旗に、SNSでの度重なる炎上や、男女共同参画関係団体からの批判や、自治体から表現規制の圧力を加えられてきた。
その結果「男女共同参画」という単語に嫌悪感を感じたり、また男女共同参画系の福祉団体が補助金を違法に受け取っているのではないかという疑惑も重なり、不信感を感じている人も二次元愛好家も少なくない。

私は国民民主党党員であり、表現の自由を守る活動も行っているため、国民民主の男女共同政策に表現規制に繋がりかねないものはないかという確認も今回の研修会に参加した動機だ。

研修会の目次

今回の研修は4項目
①女性の政治参画(日本の男女共同参画の現状)
②国会の役割と国の予算、税と社会保険料の負担
③女性支援政策(コロナ渦・貧困・孤独等)
④子育て・教育における女性支援政策


結論から言うと、私が懸念していた表現規制を促すようなメディア規制の必要性の話や、昨今話題になっている女性支援団体などによる不正受給問題、「性的搾取」をテーマにした風俗規制などの話は一切なかった。
各セクションについてどういう話だったのかを振り返る。

①女性の政治参画(日本の男女共同参画の現状)

ジェンダーギャップ指数

まず、ジェンダーギャップ指数の日本の順位が経済・政治分野で低いという話。

個人的には、教育部門で1位なのは誇るべきポイントでないかと思いう。
教育部門で1位というのは、日本においては男女の識字率・幼少教育・中等教育に男女間の差がないということだ。
これは素直にうれしい。

女性の政治参加率

政治分野においては
衆院議員の女性比率は9.9%
国民民主内の女性比率は10%
自民党が7.7%
一番比率の高い共産党が20%

参院議員の女性比率は25.8%
国民民主内の女性比率は30%
自民が19.5%
一番女性比率の高いのは立憲民主党で46.2%
逆に一番低いのが14.8%で公明党

選挙に強い自公が女性比率が低く、野党が女性比率が相対的に高い内容だった。
研修会では触れられていないが、日本の投票率に関しては男女間ではそこまで大きな差はなく、男女の数でいえば実は女性のほうが人数は多い。

引用元:選挙ドットコム『国政選挙の投票率を男女別で比較してみよう!選挙の結果を左右する「投票者数」が圧倒的に多いのは?』


引用元:選挙ドットコム『国政選挙の投票率を男女別で比較してみよう!選挙の結果を左右する「投票者数」が圧倒的に多いのは?』

では、女性のほうが人数は多いのになぜ女性議員が増えないのか?

女性が出馬しやすい政党が特定の政党に偏っているからというのもあると思うし、ハラスメントや育児の問題が女性の場合は課題となる。

過去に、女性政治家へのアンケートで、有権者、男性政治家によるセクハラに遭ったことがあるか調査したところ半数以上が「ある」と回答した。

そこで2021年に政治分野における男女共同参画推進法が制定され、ハラスメント防止や研修が開かれるようになった。

国民民主の場合、育児支援や選挙に出馬する際会社を辞めずに立候補できる支援制度を行っており、介護・育児による出馬ハードルを下げる取り組みを実施している。

ハラスメント対策は法制度化したものの、出馬しやすい環境づくりは各政党にゆだねられる。
私は「女性だから」という安易な理由で投票先を選ぶことはないが、逆に言うと女性議員の比率を日本全体で高めたいのであれば、政党や思想が偏ることなく色んなタイプの女性が出馬しやすくなればいいと思う。

国民民主党カフェテリアプラン

国民民主の選挙支援政策は40歳以下の新人および女性候補に対し、育児・介護において最大10万円まで補助を出すというもの。
女性だけでなく若者に対しても政治への門戸を開きやすくする内容になっている。

②国会の役割と国の予算、税と社会保険料の負担

このセクションは「そもそも国会ってなにするところ?」という基本機能や概要のおさらいであり、男女共同参画特有の話ではない。

具体的な国民への支援政策を語る前に、日本の歳入・支出がそれぞれいくらあって、生涯年収から税金をいくらくらいとられているのかを確認することで、税の使われ方や政治参加への意識を高める趣旨があったように感じる。

国会の役割

国会の役割は主にメインは3つ
①予算編成
②法律の制定
③条約の締結

それに加えて、モリカケ・サクラのような怪しい会計がないか、行政に不審な点がないかを確認する「政府の行政監視」

国会の仕事は主に予算・立法・条約締結が本来重要な役割であるにもかかわらず、日本のメディアは「行政監視」に重きをおいて与野党の対立ばかり報道する。その結果、目立ちたい人はその話ばかりするようになってしまうということ、矢田さんは本当の仕事のほうに目を向けてほしいという話をしていた。
私も同感だ。立法や法改正は生活にダイレクトに響くし、国際条約は国内法よりも強制力が上回ることがある。
悪法が立法されてからでは遅いので、メディアは立法や条約こそ最大限に中止してニュースにしてほしい。

生涯賃金と国に支払う税と社会保障費

また、90歳まで生きると仮定し、生涯賃金と生涯支払う税・社会保険料の金額をそれぞれ算出した金額も提示していただいた。

生涯賃金 3億4千万円
生涯支払う税&社会保険料 1億1千万円

日本人の生涯賃金は平均約3億だという話は聞いたことがあった。
しかし、税と社会保険料額がその1/3も持って行ってしまうというのは驚いた。
正社員として働いていると、給料から税金も社会保険料も基本的には天引きされる。
私は新卒で入った会社も転職して入った会社も給与明細はボーナスを除きデジタルでの管理だった。
確定申告をしない人の中には、ログインして詳細を確認することすらしない人もいるのではないだろうか?
書面での給与明細ではない時代、どのくらい税や社会保障費で取られているかの知識に関しても情報格差は広がっているのではないかと思う。

③女性支援政策(コロナ渦・貧困・孤独等)

コロナ渦の妊婦支援

コロナ渦初期のころ、マスクが店頭から無くなった時期もあった。
また、学校の臨時休校など子育て・妊娠をしながら働く女性にとっては、育児と仕事の両立をするのが非常に精神的にも、経済的にも負担の多い時期だったと思う。
そんな女性たちの訴えを聞き、コロナ渦においては妊婦に時短勤務や不特定多数の人とは関わらないバックヤードでの仕事に転換することを推進する対策を考案したのが矢田さんである。

妊婦ばかり優遇するのはズルいと感じる人も中に入るかもしれない。
しかし、出産時にコロナに罹患していた場合、感染拡大防止の観点から出産は帝王切開になること、2021年のコロナ渦の妊婦の37%が鬱症状を抱えるといった社会問題があった。
妊婦はコロナだけでなく、免疫力自体が下がった状態のため重症化リスクもある。妊婦を優遇しているというより、少子化が止まらない中で少しでも安全に出産ができるようにするための必要な施策だと言えるだろう。

更年期障害対策

更年期障害対策に関しては、女性はかつて結婚や出産を機に仕事を辞める人が多かった時代から、女性も長く働く社会への転換のために理解が必要であると語った。
女性特有の問題ではなく、男性の10%も更年期障害になるらしい。
女性だけの問題ではなく、男性にも起きる事象のため更年期障害の理解が広まり働きやすい社会になればいいと思った。
中年期に発症し、仕事を辞めざるを得なくなった場合、貧困層に落ちてしまうのは男女問わず辛いことだと思う。
中高年の転職は若者の就職以上に厳しく、業種も限られてくる。
大人の学び直しや柔軟な働き方も話題になっているから、更年期障害でも働きやすい社会を目指すことに賛同する。

孤独・孤立対策

最後に、孤独・孤立対策。
国民民主党は公党で初めて孤独支援対策が必要だと訴え、孤独担当大臣創設に貢献した。
矢田さんの話に出てきたNPO団体「あなたのいばしょ」は24時間365日無料で相談できる窓口。
「気が落ち込む電話したい深夜に相談できる窓口がない」今までの公的な電話・チャットサービスでは利用時間が限られていたが、このNPOは海外在住の日本人にもボランティアとしてオンラインで協力してもらうことで24時間365日の対応を可能にしたとのこと。
しっかり活動しているNPO団体に対しては、公的なサポートを官民の連携があっていいと思う。

④子育て・教育における女性支援政策

出産関連

出産一時金が50万円に引き上げられることが今年ニュースになった。
しかし、出産にかかる費用自体に地域差がある。

公的病院でかかった出産費用(室料差額や産科医療補償制度の掛け金などを除く)は、全国平均で45万4994円だった。
最高は東京都の56万5092円、最低は鳥取県の35万7443円で、差額は20万7649円だった。
朝日新聞『出産費用、地域で20万円の差 33都府県で一時金上回る

この地域間格差があるなかで、一律で金額を定めて給付するのは不公平感が大きい。
矢田さんは一律給付という形ではなく、出産にかかった費用を無料化するような内容にしたほうがいいのではないかと提言していた。
また、出産までにかかる妊婦検診の補助、正規・非正規雇用の受けられる支援の内容格差など、出産に関しては女性自身の働き方や居住地域によって環境が大きく変わる。

妊娠は病気ではないため、妊婦検診は市から配布されるクーポンがなければ基本的に保険も効かず10割負担だ。出産も基本的には実費負担。
妊婦の検診に使えるクーポンは母子手帳とともに発行されるため、心拍が確認されるまでは発行されず、クーポンを使っても上限を超えた場合は実費負担になる。
この実費負担がなかなか重い。
私は今妊娠14週で、検診と血液検査で今までかかった費用+分娩費用の概算だけでトータルでは50万を超える見込みだ。
私はマイナンバーカードと保険証を連動させているので、産婦人科で妊娠までにかかった費用を収集していただき、実際にかかった費用分還付されるようなシステムを構築してほしいと思う。

所得制限

最後に、矢田さんの専門分野といっても過言ではない「所得制限」

日本の教育費は3~5歳の幼児教育期間しか無償化は達成されていない。
親の収入による所得制限が、親ではなく子供本人が返済する奨学金にまで適用されている。
上記の図でいうと、1012万以上の所得の世帯で育った子は、有利子でも奨学金を借りられないというのはおかしいと思う。

日本は累進課税性であり、所得が高いほど支払う税金も高いにもかかわらず、所得制限により子育てにかかる負担は所得が高いほど増えてしまう。
頑張って昇給して給料を上げたのに、中途半端に稼ぎすぎたら損をしてしまうため、働き方をセーブせざるをえない人もいる。
思う存分働いても、働いた分だけ報われるようにしないと労働者のやる気を削ぐ。
所得制限撤廃を矢田わか子前議員を含め、国民民主が掲げるのは日本経済を上昇させるためにも必要なことだと思う。

最後に

研修会が終わった後、矢田さんに個人的に気になっていたことを質問した。

Q.女性のスカートが短いようなイラストの広告をどう思うか?
A.どう思うかは個人の自由だと思う
男女共同参画や、ジェンダー方面からの表現規制に対する感度の確認。
性的搾取だと批判することもなく、細かいことは気にしないというような感じで非オタクの女性としては一般的な感覚であり、表現規制を能動的に行うタイプではないと思った。

Q.自分は女性だと言い張るトランス女性のなりすまし男性が女湯に入ろうとしたらどうするか?
A.それはダメだと思う
男女共同参画とは別件だが、LGBT担当でもあるため質問。
国民民主はLGBTパレードやトランスマーチに連帯するリベラルな側面もある政党。
一部のLGBT過激派から、トランスのなりすましによる女性スペースへの侵入や、スポーツ分野などにおいて女性枠に元男性が入ることへの懸念を口にすること自体「TERF(トランス差別主義者)」と罵られ、議論することすらままならないこともある。
誰もが生きやすい社会を目指すうえで、不当なトランス差別はあってはならない。一方、女性のための枠や専用の場所を自分の利得や欲のために、女性のふりをして手に入れたり安易に侵入することを許してはならない。
非常にセンシティブな話だ。
差別主義者と安直に括ることなく、身体的基準を設けるようなことをいうのはベターな回答だと感じる。

女性スペースを守る会がトランスマーチに連帯した政党への要望書を出した際、国民民主の回答は中立的であり、好感を持てた。

全体的な研修会の内容と、個人的に会話した内容から表現規制もLGBT利権や、特定団体の優遇も感じない真っ当な内容だったと思う。

「フェミニストや男女共同参画は表現の自由の敵」というような短絡的な敵対関係にするのではなく、個々の具体的な政策や人柄を見ながら応援するかを見極めていくべきだと思う。

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