人生最初の記憶1

母と手を繋いで歩いていた。
父方の祖父母宅のそばの商店街だった。
急に母の手が離れ、私は独りになった。

私はただただ不安に押し潰されそうになり、
おかあさん、おかあさんと泣きながら
目の前にあった建物に入っていった。
自動ドアが音もなく開いたそこは、
緑色のライトが光るところ。
リノリウムの床もうす緑だった。

頭から足先まで真っ白な格好をした女性が
私の手を引いて奥に案内してくれた。
うす緑のカーテンをシャッと引くと
真っ白い布団のベッドに母が横になっていた。

母は私を布団の中に招き入れ
私は母の大きく膨らんだお腹に抱きついて泣いた。

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