蝉の鳴かない8月

この前、誕生日だった。20代後半の僕は、誕生日だからといって年齢を重ねたことに対する喜びはないけれど、「おめでとう」と言われると嬉しいものである。特に子どものときは、ただ1年過ごしただけで周囲から祝われ、数字が増えたことで大人に近づいたような気がして嬉しかった。
誕生日もあるし、夏休みもあるし、昔から8月は好きだ。強い日差し、熱気、蝉の鳴き声、店から洩れてくる冷房の冷たさ…体に激しい感覚と思い出を残す8月が好きだった。

しかし、今年の8月はどうやら違うようだ。というのも僕は今、南半球に位置するモザンビークの首都マプトにいるからだ。仕事で先月から赴任している。マプトの8月は、暑くも寒くもなくて過ごしやすい。東京でいうと10月くらいの気温だろうか。

誕生日も迎えたし、駐在生活も始まるし、noteを書くことにした。これまでも何か書こうかなと思っていたけれど、「誰も読んでくれないだろうな」とか、「今は色々忙しい」とか、「もう少し人生に深みがでてきてから」と、つらつらと言い訳が浮かび、書いてこなかった。ただこのきっかけを逃すと、たぶんこれから先も書かないと思ったので、書き始めることにした。

気づいたら終わってしまうマジックアワーを逃さないように。

                                       @Maputo


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