マダガスカルとかApexとか

モザンビークへの駐在が決まったと、周囲に報告したときの反応第1位は「どこそこ?」である。それに対して「南アフリカの右上です」と答える。それでも「あぁあそこか!」となるわけもなく、結局スマホで地図を見せることになる。

この緑で着色されたところがモザンビークだ↓

Wikipediaより


地図を見せると、けっこうな確率で「マダガスカル近いね!」と言ってくれる。人によっては、「マダガスカルってここにあるんだ!」とか「マダガスカルなら行きたいなあ」と言う人もいて興味がマダガスカルに奪われたりもする。「あなたはマダガスカルの何を知っているの」と心の中で思うのだが、確かにマダガスカルはなんとなく野生動物の宝庫のようなイメージがあって、メディアでも取り上げられる機会が多く、行ってみたいという日本人は多いのかもしれない。少なくともモザンビークよりは知名度があるだろう。

マダガスカルはここ ↓

Wikipediaより


でも別に日本人がマダガスカルについて詳しいわけでもない。そもそもガラパゴス諸島と勘違いしてた人もいたし、マダガスカルの面積は実は日本の1.6倍で、広大な島国であることや、フランス語が公用語であることとか、首都がアンタナナリボであることを知っている人はそういない。もしいたとしても、そういう人はモザンビークのこともある程度知っている地理マスターだろう。ただ「マダガスカル→野生動物」このイメージの結びつきは日本人の中でわりに一般的で、それこそがマダガスカルを有名にさせているのである。
このイメージが定着した要因は何だろうか、と考えると思い浮かぶのは映画『マダガスカル』である。

(C)2005 DreamWorks Animation LLC and DreamWorks LLC Madagascar TM DreamWorks Animation LLC

2005年に公開された『マダガスカル』は、ニューヨークの動物園から逃げ出した動物たちがマダガスカル島に辿り着いて……というストーリーのアニメ映画だ。当時小学生だった僕も映画を観た。内容を詳しくは覚えていないが、登場する様々な動物が歌って踊って、「自由なマダガスカル最高!」みたいなハッピー映画だったと記憶している。そしてそれなりに面白かったような気がする。

その後のマダガスカル(映画)の状況は知らなかったのだが、2008年に『マダガスカル2』、2012年に『マダガスカル3』、2014年にスピンオフの『ペンギンズ FROM マダガスカル ザ・ムービー』が公開されていた(2018年に『マダガスカル4』が計画されていたが公開中止)。
マダガスカルもロングヒットの映画なんだなあ、とそれぞれのあらすじをネットで検索していると、二作目以降の舞台はアフリカのサバンナやヨーロッパらしいことがわかった。「え、マダガスカル関係なくね?」と思った。
『ペンギンズ FROM マダガスカル ザ・ムービー』に関しては原題が "Penguins of Madagascar” だ。この作品の舞台は上海だし、マダガスカル共和国にペンギンは生息しない。

もちろん作品のタイトルと舞台が一致している必要はない。『マダガスカル in ヨーロッパ』なんてタイトルは混乱を生む。『マダガスカル2』は、あの『マダガスカル』の続編ですよ、とわかりやすいタイトルにしたにすぎない。つまり「マダガスカル」はマダガスカル共和国のことを指してるわけではなく、「動物がたくさんでてくるアニメ映画」の固有名詞、ひいては「野生動物の記号」となってしまったのである。
「マダガスカル→野生動物→行ってみたい」この関係式の完成だ。

この現状についてマダガスカル共和国の皆さんはどう思っているのだろう。



話をモザンビークに戻そう。

実はマダガスカルの例と似たようにモザンビークも固有名詞として他の文脈で使われている。それは「Apex」というゲーム内で使われている武器(ショットガン)の名前である。僕はApexをしたことがないため、このことを全く知らなかったが、ネットで「モザンビーク」を検索するとApexの情報がかなり出てくる(ORICON NEWSでも取り上げられている)。

「モザンビーク apex」の検索結果。
居住国が2丁持ちされている

もしかしたら「モザンビーク→ショットガン」のイメージを持っている日本人の方が多いのかもしれない。
「モザンビーク→ショットガン→行きたくない」これは由々しき事態だ。

ということで、もっとモザンビークの認知度を向上させるためにショットガン以外のモザンビークの様子を書きたい。
でもマダガスカルにも行ってみたいなあと思ってしまう、そんな週末。


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