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㊱ミャンマー情勢(Part2:ミャンマー人の強制徴兵!)

今回は、ミャンマー人の徴兵制について、40日前の前回記事からのアップデート情報をお伝えします。徴兵制の詳細は、前回記事をご覧ください。

2月10日(土)の徴兵制の発表から、約1ヶ月以上が経過する現在、既にヤンゴン市内でも、全国的にも実質的な徴兵が開始されています。

経緯

●ヤンゴンにある日本企業の従業員の家族が国軍に連行されたという話が、3月1日(金)以降に出始めました。

●(噂ですが)家族複数人が連れていかれて、1億チャット(約400万円)を要求された事例もあります。

●この動きは、特に3月14日(木)の夜から本格化しました。

●3月22日時点で、日本企業の従業員も、地区の管理オフィス(Ward Administration Office)に呼び出され、くじ引きで徴兵対象に選ばれてしまう事例が多く出ています。地区によってはくじ引きがなく、全員選ばれる所もあります。


なぜ、4月22日(軍が元々言っていた徴兵時期)を待たずに、国軍による住民の連行やくじ引きが行われているのでしょうか?

国軍のインセンティブ

●ミャンマー国軍は、現場レベルに大きな裁量があります。そのため、地区ごとに現場の兵士が勝手に判断して行動します。

●現場レベルの兵士には、住民がお金に見えます!

●他の地区の兵士に住民が連行される前に、はやく連行することで、兵士が大量の身代金を得て稼ぐインセンティブになっています(基本は住居がある地区で召集されますが異なる地域に連行される場合もある)。

各地区が必要以上の人数を招集することで、上から高い評価を得ようとし、より多くの住民を連行するインセンティブが生まれます。

結果として、現場の国軍兵士が、拉致→身代金要求→解放→場合によってはもう一度拉致して身代金を要求する、という形で半グレのチンピラ(国軍)が、人民を抑圧しています。

2月10日頃の国軍の説明は、今回の徴兵制度では、人口の1%しか召集しないというものでした。

しかし、現在、地区によって異なりますが、20〜30%の高い確率でくじが当たってしまう例があります。

そのため、一般のミャンマー人は、国軍の説明を一切信じていません。

2月13日に女性は徴兵の対象外になりましたが、いつ軍の気が変わって、対象になるかわからないため、女性も戦々恐々としています。


ミャンマー国軍の統治範囲

徴兵制の開始の経緯は、2023年10月27日(1027作戦)に、ミャンマー国軍が大敗北を期したことが関係している、と前回お伝えしました。

さて、現状、ミャンマー国内は、ザガイン州、チン州、ラカイン州、マグウェイ州、カヤー州、カイン州は、大半が反国軍(PDFや少数民族)に支配されています。

今後、シャン州は既に北半分が反国軍に支配されて、この動きはカチン州にも広がっていますし、カイン州の動きはモン州にも広がっていきます。

現状、国軍の完全な支配下にあるのは、マグウェイ、バゴー、エーヤワディー、ヤンゴンのみです。

国軍の弱体化が続く限り、徴兵の動きは止まりません。

故に、大量の若者が、この国の内戦に巻き込まれないように、国外流出する状況が、2月10日(土)以降、永遠に続くと思われます。

ミャンマーの日本企業も、過去10年かけて育成したミャンマー人従業員を、いとも簡単に徴兵制で召し上げられてしまうため、何とも言いがたい状況です。

人や国を作るのは、非常に長い時間がかかりますが、人や国を破壊するのは一瞬!ということをミャンマーから学びます。

私は、日本人と似ている点が多いためミャンマー人が好きですが、今回の徴兵制は、ミャンマーの崩壊、ミャンマー人の分断を決定づけるものです。

非常に残念です。


日本大使館の前に、長蛇の列ができているのを見ました。ずっと奥まで道なりに列ができています。

もともと、4月1日にかけて多くのミャンマー人が日本に渡航しますが、2月10日の徴兵制の発表後は、数が増えているようです(1日500〜600人のビザ申請があるようです)!

次回の記事は以下です。


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