教職員組合のミスマッチを埋めるために
学校は1年間で一番の繁忙期である年度末・年度始業務のまっただなかです。4月1日になると、新しい1年を迎え新年度のオールスタッフを迎えることになります。
多くの教職員組合では、新採用の方などまだ組合に出逢うきっかけをつかんでいないみなさんを対象にパンフレットを作ったり、歓迎グッズを準備しているころだと思います。
少しでも子どもたちのために力合わせを進めようと願う仲間が増えることを願ってのことです。
しかし、現実はなかなか簡単ではありません。
そんな中で、ある教職員組合での「ミスマッチ」なエピソードを紹介します。
切実さと多忙感と、想いを共有しあうこと
組合として発信していることをいかにして届けるかということです。
この教職員組合では、役員の交代に合わせて大事にしていきたい方向性について、時間を取って議論する場を設けました。
執行部役員と新たに支部役員になった先生方が顔を合わせて、教職員組合として掲げている「仲間を増やす」ということをテーマに2時間くらい議論をしました。
その中で、支部役員の先生方から「つなげる仕組みを創る」ということが新たな視点として語られました。
いま、教職員組合運動を進める上で、欠かせない視点です。
ただ、この教職員組合ではその「仕組み」について1年以上前から方針として掲げ、発信を続けてきたのです。
ここで明らかになったのが、想いのミスマッチ。
機関紙やSNSなど趣向を凝らしながら教職員組合運動の方針を発信しても、それを受け取る仲間の思いが同じように高まっていないと、その情報は「ミスマッチ」となってしまうのだと気がつきました。
みんなが運動の主人公になるために…
このことをきっかけに、この教職員組合ではメンバーが新たになった支部役員を中心に機関紙の発行に取り組み始めたそうです。
厳しい議論も経ながら「教職員組合に集う、つながる仕組みをつくる」という力合わせがはじまりました。
この教職員組合では、機関会議でコミュニティ・オーガナイジングの手法を用いた「組合づくりワークショップ」にも取り組みます。
コミュニティ・オーガナイジングは、20世紀(1900年代)初頭にアメリカでの実践から生まれたものです。これを体系化したり本に書いたりまとめている団体は複数あり、コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン(COJ)はそのひとつです。この冊子の中でここまで何度か紹介しているCOJは、マーシャル・ガンツという方によって体系化された市民の力で社会を変えていくための手法です。
ある教職員組合のエピソードとして紹介した中にもあったように、「私たちこそ、いま動き出そう」と共感しあう対話を盛り込むことで願いを実現させていくためのヒントがたくさんあります。
また、たくさんの方との力合わせが進むような取り組みを進めていくことも大事な視点であるような気がします。
時節柄、集まって学ぶということが難しい期間がまだしばらく続きそうですが、この時間を使って教職員組合の組織論を学び合うのもいいかもしれませんね。