読奏劇<制作話2>
●Dream Stage -読奏劇-とは?<制作話>
キャッチコピーは『パブリックドメインとなった国内外の名作を、音楽のMusic Videoのように演出するライブ配信・朗読劇』。
2020年8-11月に配信された第1回「読奏劇」についての制作話を不定期に投稿致します。皆様から頂いている様々なリクエストに対する回答もところどころに盛り込んでいければと思っています。
★制作話 #2 (目安:3分00秒)
さっそく鎌田さんにコンタクトを取りました。監督と初めてお会いしたのは、2017年にミュージカルのMVを撮影した時で、鎌田さんがMV監督、私がレコード会社担当という関係でした。予定していた撮影シーンも時間の都合とあらば、バサバサとカットしていく思い切りの良さと世界観のある作品への理解力・適応力がとにかく高い方でしたので、本企画を説明してOKを頂戴した段階で、もうこれで作品は大丈夫だと勝手に思っていました。
実は当初は「ディズニーが原案としているような、誰もが知っている作品を中心に読むのが良いのではないか?」という話で鎌田さんへ企画を持っていったのですが、鎌田さんからは「近代の文豪中心の作品が良いのでは?」というお話を頂きました。確かにグリム童話のラプンツェルや白雪姫は、物語こそ誰もが知るものの、描写が中々に過激で今では避けられるような言い回しも多い。何よりもディズニーの世界観が誰しもの脳内にイメージ付いているので、視聴者が「わっ!」と驚いてくれるような演出がしにくいかもしれないと考えました。「白雪姫だとロケーションはこうなるよね」と言われるような…反面、近代の作品だと色々アレンジもしやすい。考えた結果、文豪中心の企画にしよう!と決め、早くもブレます(笑)。※実はこの後のキャスティングでまた方向転換するのですが、それはまた後日。
さて、監督も決まり作品のピックアップへ移ったのですが、なかなかに苦戦します。例えば、中学・高校の教科書採用率100%を誇る「夏目漱石」は長編が多い。「我輩は猫である」も「坊ちゃん」も十万単位の文字数で1本舞台を作るレベルになってしまう。緊急事態宣言を受けて、多くのミュージシャンがリアルのライブからストリーミングライブに切り替えていましたが、ライブで短いと感じていた1.5時間は、配信だと体感がとにかく長い。1時間もすると、何かをしながら音だけを聴く「ながら聴き」になっていて画面は見ていない事が多かったのです。映像コンテンツとして適切な時間はどれくらいなのか?という事を様々なライブ配信を観ながら探っていました。
そして、スタッフなりに導き出した「集中力が続く時間」は”20分”でした。さあ、それじゃあ20分前後で読めるタイトルを探していこう!となるわけですが、20分前後で読めて、誰もが知っているタイトルで、演出がはまりそうな物がなかなかない。条件にフィットする作品は30-40分で読める1万字弱の作品に多い事がわかってきます。40分の映像を最初から最後まで見て頂けるだろうか?また、40分となるとほぼドラマ尺ですので、コロナ下でスタッフの人数も削っている中、制作の人手は足りるのか?という問題も生じてきます。この問題も後述しますが、それらの懸念点をクリアしていき、朗読作品候補をまとめた"作品リスト"が出来上がったのでした。
#3へ続く。
羽田野嘉洋(Dreamline inc.)