個別支援学級の私の成績の付け方

みなさんこんにちは健一です。今年で教職経験は29年目になりました。個別支援学級を受け持って16年になります。

今日は、私がどのように個別支援学級の児童の成績を付けているのかを紹介します。

初めて個別支援学級担任になったけど、つけたことがないからどうやって成績を付ければいいかわからないという先生は是非参考にしてください。

ただ、あくまでも今までの経験をもとにした私の個人的な考え方ですので

そこはご了承ください

それでは始めましょう!

①毎日のプリントをファイルしておく

成績がつけられない原因は児童の成長の様子がわからないためです。毎日支援学級で行っているプリントは、児童生徒の成長の変容の証拠になります。

今からでも児童のやったプリントをこのようにファイルしてみましょう。

このファイルを見ると、最初はできなかったことが、どのような手立てを取ることでできるようになってきたかが目に見える形でわかってきます。

丸を付けたり×を付けているわけですから、そこには理由があるわけです。それを評価に生かしてみましょう。

②行動記録を思い出してメモする

朝、児童が登校してきた時の様子を思い出してみましょう。

自分から挨拶をすることができた児童は少ないかもしれませんね。

この時の「目標」は「挨拶ができる」です。最終的に挨拶ができればいいわけです。そのためにどんな「手立て」を取ったかという所が特別支援学級担任の専門性ということになります。

⓪担任を見ると児童自身が聞こえる声で笑顔で頭を下げて挨拶できた

①担任を見ると児童自身が聞こえる声で頭を下げて挨拶できた。

②担任を見ると児童自身が笑顔で頭を下げて挨拶できた。

ここで手立てをとりましょう。

③こちらから言葉をかけると、大きな声で挨拶を返すことができた。

④こちらから言葉をかけると挨拶を返すことができた。

⑤こちらから言葉をかけると担任を見て会釈できた

その時の実際の様子をこのように思い出して評価していくのです。

こうやって

交流学級の朝の会に参加した時とか、

授業に参加した時の様子を思い出してメモしてみましょう。

③何があればできるようになるかを明確にする。

この「何」が手立てになります。

例えば、運動会の時に「雷管」の大きな音が苦手で、耳をふさいで走れないという児童がいたとします。

そんな時はどうすれば徒競走を行うことができるでしょうか。

ここでの目標は「徒競走に参加できる」ということです。

「笛」でスタートすると雷管よりも小さな音になりますから、怖がらずに走ることができるんじゃないか?という見通しを立てます。これをメモするわけです。そして、練習の時に、実際に試してみます。

うまくいけば実際の本番でもそのように行います。

ところが、他の児童もいるし、平等でないから「雷管でない」とだめだといわれることがあります。

その時には「笛でスタートさせないなんてひどい」と怒るのではなく、「なるほどそうか!」と受け止めて、「耳栓」や「イヤーマフ」を用意するという手立てを取れるといいですね。

ダメだというのなら、次々と手立てを考えることができるというのが、特別支援学級担任と普通の通常学級担任の違いになります。

この場合の目標は「徒競走に参加できる」ですから、考えつく手立てが多ければ多いほど児童生徒が体験して経験値を増やすことができるのです。

大切なことは何を用意するればできたか?ということを明確にすることです。この「もの」が「手立て」になるわけです。 

個別の支援計画と個別の指導計画の違い

通常学級の児童と個別支援学級の児童との大きな違いは、個別支援学級に在籍している児童には「個別の支援計画」と「個別の指導計画」というものがあり、これに従って毎日の活動を行っているということです。

これからは、大学で学べる学術的で体系的な事をどのように現場で生かしていけばいいかという視点で「個別の支援計画」と「個別の指導計画」について私がどのように理解して、生かしているかについてお話します。

「個別の支援計画」を私はこのように考えている

「個別の支援計画」はその児童を指導・支援していくときにどの様な「ねらい」を立てればよいか?ということを示しています。

例えば、自分でやりたいことを選ぶことができないということがその児童の本質的な課題となっていてできないことが多くなっているなら、「日々の活動内容を決めて行動することができる」というねらいになるわけです。

何かに例えるならば羅針盤🧭ですね。

その子の指導・支援における一年間の担任の「リーダーシップ」と言ってもいいでしょう。

個別の支援計画は非常に大きい計画になります。

今年1年間で何をねらうか?というイメージで考えています。

「個別の指導計画」を私はこう考えている

「個別の指導計画」は、「個別の支援計画」を受けて、児童の実態や生育歴や知能テストの結果などの実態をもとに、「教育支援計画」の『ねらい』を達成するため、学校の各教科や生活の中でどのようなことを「目標」にして具体的にどのような「手立て」で支援計画の「ねらい」を達成するかを文章で表したものです。

繰り返しますが、私の場合、個別の指導計画では『目標』を決めてどのような『手立て』をとるか」ということが書いています。

目標と手立てが書かれているのが「個別の指導計画」になるわけです。

「指導計画」を考える流れはどのようにしているか

私の場合は、4月に學校が始まると、最初の1か月から2か月で「個別の指導計画」を作ります。5月の連休前ぐらいに作って、同僚と管理職に確認してもらい、5月後半に、保護者に見てもらい承認を得ます。

それをもとに学習を開始して成績を付けていくわけです。

個別支援学級の場合、活動中の様子を所見で表すことが多いです。學校が3学期制の場合はそのローテーションを3回行ったこともありますが、非常に手間がかかることもあって、4月から9月までの前期と10月から3月までの後期に分けている学校が多くなっています。

ねらい・目標・手立て・めあての関係を「クラブ・委員会」で具体的に説明します。

学校の活動はどれにも「ねらい」があって、「目標のための内容」が決まっています。

例えば「委員会」と「クラブ」はねらいが違うんです。

「クラブ」は児童が友達と一緒に活動内容を考えて、それを一年間やっていくという「自治」が目標になっています。ですから、だいたい4年生から入ることができるようになっていて、4・5・6年生で構成されています。

これは、年齢の違う子供たちで話し合いを行い、コンセンサスと呼ばれる「意見の一致」をして1年間活動していくということが大切な活動というこなんですね。

「委員会」は学校の中の仕事を児童が受け持つことで、仕事や役割を担当して責任を持って果たすことを目標にしています。

運動会の進行や放送係は「臨機応変に対応する」という役割を求められますので、普段からそれをトレーニングしている「放送委員会」や「計画委員会」が放送や進行をするわけです。

責任が問われるので「委員会」は5・6年生が行うことが多いですね。

「目標の立て方の確かさ」と「手立ての種類」が専門性の証

特別支援学級の専門性を問われるというのは、この「『ねらい』を達成するための『目標』をうまく立てることができて、そのための『手立て』をたくさん考えることができるかどうかという所になります。児童の課題の解決のためにどの様な手立てを取れるか?という所です。

手立ての考え方には2種類あります。

手立ての考え方には2つあります。

一つは児童の能力を高めることができるための「目標」と「手立て」これは一般的な学習の手立てが使えます。

教科の「ねらい」と「目標」それに対する「手立て」です。

読み書きに障害がある場合、どこまで何をすると自分でできるようになるか?ということになります。

例えば調べたことをノートに書くことができないという課題があったとします。その時にどの様な手立てをとれば児童がノートに書くことができるかなと手立てを考えるわけです。

通常学級の担任の先生が一斉学習の中で行える個別支援、は書く内容の例を黒板に板書してあげるということがありま。、これを書けばいいよというメッセージを与える方法が一般的です。

書くことに抵抗感が強い児童を受け持つ場合には、私の場合、教科書のコピーを用意します。

それをノートに張り付けることで、重要だと思う場所に赤線を引かせたり、わからない言葉を辞書で引くことができます。

どう書いていいかわからない時は、実際にノートを準備して、どのマスに何を書けばいいかを示すこともあります。

このように「手立て」は「何を用意するか」ということになるのです。特別支援教育の専門性が高い先生は用意できるものがとても多いのです。

そこが通常学級の先生との違いになります。

教科の内容の○○ができるという目標としては国語や算数などの教科については、学習内容だけならテストで理解できたかそうでないかがわかります。そこで、同じテストでもどんな受け方だったかを簡単に記録しておきます。

①交流学級で同級生とテストを受けることができたか?

②個別支援学級で一人でテストを受けたか?

③個別支援学級で問題を読んでもらいながら設問に答えたか?

④個別支援学級で選択肢を与えられて選ぶことができたか

一つのテストを受ける評価であってもこれだけ段階があります。


二つ目は児童の物事に対する姿勢を変えることができるねらいと目標と手立てです。例を挙げてみます。

何度学習しても漢字を覚えられない。計算を覚えられない児童には、通常の目標ではねらいを達成できません。こういう時はねらいを達成できないので、特別支援学級担任が無力感を持ちやすいですよね。どのような「目標」を立てればいいと思いますか?

ひらがなをなかなか覚えらない児童がいた場合。昨日やったことも忘れてしまうような児童を受け持つこともあります。

そういう場合は目標から考えるのでなく「めあて」から考えるのです。

たとえば、こんなめあてはどうでしょう?

「決められた時間、ひらがなの勉強ができる」

足し算や引き算のやり方がなかなか身につかなかったとしても

「決められた時間足し算や引き算の勉強ができる」

とすればねらいを達成できるのではないでしょうか。

この場合身につけるのは「スキル」でなく「物事に対する姿勢」です。

仕事に取り組む場合、能力的な差異は必ずあります。高い能力を持っていたとしても、自分以上の力も持つ人と将来働くことになるかもしれません。そんなときに腐らずに働くことができるには、

「一定の時間、自分の役割を果たす」というスキルが重要になってくるのです。

私の場合、その児童の在籍する学年の勉強では難しいので、一つ下の学年の勉強をして今までできていなかったことを補完する学習もしています。数を数えられなかったり、ひらがなや漢字を覚えにくかったり、体育で運動が器用にできないということもあります。

昨年までの状態を鑑みたり、幼稚園からの状態を参考に、当該学年の学級で学ぶものと個別学習するものを決めます。

例えば特別支援学級で1年生を受け持つなら、1年〇組でみんなと一緒に授業を受ける科目を何にするか?

特別支援学級で授業をする科目は何か決めておきます。

クラスは子供たちにとってはミニ社会なので、特別支援学級で学んだことを実践的に試すことができると考えています。学級活動で1か月の「生活目標」について話す時には大きく違いがあります。

自閉症情緒学級の担任の場合は、社会性に課題がある場合が多いですから、こういう時にだめだという視点以上に、こういう時は一緒に活動できるという肯定的な評価を心がけています。

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サトケンのnote個別支援研究所
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